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「こんにちは、アウレリア。私はミルコって言うの。あなたの父さんと母さんとは小さな頃からお友達なの。今日はこれから私のパーティと一緒に、あなたのご両親の故郷、ポンタ村へ一緒に行きましょう」
うわぁ、女性なのに、スカートを履いてない!
そばかすだらけなのは色白のせいね。
肩のあたりで揺れている赤毛がとっても似合うボーイッシュな冒険者だ。
びっくりだよ。だって、この世界では庶民の女の人でさえ足首くらいまでのスカート履いていて、女性が足を他人に見せるのははしたないって言われるのに、ズボン?
冒険者って平民であるケースが多いとは聞いてたけど、そうか・・・・長いスカートだと自由に動けないからかぁ。
子供でも結構な丈のスカートが当たり前。
だから、私なんて動きづらいのを我慢しているのに・・・・。
冒険者になったら服装が自由なら、冒険者になるのもアリかも!!
今まで貴族街から出た事がなかったから、女性冒険者を見た事がなかったけど、ミルコ達以外の冒険者もこんな感じなのかな?興味津々!
前世では普通だけど、ここでは珍しい服装なのに、ミルコさんにはとっても似合ってる。
茶色のマントを纏い、その下には生成りのシャツと深緑色のベスト、灰色のミリタリーカーゴの様なポケットがたくさんついた細身のパンツを履いている。
腰に吊り下げられている剣が、庶民版オスカ〇様みたいで、格好いい!
そんな彼女が私と目線を同じくするため、しゃがんで私の顔を覗き込んだ。
「ミルコさん。パーティのみなさん、アウレリアと言います。よろしくお願いいたします」とほほ笑みかけるとみんなが驚いた顔をした。
ミルコさんの肩がピクッと動いて、父さんの方を振り返った。
「ギジェが賢い子だって言ってたけど、これはすごいわね。それにまんまレティシアだわね。これは年頃になったら周りが放っておかないわね」
子供らしく見える様、「と申します」ではなく「と言います」と自己紹介したのに、賢いって?何でかな?
大人の目をちゃんと見て挨拶したのが子供らしくなかったのかな?
「アウレリアは、ポンタ村へ行く理由をちゃんと理解しているから、旅は初めてでも愚図る事はないと思う。もし、言う事を聞かなかったら、どうしてそれをしなければいけないのか、ちゃんと説明すれば従うから頼んだぞ」
「ふぅ~。それはすごいわね。とても5歳児とは思えない。でも、ちゃんと言う事を聞いてくれるなら、護衛もしやすいので嬉しいわ」
スッと立ち上がったミルコさんは、今度はお父さんの方を向いた。
「兎に角、お昼ご飯の前に出発しましょう。遅い時間になると定期の乗合馬車がなくなって出発が明日になってしまうわ」
「わかった。みんなで執事の所へ行こう」
父さんを先頭に皆縦一列になってゾロゾロと館へ移動した。
2階の旦那様の書斎脇にある執事の方々が書類仕事をする事務室の扉を開けると、オルランドさんがデスクで仕事をしていた。
数いる執事の中でも唯一王都館に常駐する執事さんだ。
父さんが用件を告げると、1階の音楽室で話そうということになった。
「オルランドさん、こちらは『麦畑の誓』という私たち夫婦と同郷の冒険者パーティで、私の実家からの手紙を持って来てくれました。家の親が怪我をして宿屋の仕事が滞っているので、妻か娘を寄こして欲しいとのことで、娘をあっちへやることにしました」
「ギジェルモの実家は街道の宿屋でしたね?」
「はい。で、『麦畑の誓』がこのままアウレリアを村まで護衛してくれるとのことなので、出発させようと思っております」
「そうですか。アウレリアは使用人ではないので、いなくなる分には誰に許可を得る必要もありません。その代わり、こちらに戻ってくる時は使用人の子と言えど人が増える事になるので許可がいる様になりますが、良いですか?」
「はい。背に腹は代えられないので、それはしかたないと思っております。馬車の時間もあるので、これからすぐ出発させることにします」
オルランドさんへの説明が終るや否や、父さんが私をぎゅっと抱きしめ、続いて母さんが涙を浮かべながらぎゅっとしてくれた。
大きなカバンは布製だが、私の服や身の回りの必需品全てが詰まっているのか、見るだけで重そうだ。
背嚢は私の背中にあるが、それより数倍大きなカバンはミルコさんの手に渡った。
私じゃあ、重たくて運べないからね。
オルランドさんにもお行儀良く挨拶をしてから廊下へ出ると、メイドさんの中でも良く話をした事のある人が数人立っており、「元気でね」と手を振ってくれた。
1階に降りると、ルイージさんやハウスメイドのアナベルさんが大きく手を振ってくれる。
「早く戻ってくるんだよ」と皆を代表してアナベルさんが私の頭をワシワシと撫でた。
皆どうやって私が旅立つ事を知ったのだろう?
もしかして盗み聞き?




