表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第3話

私は車に轢かれた後、白い天井の部屋で目が覚めた。

おそらく、病院なのだろう。

「あ…私、死ねなかったんだ」

私は人を助けてそのまま死にたかった。

私はいい事をして死んだんだ、と自分が生きた理由を、死んだ理由を作りたかった。

なのに、

「まだ…生きてる…」

私は1人で呟いた。

私が死を望むようになったのはいつからだろう。


何に対しても優れていた私は、常に優越感に浸れていた。

浸れていた優越感も、ずっと感じていれば、それは無感情と変わらない。

私は、いつしか自然と人を見下すようになった。

そんな自分が嫌で嫌で仕方がなかった。

その時に思ったのだ。

感情なんかなければ、人間じゃなければ、今この瞬間に死ねれば、と。

とある日ことだ。

高校生の私は、人と関わる気力が沸かなかったことから学校を休むことにした。

だが、ずっと家にいると学校に行っていない事が家族にバレてしまうので、外を飄々とすることにした。

気づけば私は、隣町の飛梅町まで来ていた。

そこの交差点での事だ。

細身で学生服の男性が、赤信号にも関わらず道路を横切ろうとしていた。

私がそこで見た光景は、とても芸術的なものに感じた。

車が、その男性を狙っているかのような勢いで遠くから走ってきているのだ。

私はその時、こう思った。

そこにいるのが私だったら、と。

「危ない!」

そんなことを考えていたら、私は咄嗟に男性に向かって叫んでいた。

早く死にたい。

その時の私の頭は、そればかり考えていた。

私は走り出した。

思い詰める日常も、引き裂けそうな想いも、全てこの瞬間に終わる。

やっと、そのきっかけができたのだ。

「私は人を助けて…死ぬ…!」

私は小声で呟いた。

私が押した身体は確かに射程範囲から離れた。

そして私の身体から鈍い音が鳴り、そこに意識を置いてきた。



───これで、やっと楽になれる…───

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ