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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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26

 今日の午後には家に帰れる。

 寮の部屋は平民仕様なのでとても狭い。

 貴族生徒用の部屋と違ってキッチンが付いていないのでスキルでいろいろ備え付けたかったんだけど、そもそものスペースがない。

 ベッドと勉強机、洋服箪笥でいっぱいいっぱいなのだ。

 トイレは共同だ。各階に数個用意されている。


 この世界ではあまりお風呂の習慣がないため、寮として共同のお風呂場もない。

 あ、貴族生徒の部屋にはスペースがあるので、バスタブを自分で設置すればお風呂に入れない事もないのだが、メイド等は学園内に入れないので、風呂にお湯を入れるのも自分でしなければならない。

 恐らくお貴族様であっても寮で生活している時は、お風呂に入っている人は極少数だと思う。

 まぁ、どっちにしても平民にはお風呂に入る手段が残されていない。

 なので!私は大きな空樽をストレージに入れており、お風呂タイムの時はベッドをストレージに保管し、その空いたスペースに板にタイルを張った敷物を、そしてその上に空樽を出し、スキルでお湯を満たす。

 まぁ、毎日やってるとこの工程にも慣れ、ストレージの使い方もやや上手になり、問題はないのだけれど、実家に戻って広いお風呂でバシャバシャやりたい。


 事前に作っておいたキッチンセットを、ベッドを保管した後に呼び出してもいいんだけど、寝るスペースで料理をすると臭いがね・・・・。換気扇もないしね。

 と言う事で、今の所部屋では料理をしていない。

 錬金術の部室で作る事はできるけど、あそこはお茶を入れるくらいの道具しかないのだ。

 スキルで出した道具を他の部員に見られたら面倒なのでクレープを作って以来、あそこで料理はしていない。


 う~ん、何とか学園内で好きな時に料理できる施設を手に入れられないかなぁ。

 お貴族様の目に留まらない様にキッチンを用意できないもんか・・・・。

 まぁ、これは今後、何か方法を見つけないとなぁと思いながら、寮から教室へ移動する。

 徒歩だと結構な距離があるので、その分朝は早く起きないといけないのだ。


「ねぇ、リア」

「ん?なぁに、メグ」

「何か良い匂いがするね」と、クンクンと私の髪の匂いを嗅いでる勇者1名。

「あ、昨日、髪を洗ったからね」

「え?お湯もないのにどうやって?」

「あ!魔法でね、お湯を出したの」

「へぇ、リアはお湯を作れるんだね」

「うん。でも、平民の部屋にもキッチンとか付いてたら良いのにね。そうしたらお茶だって好きな時に淹れられるし、髪を洗うのだって楽になるしね。お湯だけで良ければ必要な時に言って。髪を洗う分くらいは魔法で出せるよ」

「え?本当?それは嬉しい。ありがとう。この前リアん家に御呼ばれした時、お風呂っていいなぁって思ってたのよ。お風呂とは言わないから、髪を洗いやすくなると嬉しいよ」

「今はどうやって髪を洗っているの?」

「えっとね、バケツがあるので、お湯を食堂で買って持って上がってるの」


 恐らく幼い少女でも抱えて3階まで登れる量しか運べないはず。何往復もするのは体力的に無理だろうし、例え出来たとしてもバケツからお湯を零さない様に慎重に階段を上っていれば、先に持って上がったお湯はかなり冷めるはず。

「メグ、大きめの桶を買ったら?毎日でもお湯を魔法で出すよ」

「え?本当?それ、とっても嬉しい。本当にお湯を出してもらえるなら、この週末に少し大きめの桶を買って来る!」

「うん、買っちゃって。お湯は心配しないで」

 そんな事を話していたら教室に着いてしまった。


 教室に入るなり、マリベルとナナが駆け寄って来た。

 ああ、面倒事がぁ・・・・。


「ごめんね。ちゃんと聞いてみたんだけど、アドルフォ様が女子はメンバーに入れないって言われたの」

 メグが答えるなり、夜叉面を被った様な2人が「「ええええ!」」と掴みかからんがばかりになっている。

「えっと、アドリエンヌ様のお友達お二人もお断りされたのよ」とそっと助け船を出してみる。

「え?アドリエンヌ様もいらっしゃるの?」とマリベルの顔がギュとひん曲がった。

「うん」

 すると二人はコソコソと小声で話し、「やっぱ勉強会はいいわ。また何かの機会があったら私たちも混ぜるのよ!」ともう命令としか思えないお願いをして自分たちの席に戻って行った。

 彼女たちにとってもアドリエンヌ様は煙たいのだろう。


 呼ばれてもいないのに、闇王様の近くに現れては、近づく女生徒全般に噛み付く事で有名だものね。

 というか、実際に私たち二人はその被害に遭っているとも言う・・・・。

 でも今回は、ナナたちへの丁度良い防波堤になってくれたアドリエンヌ様に感謝!


「え?じゃあ、俺たちは勉強会へ参加OKなの?」

「うん。大丈夫みたいだよ」

「やったー!」

 でも、喜んでいるのはフェリーペだけでボブはあまり乗り気じゃないみたい。


 昨日の勉強会では何をしたのか話したり、週末は何をするのかとか、いつもの様に4人で過ごしていたら、とうとう家へ帰る時間になって来た。

 週明けにはまたバナナをとか言ってるお惚けさんたちがいるけど、そんなの無視して家へ帰ろう。


 この週末は梅園を作るという大事業が待ってるんだよ。

 おふぉふぉふぉふぉ。

 卵とかを取り寄せてる王都の隣村に梅をたくさん植えるのだ。

 そして私の梅酒と梅干し作り作戦を始動させるのだぁ。おふぉふぉふぉふぉ。

 だからバナナは覚えていたらだね。

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― 新着の感想 ―
要らなくなったお湯はどうやって捨てるのだろう?
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