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「メグに会いにゴンスンデまでですか?いえ、今の所、考えてないです」
「そうか・・・・」
「事前にメグにも遊びに行くって言ってないので、だまにゴンスンデまで行っても、ちゃんとお家にいるかどうかも分かりませんし。下手したら家族で旅行ってこともありますしね」って答えたら、闇王様、ハッとされてたよ。
しかし、顔が真っ赤ですよ、闇王様。
「だから言ったでしょ。アディの予定にみんなが合わせてる訳じゃないので、事前のお伺いは必要なんだよ」なんてセシリオ様も闇王様を諫めてたりします。
でも、何でゴンスンデ?
メグに会いに?
それとも別の目的が?
「アドルフォ様はどうしてゴンスンデに行きたいんですか?」
分からない事は聞くに限る。
「い・いやぁ。オレは別に行くとは言ってない」なんて、急にモゴモゴし始めた。
ん?なんで照れてるの?
更に顔が赤くなってるけど?
いや、照れてるのではなく、慌ててるだけ?
「ねぇ、アディ。どうしてゴンスンデが気になるんだろうね?僕にも教えて欲しいなぁ」
セシリオ様が悪い笑みを浮かべてる。
え?もしかして?ひょっとして、或いはそういう事なの?
おねいさんはピーンと来ちゃいましたよ。
え?そういう事?
だっていくら入試の成績が1位と2位だったからといって、闇王様から突然勉強会のお誘いが来るって変だったものね。
あの時だって「何で?」って思ったんだよね。
しかも、そのお誘いは遠足でメグを見てから来たものね。
はは~ん。そういう事ですか。
んでんで、突然の様にクラブを立ち上げたのも、家の勇者と一緒に居たいからですかぁ?
ほほ~。
「いや、オレは二人が仲良しだから、休みの間も会う約束をしてるのかなと思っただけだ。何でもない!」と早口で捲し立てた闇王様、それって私たちの疑問を肯定してるのと同義だよ。
だってフェリーペのお店や、ボブの工房へは行かないのとは聞いて来てないですよねぇ?
うっしっしっしっし。
そうかそうか、部室は闇王様の未来の愛の巣だったのねん。
ニヤリ。
あ、でも、そうなると。アドリエンヌ様の存在がぁぁ。
家のメグたん、いじめられちゃうんじゃないかしら・・・・。
心配だわぁ。
そうこうしているうちに、デザートが来た。
焼きプリンが綺麗に飾られてて、とっても美味しそう。
紅茶と一緒に頂いちゃってます。
今は部室の薪ストーブの話に話題が変わりました。
だって闇王様が必死に話題を変えてたんだもん。可愛いね。
今まであれだけ恐れていた闇王様でも、メグたんに片思いしている男の子と思ったら急に可愛く見えてくるから不思議だよねぇ。
話題が変わってホッとしている様なんて、クスクスっと笑いたくなるくらいお子ちゃまぶりが出てるよ。
普段とは大違い。
「あ、そうだ。伝えるのを忘れるところだった。お前のデザインした家具なぁ。家が製作を依頼したいくつかの工房から、製品として売り出したいって言って来たんだ。許可してくれたら、販売価格の内からいくらかを設計料として払う様にさせるけど、どうだ?家の家名の元、管理は徹底するので違反する工房や店舗は出ないと思うぞ」
「ありがたいお話ですね。ただ、私は大公様の援助を受けている身なので、一度大公様に相談させて頂いていいですか?」
「そうか、お前は大公様の息が掛かっていたな。わかった。相談してみてくれ」
こうなってくると私の収入源もいろんな事業からになって、結構な金額になるかな?
お店以外にも噴水とか家具とかお金が入ってくるのは、店の資金を早く返せるからいいんだけどね。
何かこんなとんとん拍子で話が進むと、ちょっと怖いよ。
デザートも終わり、一息ついたところで、「では、アドルフォ様、夏の休みにはみんなでゴンスンデへ行きましょうね」と闇王様を揶揄ってみた。
「なっ!オレは別にゴンスンデには拘ってないぞ!」
「いえ、私の親戚が途中にあるポンタ村で宿屋をしてまして、そこの食堂を手伝った事もあり、夏辺りには様子を見に行きたいなって思ってるんですよ。そこは丁度ゴンスンデまでの通り道なので、一度ゴンスンデの町やメグんところのお店とかも見ておきたいなって思っただけですよ」
「良かったね。アディ。みんなで一緒に行かせてもらおうよ」
あ、セシリオ様の笑みが更に悪い笑みになってる。
ププププ。
最後まで闇王様はメグへの恋心については言及しなかったけど、長い休みの間にメグに会いたいとは思っているみたいだ。
それとも自分で自分の気持ちにまだ気づいていないとか?
私としてもポンタ村のフリアン伯父さんの所に大型の温室を建てていろんな作物を作って欲しいし、何より従兄姉のランディやフェリシアにも会いたいしね。
婆さんや爺さんとも二人が元気な内に、できるだけ会っておきたいというのもある。
パルマン神父様にも今の生活について報告したいな。
あ、ラーラのその後も気になるなぁ。
うん。夏の休みはポンタ村へ行こう!
メグがOKしてくれたらゴンスンデにも行ってみよう。
しかし、闇王様がメグをねぇ。
ふふふふとおねいさんも悪い笑みを浮かべちゃいましたよ。
おほほほほ。