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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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1

 へぇ~。きっちり貴族と平民を分けるのね。

 開園式には1年生と先生方、そして保護者のみが出席なので上級生はいないのだが、大広間の中にぎっしりと人が詰まっている感じだ。

 だって保護者の数が半端ない。

 自分ところの子供の晴れ姿ではあるから、もしかしたら親族一同で来てるとか?


 赤レンガで作られた学舎の端にあるこの大広間。中に入ると前面には舞台の代わりに一段高くなる様に横幅5メートルくらいの木の踏み台が置かれている。20㎝くらいの高さがあり、その上に立派な演台が置いてある。

 その演台のすぐ前に百数人のお貴族様の新入生が座り、その後ろに私たち平民新入生が15名、更にその後ろに保護者が座っているのだが、平民の保護者は出席していない。

 不思議な事に平民の保護者は最初っから招待されていないからね。

 だから家の親も来ていない。


 白い服を着ているのが生徒なのだが、制服はない。

 平民や貧しい下級貴族などは子供の制服を用意する事が難しい場合があるので、生徒はどんなデザインでも良いので白い服を着て来る事が義務付けられているのだ。

 学園側は黒の服にしたかったらしいけれど、黒に染めるには大量の染料が必要となり、やはり資金繰りが厳しい家の生徒には用意ができないので、学園側は泣く泣く白色に決めたらしい。


 そんな中、少数ではあるが同じデザインの青い制服を着ている生徒をチラホラ見かける。

 演台の真ん前、最前列に座っているのは、その中でも他と明らかに違うオーラを放っている闇王と呼ばれているアドルフォ・クラッツオではないだろうか。

 かーーっ。めっちゃオーラがあるよ。

 5歳くらいの子供のくせに。

 でも6歳になるぎりぎり前に入学したから、もしかしたら私の方がお姉ちゃんかもね。

 ランミス先生に教えてもらっていなかったら平民の私にはお貴族様の重要人物とか知る由もなかったけど、先生のお陰でアドルフォ君の特徴を知る事ができ、君子危うきに近寄らずを実施できる。ありがたや~。


 特徴のある黒髪黒目の見目麗しい男子で公爵家の後継ぎなのだ。

 見た目が黒だから闇王と呼ばれているらしい。

 髪も瞳も黒というのはオルダル国では珍しく、クラッツオ家の特徴なのだ。

 冷たい威圧感漂う貴公子という感じだ。

 しかも、この公爵家、国屈指の素封家でもある。

 遠い昔、王族の血が入った家らしく、所謂ほんまもんの青い血だ。


 地球でもそうだったけれど、この世界でも王室や上級貴族の事を青い血と言うんだよね。

 でも、切ったら赤い血が出るとは思うんだけどね、なんで青って言うんだろう?本当に青い血ならゴブリン?魔物?あはははは。


 闇王は平民なんか人間じゃないと思っているのか、民草を睥睨するその尊大な態度は、時に下級貴族へも向けられるらしい。ランミス先生談だけどね。でも、見るだけでそんな雰囲気だね。

 

 学園内にはクリサンテーモという、所謂将来国を動かすであろう優秀な遺伝子を引き継ぐ上級貴族の男子生徒と、そんな方たちと結婚する可能性の高いこれまた上級貴族家の女子生徒のみで構成されている会がある。

 貴族でないと所属できないのだが、貴族であっても代々由緒正しい高位の家や潤沢な資金のある家でなくては所属できず、急に金持ちになった下位の貴族の子弟は何か特殊な事情がなければメンバーにはなり得ない。

 寮や制服も一般生徒と違うし、昼食の時の学食も違う雲の上の方々が代々所属している会であるのだが、アドルフォ様は当然会員だ。

 いや、彼は今期のクリサンテーモの中でもトップと言って良いだろう。

 例の青い制服を着ている生徒がクリサンテーモの会員なので、ぱっと見で分かるのはありがたい。

 だって近寄りたくないじゃない。


 私たちの年代は王家に同年代の子供はいないので、学生でいる間に王家の子弟は入園してくる事はないはず。

 ヒエラルキーの頂点である王族が学園にいない空白期間とも言える私たちの世代に、王のごとき威厳を持って君臨しそうなのがこの闇王なのだ。

 いや、もう、絶対、きっと、必ず君臨するでしょう。


 で、彼の左隣に座っている水色の髪の美少年が、闇王の親友と言われているセシリオ・トラッツィーアだろう。

 彼もクリサンテーモの会員だ。

 闇王と対等に話せる数少ない人間で、常に柔らかな笑みを浮かべているらしいのだが、どうしてだろう・・・・私にはあの笑みに闇が見える・・・・。

 瞼をゴシゴシとこすってもう一度見て見たけど、うん、やっぱり暗いね・・・・。


 うわぁ、闇王様との間に2席挟んだところにアドリエンヌ・カサノッサ様が!

 ランミス先生によると、数代前まで下級貴族だったのがオルダル国屈指の富豪になり、今や上級貴族にまで上り詰めたカサノッサ家の長女様だ。

 うぉーーー!美人。美人だけど冷たい美貌だ。

 そんでもってこれまたランミス先生情報では、闇王様の正妻の座を本気で狙っているらしい。

 狩人だよ。うん、あの闇王に向けている鋭い視線、5歳にして立派な狩人!


 アドリエンヌ様は横に座っている女子生徒2人と話しているというか、その2人がずっと喋っていてアドリエンヌ様は彼女たちの囀りを聞いているって感じかなぁ。

 わぁ、お取り巻き2人の目もがっちりと闇王様にロックオンされているよ。


 何はともあれお貴族様には近寄らないに限るね。

 くわばらくわばら。

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― 新着の感想 ―
誤字報告しようと思いましたが削除だけは出来なかったのでこちらに。 まだここまでしか読んでいませんので的外れであるなら申し訳ありませんが、公爵である時点で素封家では無いのであとあと主人公の思い込みである…
いくら早熟な世界だとしても… 作者さんは5〜6歳の子供たちのイメージができてないのかな。 教養レベルが異次元か、リアルの人間に似てるけど5〜6歳にして既にティーンエイジャー以降レベルの心身の成長を遂げ…
感覚的に設定年齢が5歳くらい上なら色々納得出来るんだけどなぁ。
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