表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
107/549

4

「アウレリアって言います。メグさんですよね」

「うん」とにっこり笑ってくれたメグはマジ可愛い。

「こんにちは。声を掛けてくれてありがとう。私ここで友達が出来るかどうか心配だったんだぁ。メグって呼んでね」と更に笑顔を全開にしてきた。


「うん。アウレリアでもリアでもどっちでも好きな方で呼んでね。私も友達ができるかどうか不安だったんだ。よろしくね」

「一緒に食堂へ行く?」

「うん、喜んで」

「どんな食べ物が好きなの?」

「何でも好きだけど、甘い物は特に好きかなぁ」

「あ、私も甘い物大好き!」なんて自己紹介も兼ねながら二人でゆっくりと食堂へ向かった。

 後ろから男子二人が付いて来ているのに気づかないまま。


 貴族教室の裏あたりに教室棟の食堂がある。

「貴族教室の前を通らずに、外から回らない?」

 お貴族様イコールトラブルという図式が頭の中にある私は、思い切ってそんな提案をしてみた。

「うん、いいよ」とメグは屈託がない。

 上手くお貴族様を回避し、まだ時間が早いので人影疎らな食堂の中へ入り、窓辺などの景色の良いところではなく、平民用に用意されている調理場の近くの席に座った。


「ねぇ、一緒に座っても良い?」と突然男の子の声がした。

「「え?」」

「同じクラスのフェリーペって言うんだ。こっちは幼馴染のボブ。君たち入試1位と2位の2人だよね」と例のイケメン君が大人し目の男の子と一緒にこちらを見ている。

「うん、いいよ」と屈託のないメグがさっさと許可を出してしまった。


 フェリーペたちが座っている間に、「あ、ごめん。勝手に答えちゃった。良かった?」と聞かれたけれど、今更ダメとも言えず無言で頷いてしまう。

「ここは男子が多いから、男子とも仲良くしないと友達の数が少なくなっちゃうしね」と言われてみればその通りだった。


「僕もね、入試は10位以内には入ってるんだけど、君たち二人はすごいねぇ。どうやって勉強したの?」なんて入試についての話から、どんな食べ物が好きか嫌いか、魔法についてとかいろいろ話をしながらお茶を飲んでいたのだが、だんだん昼食を摂りに来た学生が増えたので、今の内にと4人でランチにした。


 教室棟の食堂は平日の昼しかやっていないのだが、定食が2種類のみ用意されている。

 今日は肉料理と魚料理だ。

 料金は学費の中に組み込まれているので、どちらの定食を食べても同じなのだ。

 男子の中にはお代わりする子もいるらしく、「お代わりは1度までなら無料だよ」と配膳のおばさんに言われた。


 スープとメイン、そしてパンと水というのがこの国の定食の定番だが、学食も同じだった。


 肉よりも魚の方が食べる機会が少ないので私は魚を選んだけど、残り3人は肉を選んだ。

 お魚のムニエルっぽいモノを食べてる私を見て、フェリーペが「お魚ってあまり食べた事ないんだけど、食べづらくない?」と聞いてきた。

「え?う~ん、家は食堂をやっているから結構魚は食べるんだよね。美味しいよ」

「王都は海が近くないから魚が珍しいのかな?家はゴンスンデだから魚は良く食べるよ~」とメグ。

「え?どんな魚料理があるの?ウチの店の参考にしたいから教えて~」って頼むと、スープやムニエル、ポワレ、フライがあると教えてくれた。

 そうか、煮魚はないのか。

 醤油がないと無理なのかもね。


 そんな風に食べながらでもいろんな話題が次々に出て来て、最初は男子もいるので緊張していたけれど、段々楽しくなって来た。


 食事も終わり頃になってフェリーペが「ところで君たち、どこのクラブへ入部する心算なの?」と聞いて来た。

「色んなクラブを見てみたいな」とキラキラした目で応えてくれたメグと一緒のクラブに入りたい私は、彼女の横で頭を縦に振った。

 本当は調理器具作りをしたいので錬金術クラブが希望だけど、数少ない同性の友達とは出来るだけ一緒にいたいしね。

「俺はね、錬金術クラブに入ろうと思ってるんだ」

「へぇ、どうして錬金術クラブなの?」

「家がね、錬金術で作られたモノを売っているんだ。工房じゃないからウチでは作らないんだけど、工房が作ったものが良いかどうか判断しなくちゃいけないし、授業では錬金術がないからクラブでしか勉強できないしね」

「え?錬金術の授業って無いの?」と思わずフェリーペとメグの会話に口を挟んでしまった。


「そうなんだよ。授業で錬金術があれば良かったのにね。で、此奴、ボブの家は錬金術の工房だから、一緒に錬金術クラブに入るんだよな」とボブの肩を軽く叩いた。

 ウチの従兄のパンク並みに無口なボブは無言で頷いた。


「君たちも良かったら一緒のクラブに入ろうよ。いろんな器具が作れて楽しいぞ」とフェリーペが誘って来た。

 元々、錬金術クラブを狙っていたので私に否はないけど、メグはどうだろう?

 色んなクラブを見て決めたいって言ってたから、直ぐに錬金術クラブに決める事はないだろうなぁ。


「錬金術クラブも一回訪ねてみるね。面白そうだしね。でも、やっぱり色んなクラブをまず見てみたい」

 メグって可愛い見掛けによらず意思をしっかり持ってそうだ。

 でないと平民が入試2位ってならないはず。


「分かった。俺たちも一緒に色んなクラブを回るよ。他のクラブも見てみたいからな」と、今日の午後は4人で色んなクラブを見て回る事になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ