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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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36

 きちゃいましたよ、この日が。

 フローリストガーデン 光に闇王様ご降臨の日が。

 ありがたい事にお一人ではなく、セシリオ様もご一緒なので、1対1で対応しなくて良くなったのはいいんだけど、私も一緒にテーブルに着いて食事せよとの厳命が事前に下りました・・・・。

 ♪ドナドナドナド~ナァァ

 闇王様からの厳命を聞いてから、思わず頭の中でリフレインしてます。


 闇王様と同じ鍋をつつくなんてどんな罰ゲーム?なので、チーズフォンデュはもちろん外しましたよ。

 夜は席が空いておりませんので、昼ならばと誘導はバッチリ!


「お嬢様、お着きになりましたよ」と言うマンマからの知らせで、ちゃちゃっと門の所でお出迎え。

「寒い中、ようこそお出で下さいました」と挨拶をすると、闇王様、セシリオ様お二人から黒い笑みが・・・・。なぜじゃ?


「まず庭と温室とやらを案内してくれ」と宣われたので、父さん自慢の冬の庭園を一緒にお散歩。

 といっても私は常に一歩斜め前を案内役として歩いた。

 クリスマスローズやシクラメン、クレマチスに混ざってセンリョウの赤い実が目に優しい。

 池でくつろいでいる鴨数羽。

 水中では色鮮やかな魚が泳いでいて、冬にしてはポカポカ陽気となった今日、実に落ち着いて庭を堪能できる良い日。庭を紹介するのにも力が入ります。


 温室に入ると、「うわぁ。本当にここは暖かいんだな」と闇王様もセシリオ様も大喜び。

 二人とも小さな噴水に「家にも欲しい」等と言われたので、今、家の父さんとボブんところの父親とで商品化について話し合ってるとだけ言っておきました。


「出来たら温室そのものも欲しいなぁ」

「本当に」

 何て二人にはちゃっかり温室もオネダリされましたが、ウチの店の看板だから他で作る事は考えてないと丁重にお断りさせて頂きました。

 ええ、丁重にね。


「このガラスは薄くて歪みがないのに、しっかり防寒できてる。このガラスだけでいいから欲しいぞ」と闇王様は粘られましたが、「企業秘密なので、他へ融通する事はできません。大公様が援助して下さっているお店でもあるので、こういった技術の流出は出来るだけ避けたいんです」と改めて丁重にお断りさせて頂きました。

 大公様の名前を便利に使わせてもらってバチが当たりそうですが、大公様からも事前に面倒事を避けるためならお名前を出して良いと言われていたので、大いに利用させてもらってます。

 感謝!


 ふふふふ。闇王様め。諦めきれない顔をしてるけど、大公様には逆らえまい?

 ふぉふぉふぉふぉふぉ。

 今、私の手には幻の大公様印の印籠が・・・・。ふぉーふぉふぉふぉふぉ。

 ダンテスさんや、カトリーヌさんや懲らしめてやりなさい、な~んてね。

 何て馬鹿な事を考えていたら、段々と客席が埋まりはじめた。

 そろそろお食事だね。


「では、本館にテーブルを用意しているので、そちらへどうぞ」と、移動した。

「おおお!こっちのガラスもすごいな!」

「本当だね。アディ、こんな大きさのガラスもあるんだね。欲しいなぁ」

 お二人の会話を聞きながら、敢えて反応しないことでスルーしちゃいました。

 さささと、メニューを渡して、二人の注意を料理の方に向けちゃいました。


「お前のお薦めはどれだ?」

「正直言って、全てのメニューがお薦めです。どれも自信作ですよ」

「ふ~ん」

「で、君はどれにするの?」と頭の良いセシリオ様、まずは私に選ばせ様とはちょっと姑息では?


「そうですね・・・今日の気分はシチューですかね。あ、グラタンも食べたいなぁ。どっちにしよう・・・・」

 自分の店の料理なのに、何を食べるか真剣に迷ってる私を見て、二人とも全ての料理が本当にお薦めなのだと分かってくれた様だ。

「やっぱり私は本日のシチューにします」と言ったら、三人で別々のモノを頼もうと言う事になり、闇王様がグラタン、セシリオ様がロールキャベツに決まりました。


 アミューズは3種。これは全テーブル同じモノが出されるんだけど、母さんの顧客リストで苦手なモノが分かっている場合は、それを避けた物が出される場合もある。

 だけど、闇王様やセシリオ様は初ご来店なので事前の情報はない。

 部室で出していたのはおやつだけなので、そこまではっきりした好き嫌いも分かっていない。


●黒胡椒を利かせたミカンとクリームチーズの一口サラダ

●サーモンの酢漬けアボガドとオニオンスライス乗せ

●鶏レバーのタルト


 この3種が出た。

 二人とも「うん!旨い」「ほぉぉ、これは良いですね」なんて高評価だ。

 嫌いな物が入ってなくって良かったよ。

 

 サラダも好きなドレッシングが選べるということで3人で別々のドレッシングに。

 流石にお貴族様の子弟なので、そっちのお皿のを少し頂戴なんて事にはならず、出て来た皿を全部じっくり見て、食べた人の感想を聞く事はあっても、「小皿をお願いします」という事にはならなかった。

 庶民なら、そこは少しづつ分け合って全部の料理の味を確かめられるのにね。


 メインは具沢山のビーフシチュー、お上品に盛り付けられた大きめのロールキャベツ。今日はコンソメ仕立てだね。で、闇王様のはマカロニグラタンだった。

 寒い時期の熱々料理っていいよね。

 二人にもめちゃめちゃ好評だった。


「それにしても何を食べても旨いな」なんてさっきまで言っていた闇王様が、突然「お前はこの休み、ゴンスンデへは行かないのか?」なんて聞いて来た。

「へ?」

「いや、メグに会いに行かないのか?」

 むむむ?闇王様のこの質問の意図は何?

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