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 新しい朝が来た♪

 体が痛くてうめき声が出た。

 眠いのを堪えてストレッチしたのに・・・・全然効いてない・・・・。

 ミルコに揺すられて泥の底から意識が登ってくる様な感じで起こされた。


 昨日、さんざん遅刻はしない様に、朝食は抜くなと言われていたので、体がギシギシ言ってもなんとか起き上がった。

 頭はボーッとしている。

 着替えは昨日着ていたものをそのまま着る。

 ミルコが椅子の背中にちゃんと広げて掛けてくれていた様だ。

 流石、女性が多い冒険者パーティだ。気が利く。

 洗濯が大変なこの世界では、毎日服を着替えるのはお貴族様だけだ。


「おはようございます」

「「「おはよう」」」ミルコ以外の『麦畑の誓』のメンバーは既に朝食を始めており、一斉にアウレリアに挨拶を返してくれた。

 ミルコの姉、ドローレスは元来小さな子の面倒を見るのに慣れているらしく、アウレリアが座れる様に自分の横の椅子を引く仕草がとても自然だ。

「遅くなってごめんなさい」と謝ると、ドローレスが笑顔で「ちゃんと間に合ってるよ」と慰めてくれた。

「体の調子はどう?」と反対側に座っていたキャンディが心配そうに私の顔を覗いて来た。

「まだ、少し痛いです」

「そうよね。まだ5歳なのに馬車旅行はキツイよね。よく我慢してる。エライわぁ」と頭を撫でてくれる。

「でも、昨日教えてくれた体操で、俺は結構体が楽だよ。ありがとう」とサバドは嬉しそうだ。

 ストレッチが効いたんだね。よかったね。

 実は私もストレッチがある程度効いているのかもしれないが、体が訴えてくるあっちこっちの痛みにとてもそうは思えなかった。

 だって、歩くのも辛い筋肉痛になってるのだから。

 ぐぬぬぬっと体の痛みを我慢しながら椅子によじ登った。

 

 座るとすぐにスープとパンが運ばれてきた。

 昨日からずっと食堂や宿屋ではスープとパンが出て来た。

 一度だけ薄いステーキがついた食堂もあったが、どこも定食1種類のみで営業していた。

 まぁ、メニューがあったとしてもそれを読める事が出来る人は少ないし、嫌いな物が入っていたとしても、基本平民は常にお腹を空かしているので残す人は少ないしね、一種類の定食で十分なのだろう。


 ドローレスは私が肘などで食器を倒さない様に、コップ等を並べ替えてくれた。

 この辺にも弟妹の面倒を見て来たらしい経験が見え隠れしている。

 良い母さんになると思うよ。

「まだ時間があるから、落ち着いて食べていいのよ」と、また頭を撫でてくれた。


「姉さん、そろそろ食べ終わるなら、水と軽食の準備、お願いしてもいい?」

 ドローレスはほぼほぼ食事を終えているところだったので、最後の一口を搔き込んで、ミルコに頷きながら席を立った。

「アウレリア、また後でね」と言いつつ、ミルコに言われた物を揃えに行った。


 お昼ご飯は多分馬車が止まった村の食堂で摂るはずだが、道中の休憩の時の飲み物や、どうしても空腹を感じた時にちょっとだけお腹に入れるりんごなどのフルーツを用意しに行ったのだろう。

 この時期のりんごは甘酸っぱくて美味しいし、田舎の風景の中で食べるりんごは王都館で食べるのとは気分が変わって余計に美味しく感じるから不思議だ。


 そんな事を考えながらスプーンでスープを掬うと、私の前の席にミルコが座り朝食を食べ始めた。

「アウレリア、今夜にはポンタ村に着くので、この辛い移動も今日一日よ。がんばってね」

「はいっ」

「あ、それからトイレ行くの忘れないでね」

 そうだった。またトイレ地獄の一日が始まるのだった。


 そして、2時間毎の小休憩を取りながらも馬車はゆっくり轍の跡が残る街道を進んで行った。

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