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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
122/549

19

「ちょっと!何で闇王様と一緒だったのよ!!」

 月曜、ホームルームに入ると待ち構えていた同級生のマリベルとナナが走り寄って来た。

 声でかいよ。目立つじゃん・・・・。


 闇王様プラスセシリオ様と一緒に図書室に居た事が平民クラスにも漸く伝わった様だ。

 実は貴族クラスでは当日から上を下への大騒ぎになったらしく、翌朝から様々な意地悪を受けていたのよね。

 まぁ、意地悪って言っても聞えよがしに悪口を言われるとかで、まだ深刻な状態ではないんだけどね。

 将来的には昼食時に躓くフリをしてコップの水をぶっ掛けられるとか、トイレの中に閉じ込められるとか、荷物をズタズタにとか、卵をぶつけられるとか、ナイフで脅されると言った暴挙に出てくる者もいるかも?

 まぁ、卵は高級品だから食べずに人に投げるなんて勿体無いしね。やらないでくれると嬉しい。


「先週の木曜、図書室に一緒に入って、一緒のデスクで勉強してたって聞いたのよ!」

「そうよ、どういうこと?」

 マリベルもナナも彼女たちの尋問に答えるまでは解放してくれる気などなさそうだ。

 そういう事には疎そうな家の勇者が「お二人から一緒に勉強する様にって言われたので」なんてシレっと答えちゃったよ。


 ほら、燃料が投下されちゃったから二人の顔がみるみる真っ赤になって来ちゃったし、握りしめた両手がワナワナっと震えてるよぉ。

 こわ~い。

 何かを言いたいんだろうけど、憤怒の余り言葉が出ないみたい。

 表情は仁王像の様だ。

 丁度二人だから「阿」と「吽」だね。どっちがどっちだろう?

 なんて現実逃避をしていたら、「今度誘われたら私たちも一緒に連れて行きなさいよ」とナナが怒鳴る様に言って来た。

 漸く言葉が出る様になったのね。


 家の勇者は「うん。今週の木曜もお約束があるから、その時に一緒に行ってもいいかどうか聞いておくね」なんてツルンと爆弾を投下してしまった。

「何ですって!今週も一緒なの?」

「うん。毎週木曜って言ってたよ」

 この情報に阿と吽の2人は、木像から石像になってしまった。

 周りにいたこちらを遠巻きに見ていた男子生徒たちが一緒に石化しているのには笑った。


「お!こいつらの事を聞くんなら、俺たちのことも聞いておいてくれよ」とフェリーペがボブを指さしながら聞いて来た。

 でも、フェリーペ、ボブの顔が引きつってるよ?


「うん、わかった。聞いておくね」

 メグってとっても細やかな心遣いが出来るのに、こういう事にはかなり鈍感だよね。

 母さんは心配だよ。って、誰が母親かっ!

 一人漫才を頭の中で繰り広げ、未だ現実逃避を続けていた私を余所に、ガスペール先生が教室に入って来て、いつもの日課が始まった。


「おーい。皆席に着け~」

 先生の一言に、まだ席に座って無かった生徒たちがノロノロと椅子に座った。


「お前らこの2週間で全ての科目の授業を受けたはずだ。大分慣れて来ただろう?で、今週は魔法の授業だけ今までと少し違った形で進められるから、それについて今から説明するぞ」

 普通魔法の授業は魔法の属性別にクラスが分けられていて平民も貴族もごっちゃ混ぜだ。

 もしや、貴族と平民に分かれてするとか?

 そうなら良いなぁ~なんて思っていたら、今週だけは魔法についての共通知識についての講義なので、全属性を集めて一つの講堂でするみたいだ。


 いつもなら、授業は4属性に分かれており、スポーツエリアにある4つの講堂で実施されるのだ。

 北の講堂は水属性、南の講堂が火属性、東が土、西が風なのだ。

 勿論、魔法スキルを持っていない者は自由時間だけどね。


 う~ん、闇王様は火魔法と水魔法の2つの魔法スキルをお持ちです。

 どっちがサブスキルなのか知らないけど、2つもスキルを持っている事が珍しく、しかも火も水も有益な属性ということで将来王の如く人の上に立つだろうと囁かれている。

 ただ実際に王様がいるのに王を標榜することは非常にまずいので、黒髪、黒目という特徴から闇王というあだ名が付けられたらしい。

 私はどの属性の授業でも受けられるので、今後は風と土で授業を受ければ闇王様を避けていられるなって思っていたのに・・・・。土ならアドリエンヌ様、風ならセシリオ様が漏れなく付いて来る・・・・。

 今週は如何に闇王一行を避けられるかに力を注ぐしかない!!


「あ、講堂は火属性な!」と最後に大事な事を付け加える様に話すガスペール先生は通常運転だった。

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― 新着の感想 ―
成績が良くないとお呼び出しは受けないと思うんだけど…クラスの女子2人も成績を上げればワンチャン
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