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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 朝一でグルーとマンマに付き添われ、大量の食材を購入した。

 大聖堂の二本裏通りにある大きな屋根だけの市場。

 そこにはレンガで出来た陳列台が小売商の数だけ並び、たくさんの魚屋さんあり~の、八百屋さんあり~の、肉屋さんあり~の、ハム専門店あり~の、変わり種では小さな食堂なんてのも入ってる。


 ジャガイモを買うにしたって、ここの八百屋とあっちの八百屋では質や産地、値段が違うと言った感じで、安く良い物を仕入れようと思ったら、この広い市場の端から端まで見ないといけないのだが、ウチの店が普段から使っている店はせいぜい十数軒なので、今日のお買い物も馴染みの店でのみする予定。

 だって掛けで買えるんだもん。


 さて、昨日の夜から頭の中で温めていた今日お試しで作るメニューは、


ビーフシチュー

クリームシチュー

ポトフ

ロールキャベツ

チーズフォンデュ


エビグラタン

マカロニグラタン


それとアミューズ


デザートはプディング(オーブンでちゃんと焼くやつね)


 結構沢山あるねぇ。

 でも、スキルがあるから大丈夫。

 プラス、伯父さんズにも手伝ってもらおう。

 今日の賄いはビュッフェスタイルで皆に試食をしてもらって人気投票かな?

 まぁ、賄いも昼と夜の2回あるしね、お昼だけで試食ができなかったら、夜もやればいいだけだしね。


 結局、『フローリストガーデン 光』初、いえ、オルダル国初のパスタはスパゲッティとかではなく、グラタンに入れるマカロニにするつもり。

 ペペロンチーノやカルボナーラみたいに前菜をとも考えたけど、シチューとかで満腹になるから無しにしたのだ。


「へぇ、これが冬のメニューなのかい?これ全部お前が作ったのかい?」

 賄いのため、地下の居間に3つのテーブルを一列に並べて今日の試食分を全部乗せたのを見て、フェイ伯母さんはびっくりした様だ。

「伯父さんたちにも手伝ってもらいました。マルタ伯母さんに言われて昨日考えた冬のメニューなんです。で、今までのコースとは構成を変えようと思ってます」

「変えるって?」とスティーブ伯父さんが眉を寄せた。


品数(しなかず)は今より少なくなるので楽になると思います。寒くなるので汁物が多くなると思うので、長く煮込む事が必要なメニューが多くなります。だから前もって作っておき、注文が入れば皿によそうだけになると思います。コースはアミューズ。ここら辺にあるのがそうなんですが」と左端のテーブルを指す。


 料理は見本となる様に普通の大きさに盛った皿を鍋の前に、みんなの試食用に1~2口分を盛り付けた小皿が鍋の横に用意してある。

 それが料理毎にズラッと並んでいるので壮観だ。


「アミューズと言って、一口サイズの料理を盛り合わせを最初に出します。アミューズが美味しければ、お客様はこれからの料理への期待が高まります。おつまみみたいな料理を3種類ぐらい、それぞれ一口分を小さなお皿に盛り、更にそれらの小皿を一つのお皿に並べて出します。こちらがお客様にお出しする時の見本です。今日は卵のカナッペとサーモンの酢漬け、蕪と鮪のカルパッチョを作ってみました。まず、それぞれの小皿を試食してみてください」


「あ、美味しい。このサーモン、さっぱりしていて玉ねぎがアクセントになってる。一口分しかないのが残念」サブリナが嬉しそうに次の小皿に手を伸ばした。

「次はいつものサラダですので、今日の賄いでは省いています。で、サラダの後にメインを選んでもらいます。メインは全部で5種類で、シチュー、ポトフ、ロールキャベツ、チーズフォンデュとグラタンです。今日は試食なので、お肉やお野菜を小さく切っていますが、お客様に出す時はそれぞれの鍋の前に置いてある見本の様に、大人の拳大の肉やゴロゴロ感がある野菜になるので、食べ応えはあると思います。シチューとグラタンは日替わりでと思っているので2種類ずつ作ってみました。では、小さなお皿に注いでいくので、みんな試食してみて下さい」


「これも美味しい」

「お肉があれだけの大きさならメインとして食べ応えがあるな」

「フォンデュは食べる人が自分で鍋の中のソースに具材を絡めるのか」

「うわぁ、お肉がスプーンを入れただけで崩れたよ」

「確かにこれなら毎日作る料理の種類は今より減るな」

 みんなの反応も上々の様だ。


「で、フォンデュなんですが、お腹いっぱいになるまで時間が掛かるので、夜の営業のみにしてはどうかと思います。チーズを溶かした中にキルシュ酒を入れるだけなので調理も簡単です。具材を切るだけだし、パンだけじゃなくって蒸かしたジャガイモなんかも入れて早くお腹がいっぱいになる様に工夫できます。で、最後のデザートですがこちらも2種類作ったので試してみて下さい」


「これも本当に美味しい」

「このプディングっていうのは温かいのね」

「大きいのを焼いて切り分けるのか」


「プディングはトムおじさんが言う様に大きいのを焼いて切り分けるんだけど、こっちの見本の様に見栄えが良い様に生クリームやフルーツなんかで飾る方がいいと思います。ジャムを使ってもいいかもしれません。後、メインにはソーセージを多く使う様になるので、冬になる前に肉屋さんに仕入れを相談してみて下さい。ロールキャベツはミンチ肉を使う様になるので、今あるミンサーで作れない事はないのですが、まだ手動なので大量に作るのはキツイかもしれないです。数量限定にするという手も考えてみますね。で、新しいコースの構成はいかがですか?」


 次男であるスティーブ伯父さんが厨房長なので、まずは伯父さんの意見を問うてみた。

「味はどれも美味しい。見栄えもいい。それに料理の数も減ったので厨房の負担がぐっと減るのがいいな」

 給仕長である母さんからも、「サーブの手間もぐんと減るのがいいわね。アミューズの形を崩さず給仕するのは注意がいるかもしれないけど、それを考慮しても楽になると思うわ」と好評だった。


 それからはスティーブ伯父さんと材料の入荷についての打ち合わせと、母さんと相談しながら冬用のメニュー表の原案作り、そして大量のアミューズ用の小鉢やスープ皿をスキルで作りまくった。

 アミューズの小鉢ってガラスあり~の、陶器あり~の、スプーン型あり~ので作ってて楽しかった。


「後ね、冬服は今の制服が長袖なのでそのままで問題ないと思うけど、夏服を作るならそろそろ被服工房の方へも頼んでおかないとと思っているから、デザインが決まったら来週末でいいから教えてね」と母さんに言われて、実際に店をやっていると先に先にと考えないといけない事が多いのだと気付かされた週末でもあった。


 父さんからは「私も冬は温室がメインになると思うから、植物の配置を考えてるところだ」と言われ、本館から温室へ料理を運ぶ用のワゴンをスキルで作って追加しておいた。


 今すぐ冬になるわけではないけど、ぼちぼち用意しておかないとね。

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