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はうぅ。私が仕切らなければならないの?これ・・・・。
「えーーー、うっ、ではまず、敷地の大きさはどれくらいですか?」
「大体70平米だな。ただし!外から覗かれない様にしたいので、その広さ全てを建物で埋めるつもりはない。高い塀で囲み、建物と塀の間に少しだけでもスペースを空けたい」
「分かりました。では」と言って、紙を引き寄せ用紙枠一杯に塀を表す線を描く。そして建物の大体の大きさを同じ紙に描く。「こんな感じですか?」
「うん。なかなか良いだろう」
「みなさんもそれでいいですか?」
「「「うん(はい)」」」
「2階建てということなので、まず、どんな設備が欲しいかを話して、その後、何階に設置するかを決めましょう」
6人が頷いた。
「まず、本格的なキッチン。これは譲れません。で、勉強会をするのなら、勉強机がいりますよね。あ、後、料理を食べるテーブルと椅子もいりますかね」
内装を担当するなら自分が欲しいものは絶対に入れちゃいますよぉ。
「本棚はいるんじゃないか?勉強会だろう」とフェリーペ。
「僕は1人で落ち着けるスペースが欲しいかな」とは、セシリオ様。
「作戦本部みたいな感じで会議室っぽくってもいいかもな」と闇王様。
「私はお風呂かな」と勇者メグは男子も使う施設なのにすごいものをぶっこんで来た。
「ああ、風呂も作るなら使用人が湯を溜めるし、掃除もするぞ」
なんですとぉ。絶対お風呂が欲しくなったではないですかっ!
「お花がたくさんあるとうれちいですわ」
ボブは何も言わず、別の紙にみんなの出した意見を書いてくれてる。
「ボブ、ありがとう」と言って、書き出してくれたリストを受け取る。
「では、必要な物として、
キッチン、
ダイニング、
作戦本部風の勉強部屋、
本棚と
一人になって落ち着けるスペース、
花を楽しめるスペース、
そしてお風呂が必要とのことですね。この中でいらないと思われる設備はありませんか?」
「全部必要でいいんじゃないか?広さは十分あるんだし」という闇王様の鶴の一声で全部の施設を兼ね備えた建物を作る事になった。
ここは前世のアニメ視聴歴や子供の頃描き写して遊んだ漫画の技術を総動員してイラストを描きますかぁ。
「キッチンはオープンキッチンでカウンターを挟んでダイニングをと考えてます。口で言っても分かりづらいと思うので簡単な絵を描きますね」と線はガタガタだけど、どんな感じかはしっかり伝わる様にキッチンの絵を描いていく。
「で、独りになって落ち着けるスペースなんですが、思うに本棚の間を作ってみたらどうでしょう?」
これも絵にしていく。
「例えば2階へ上がる階段の下のスペースに小さな明り取りの窓を床の辺りに作って、その他は本棚にするんです。子供が2人入るといっぱいいっぱいになるくらいのスペースをイメージしてみて下さい」
「おおお!いいなぁ。なんか早く作って欲しい」とセシリオ様の目がランランと輝いていた。
「作戦基地っぽい勉強部屋となると、大きなテーブル、それも簡素なテーブルをドンと置いて、2面の壁に大きな黒板を掛けましょう」
私の頭の中にはディスプレイがいっぱい並んでる現代の作戦本部がイメージとしてあるのだが、ディスプレイなんてないこの世界、何を置いたらいいだろう?
「いいえ、良く考えてみたらデスクは簡素でいいけど、一人サイズを人数分並べて、一つの大きなテーブルにしたり、みんなが同じ方向をこういう風に向いて並べるのもありかもしれません」と、別の紙にデスクの並べ方をスクール形式やロの字やコの字などを説明するために、簡単な図を描いた。
「おっ!それいいな。なんかいろんな会議の方法が実現できそうだな。黒板も2面にあるなら続けていろいろ書けそうだしな。いいぞ!」と闇王様にご満足頂けた様だ。
「それにしてもお前、ポンポンポンポン、良くそんなアイデアが浮かぶな。すごいぞ」というお褒めのお言葉も続けて頂いちゃいました。
そりゃぁ、前世でいろいろとインテリア雑誌を見て来てるのでアイデアのストックは結構あるのですよ。おほほほ。
お金に糸目を付けなくて良いと言われたら、もう作るもんは決まってるザンス。おほほほ。
「後はお風呂とお花を楽しめる所ですね。お風呂は通常の感じでいいかと思うので、ここで考えるのはお花の方でしょうかね。ベランダを作って、そこを小さな庭の様にしてみたらどうでしょう?1階は塀で囲ってしまうので花を植えても閉塞感があると思うんですよね」
「へいしょくかんって何でしゅの?」
「塞がった感じというか、十分な広さがないという意味ですね」
「わかったわ。2階のベランダでいいでしゅ」
「はい。で、全体的に木の天井や壁にして温もりを出したいんですけど、作戦基地の部分だけ赤レンガ剥き出しにしたら雰囲気が出るんじゃないかなと思ってます。そして作戦基地のところだけ床を少し高くして、こんな風に」とまた別の紙に階段状に2段分床を高くして、そのスペースに行き着くのに扇状に広がったステップを登らなくてはいけないという絵を描いた。
「「「「おおおお!」」」」
段々みんなも部室の設計にのめり込んで来た。
もちろん私もね。