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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 出来上がったばかりの部室でのあややクラブの最初の活動は、冬休み前の試験に備えて作戦本部でそれぞれが思い思いに勉強することだった。

 もちろん試験勉強中も念願の学園内の()()キッチンでみんなのおやつは作ってたけどね。

 この数週間、試験勉強をしたお陰で、いつもより自信を持ってテストを受ける事ができた。


 いろんな活動は冬休みが終わって学園が再開してからだね。

 冬休みと夏休みしか長期の休みはないのだけれど、国で唯一の学園ということから国中の生徒が集まっているので、ちゃんと帰宅し、授業が始まるまでに学園に戻れる様に1か月半くらいの長さになっている。

 馬車か船、徒歩くらいしか移動方法がないので、それくらいの長さが必要なんだよね。


 試験勉強期間もアッと言う間に過ぎてしまい、そんなこんなで無事試験も終わり、メグはゴンスンデに向けて出発した。

 試験の順位はトップ4は入試の時と同じだった。

 フェリーペとボブの順位が少し上がったけど、アドリエンヌ様はそもそもが勉強が苦手なのか、順位は上がらなかった様だ。


 私も今日から店のお手伝いをしつつ、錬金術クラブで出された魔法陣の練習をする日々が始まった。

 王都の隣村まで行って、梅園に『食材育成』スキルをもう一度使うのもやっとかないとね。

 早く、梅酒と梅干しを作って、梅干しを乗せたりんごを食べたいよぉ。


 冬のコースは料理数も少ないし、予め作っておける物が多いので楽だ。

 ただ、夜も通常営業になっているので、忙しさから言うと可成り忙しい。


 私が学園で勉強している間にも、徐々に従業員の数が増えて行ってて、皿洗いや下拵えするための従業員を増やしたり、本館だけで手いっぱいだった給仕に、温室まで増えてしまった問題を解決する為の人員を増やした様だ。

 まぁ、冬の間はウッドデッキの方は使っていないから、そこまで仕事が増える気がしなかったんだけど、やはり本館から一回出て温室まで料理を運ばなければならないので手間が尋常じゃないらしい。

 あ、それとバーテンダーももう一人雇ったみたい。

 元はポンタ村出身者らしく、父さんたちだけでなく伯父さんたちも知っている人なんだそうだ。


 それと家のニュースとしては、私に弟か妹が出来たみたい。

 父さんが母さんの行く先々で心配して助けるために手を出しては、余計な事はしないでと叱られている場面を結構な頻度で見かける様になった・・・・。

 まだ母さんのお腹は平べったいらしいけど、そろそろ大きくなってきそうとのこと。

 母さんのお産が近づいてくれば、給仕長の代理が必要になってくるんだけど、そこはフェイ伯母さんがいてくれるので安心だ。

 私は弟か妹が生まれる前に頭や体に良い離乳食を開発しておかないとね。

 って、ちょっと気が早いかな?


 サマンサとサブリナは相変わらずで、姦しい事この上ない。

 私も時々参加している孤児院への奉仕活動は、毎週日曜にちゃんと続けているらしいけど、彼女たち二人には孤児たちがあまり懐いてないみたいだ。

 その点パンクは人気者らしい。

 なんだろうね?

 従姉妹たちは結構淡泊なのにね。


 調理場の伯父さんズや伯母さんはいつも通り手際よく調理をしてくれていて、本当にありがたいよ。

 マルタ伯母さんは相変わらず色んなアイデアを出してくれていて、男性陣より使える人って感じだ。


 私もこの冬休み中はお店の手伝いプラス賄いで活躍しようと思ってるのだ。

 何故なら!毎晩寮で魔力を使い切るために作って来た色んな調味料、特に中華料理の調味料を使っていろんな物を作りたいのだ。

 年末はもちろん餃子やね。

 あ、年越しそばもいいなぁ。

 今から年始年末の賄いメニューを考えるのが楽しい。


 学生と違って働いていると1か月半なんていう休暇は取れないので、実家が王都か王都の近くにあるスタッフなら帰れるけど、そうでない人たちは店に残っちゃうから、彼らも満足させてあげないとね。

 あ、忘れる前に母さんに年末年始は誰と誰が残るのか聞いておこう。


 ライバル店情報は伯父さんズから仕入れたんだけど、特に問題はないらしい。

 フローリストパークとか似た様なお店がいっぱい出来てるけど、ウチのライバルには成りえないそうだ。

 ただ冬のコースはシチューとかがメインなので可成り真似られてるらしい。

 でも、デザートではウチの真似は出来ないし、カクテルの種類も断トツでウチの方が多い。

 何より寒いのに庭を見るというのはあまり魅力的でない中、ウチは冬でもあったかい温室で綺麗な花を見ながら食事が出来るので、相変わらず予約でいっぱいなんだよね。


 冬になって暖を取るために設置された薪ストーブ。

 実はこれ地球の写真で見た事のあるスタイリッシュなのを真似て作ってもらってたんだ。

 その薪の火を見た時、「あ、部室に暖炉や薪ストーブなかったや」と思った私は、この休み中に揃えてもらった方が良いと思い、闇王様に手紙を出した。


 この手紙がいけなかった・・・・。

 闇王様からの返事には、もちろん薪ストーブを発注するし、煙突を設置する工事もしておくと書いてあったのと同時に、フローリストガーデンで食事をさせろと書いてあった・・・・。

 冬も予約がいっぱいっす。

 どうしろと?


 よしんば大公様枠のテーブルを提供したとして、給仕たちに対応を押し付けていいのかな?

 何か一々この料理は~って説明をさせられそう。

 説明だけならいいけど、一緒のテーブルで食事をっていうのは止めてね~。

 部室でいつも一緒におやつを食べてたり、作戦本部で一緒に勉強したりしているので、大分緊張は解けて来てたんだけど、長期休暇に入っちゃうとまたぞろ『お貴族様=トラブル』という幼い頃から植え付けられている方程式が頭に浮かんで来ちゃうんだよね。


 あ、大公様と言えば、そろそろ一度学園生活の御報告へ行かないとなぁ~なんて闇王様の不幸の手紙を意識の外に追いやってみたりする・・・・。

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