表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
112/546

9

 いよいよ入園してから初の週末だ。

 週休二日なので、金曜の午後の授業が終わったらそのまま家へ戻り、日曜の夜に帰ってくる予定だ。

 私がいなくてもレストランに問題がなかったかどうかの確認だけでなく、父さんたちの顔を見たいので家に帰れるのが嬉しい。


 まだ夕方でも陽が高く、夏のうず高い雲が消え、真っ青な空が段々と茜色に染まる中、学園近くの乗り場から乗合馬車を拾った。

 貴族の子弟は自分の馬車で移動だが、平民生徒や下級貴族の子弟の中にはこの馬車を利用するものも少なくない。

 同じクラスの男子が数人と見た事もない上級生らしい学生が同じ馬車だった。

 貴族街を半周してウチの店に最も近い乗り場で降り、走って帰った。


「ただいま~」

「アウレリア、顔を見せて。学園はどう?」とすぐに母さんに捕まった。

「うん。友達ができたよ」

「あら、もう?良かったわね」

「うん。もっと仲良くなったら家へ呼ぼうと思ってるの」

「そう。是非招待してちょうだい。どんな子たちなのか母さんも知りたいから」

「うん」


「で、今日は何人の予約なの?」と、さっさと仕事の手伝いをしようとしたら、「実はもう夜も通常営業してるのよ」なんて母さんから爆弾宣言があった。

「へぇ」

「あなたが学園に入ってすぐに夜も普通に営業することにしたの。相談せずに変更してごめんね」

 いやいや、普通に営業できているのなら問題はナッシング。

 夜を隔日の予約だけにしたのは、みんながこの店と仕事に慣れるためのモラトリアムだったんだしね。

 夜の料金はどうしているのかと聞いてみたら、少し高めに設定しているとのこと。


 マルタ伯母さんが、ゴンスンデで働いていた食堂でも昼と夜では料金を変えていたから、ウチでも夜は少し高めに設定した方が良いと言ってくれたらしい。

 昼とまったく同じメニューで料金だけ違うというのもおかしいので、夜だけは貸し切りの時に出していたカナッペを突き出し感覚で一皿余分にコースに付けて出しているそうだ。

 残りのメニューは昼のコースと全く同じで、もう一つ違いと言えば、1杯だけ飲み物が夜のコース料金には含まれている。

 これはお食事中の飲み物の事で、テーブルに案内されるまでのバーのカクテルは家の夜の稼ぎ頭らしく、別料金という扱いになっているらしい。


 よく考えられていると思うよ。

 それにしてもマルタ伯母さんには頭が上がらないなぁ。

 二色のポタージュとか、夜の料金設定とか、色々とウチの事を考えてアイデアを出してくれる。

 ありがたや~。


 心配していた様な大きな問題もなかったらしく、ウチのレストランももう大丈夫かなと思っていたらマルタ伯母さんからそろそろ冬になるので新しいメニューをと言われてしまった。

 そうだよね。入園したのが秋の初めだったので、もう冬はすぐ目の前だよね。

 

 スープをシチューにしてみたらどうかな。

 体もあったまるし、何より美味しい。

 熊のまどろみ亭でも人気だったしね。

 クリームシチューとビーフシチューでもいいね。あ、ポトフなんてのもありかも?

 でも、ポトフってメイン料理だったかも?

 シチューの肉を大きな塊のまま料理すればポトフでもメインになるかも・・・・。

 

 う~ん、私がレストランのお客だとして寒い冬に何を食べたいか・・・・。

 ローストビーフはいらないかな。

 温かい料理・・・・ロールキャベツとかもあるね。

 寄せ鍋とかもいいよね。

 和食を出すなら日本酒とか味噌、醤油がいるよね。

 分葱とか、みょうがとか大葉とかじゃんじゃん植えないとだし・・・・。

 まぁ、食材育成のスキルで通常より育成速度を速める事が出来るので、今から植えても問題はないとは思うけどね。

 和食の調味料かぁ・・・・。

 学園ではあんまり魔力を消費しないから寝る前に醤油とかスキルで作ってストレージに保管しようかな。

 とりあえずこの週末に薬味は温室に植えて貰おう。


 楽に素材を手に入れようと思ったら和食はどうしても選択肢から外れちゃうなぁ。

 普段は寮なので、足りない素材を私のスキルで作り出してっていう裏ワザは、急遽品切れになった場合対応できないから、今の状態では使えないしね。

 まぁ、冬休みまで寮で大量に作ってストックして、数に不安がなくなってからだね。

 シチューとかポトフ、ロールキャベツなら素材が楽に手に入るから、メインを熱々グラタンやラザーニャとかにしてコースにする?

 頭の中にゴロっとした大きめのじゃがいもやら人参がスプーンで触るだけで崩れる大きな肉の塊と一緒にシチューの中に見え隠れする図が浮かぶ。

 いやいや、シチューは結構お腹が膨れるよね?

 う~ん、これはコースの建て付けからガラっと変えてみようかな?


 夜の営業を手伝いながら、冬の素材で作れる色んな料理について考えてみた。

 これは・・・・明日の賄いで考えているメニューを全部作って、みんなの感想を聞くのが一番かもしれない。

 汁物が増えるのならスープ皿もスキルでたくさん作り出さないとだしね。

 これも夏頃に冬のメニューを考えていれば、お皿とかは外注できたはずなんだよね

 自分の頭が回って無かった事を今更ながら反省!


 明日の朝、早起きして材料を仕入れてこよう!

 いろんなシチューやグラタン、パスタ系を作ってみよう。

 今の内にグルーとマンマに明朝の買い物の荷物持ちをお願いしておかないと・・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
冬は(個人的には胃もたれするから苦手だけど) ラザニアなんか良いかもね。 冬はビーフシチューなんかも好き 温めたお皿に料理を乗せるのも良いよね。 フランス料理で食べたエイヒレ(乾物じゃないやつ)も良か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ