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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 あややクラブの部室が出来上がった。

 拘った照明のお陰もあり、思った以上の雰囲気を醸し出してくれている。

 1階も2階も壁の無いワンルームの様になっているので広々としている。


「まぁ、平民が考えたにちたら、まぁまぁかちらね」なんて毒舌のアドリエンヌ様も言葉とは裏腹に目をランランと輝かせあっちこっち見入っている。


 作戦本部は本当に、ここでみんなで侃々諤々意見交換して何かの作戦を練ってそうな雰囲気がバッチリ出てるよ。

 黒板も良い味出してるねぇ~。

 男子4人がすぐに扇状に広がった2段のステージを飛ぶように上がって好きな様にデスクを並べ替えてるよ。

 うんうん、気に入ってくれたんだね。


 オープンキッチン一体型ダイニングとの間に明るい色の横木を間仕切り壁として設置してある。

 高さ1.5m、横幅2mで、キッチン側には小さな棚が一つ付いており小ぶりな鉢植えが3つ置いてある。

 裏面の作戦会議室側には鉄板が貼ってあり、小さな磁石が沢山ついていて、メモなんかを貼り付けられる様にしている。

 その横には筆記用具等の小物を入れた木箱を乱雑に重ねて、戦場っぽい感じにしてあり、ダイニング側は大きな観葉植物の植木鉢が床にも置いてある。

 それだけで圧迫感を与える事なく見事に大きなワンルームの雰囲気の切り替えを実現できている。


 一通り作戦本部を堪能した後、階段下の本棚に何の本を並べるかセシリオ様とボブで話し合ってる。

 床の小さな窓ガラスから入る光と、頭上の裸電球の様なデザインのランプが良い雰囲気。


 2階に上がると、直ぐ目に入るのは部屋の隅に備え付けられた錬金術スペース。

 使われている木材の色を明る目にしてもらっているので重くない雰囲気だけど、壁の上の方まで備え付けられている薬棚の様な収納スペースで良い意味で圧迫感があり、こじんまりと狭いこともあり妙に落ち着いた感じだ。

 孤独を楽しむって感じだよね。


 シェルフが隣のスペースとの間仕切りの様になり、孤立した雰囲気を保ちつつ、広々としたフロアという開放感も同時に与えてくれる。

 シェルフに物をたくさん置かない様にしないと、この開放感が失われてしまうだろう。


 反対側はズドーンと広いスペースで、ソファセットがゆったり並べられた横にゲーミングチェアを模した皮製の椅子を1脚だけ置いておいた。

 ただし、ベランダのスペースを取るために、幅広階段分だけ外壁が内側に作ってある。

 上から見ると縦長のコの字の様な感じだ。


 ゲーミングチェアについては、模しているというのは私の知識不足でリクライニングにできなかったからだ。

 ただ、頭まで包み込む様なハイバックシートで、ヘッドレストやランバーサポートを同色の皮で作ってもらってるので、座り心地は良いはず。

 少し倒した姿勢になる様に作ってもらってる。

 ちなみに、錬金術スペースの椅子もゲーミングチェアもどきだが、こちらはちゃんと座位になっている。

 で、一番奥が2つのお風呂場に挟まれたトイレ、ベランダ側のお風呂の戸の近くに自立式ハンモックを並べている。

 風呂上りに横になってくつろげる様にって感じだ。

 もちろん効果的に鉢植え観葉植物もあちらこちらに配置されている。


 ベランダへ出る窓は全部で4つ。

 ただし私のスキルで作ったガラスではないので、一つ一つの窓が金属の襖の枠にガラスを嵌めてもらっている。

 この世界のガラスはまだ透明感が低いし、瓶底眼鏡の様な分厚いガラスなので、ウチのレストラン程燦々と光が入ってくる訳ではないけれど、それでも壁の半分以上が大きな窓なので、こちらの世界にしたら十分明るい感じだ。


 ベランダの植物は綺麗に植えられてるけど、やっぱりまだ育ててる途中のお庭感はぬぐえないが、1年もすれば植物もちゃんと定着して落ち着いた空中庭園になると思う。


「すごいなぁ。絵を見た時もすごいと思ったけど、光の魔術がすごいぞ」

 ふわぁ。闇王様分かってるね。

 そうなのよ、光は大事なのよ。


「作戦基地、あれはすごい!俺、マジで気に入った」

 闇王様も気に入ってくれたみたいだけど、それよりもフェリーペの方が作戦基地を気に入ってる様だ。


「錬金術スペースってボブが使ってない時、僕も使っていいかい?」とセシリオ様は一人で落ち着くスペースが大好きらしく、ボブにオネダリしている。

「もちろんです」

 何かこの二人、結構気が合うんじゃないかな。


 アドリエンヌ様はベランダに設置されたベンチや吊り下げタイプの籐椅子がお気に召した様で、さっそく籐椅子に座っていた。

 下のキッチンでフルーツジュースを作って持って上がったんだけど、アドリエンヌ様だけはベランダの籐椅子から動かずにジュースを飲んだ。

 そんなにも気に入ってくれたんだなと思うとアイデアを出した方としてはとっても嬉しい。

 だって、あのアドリエンヌ様が闇王様より籐椅子の方を優先したんだよ。

 大事件だよ。


 台所は元々私の使い易い様に設計してあるので、驚く事はなかったんだけど、これでもかというくらいいろんな種類の食材が集めてられていた。

 私が渡したリストより断然多い食材がキチンと分かり易く収納されていた。


「おちゃら、結構可愛いでちょ?」

 アドリエンヌ様が用意してくれたお皿なども可愛い花模様が入っていてお茶の気分を上げてくれる感じだ。

「はい。とっても可愛くて、早く全部使ってみたいですね」と答えると、「じゃあ、いろいろちゅくってくだちゃらないとね」と早くも催促されてしまった。

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