第1話
「ただいまー!」
祐希は家中に響き渡るような声で言った。
少し前までの祐希の声とは、まるで別人ではないかと錯覚してしまうほどの変わり様だった。
「おかえり!」
そこには、いつもと変わらない母、優子の姿があった。
「今からご飯作るね」
「いつもありがとう。毎日助かってるよ。」
優子との何気ない会話を済ませ、祐希は自分の部屋へと向かった。
その途中で、祐希が帰ってきた音を聞いて、下へと歩いてきた妹の穂乃香と会った、
「おかえり、お兄ちゃん」
穂乃香は柔らかい声で話しかけてきた。
「ああ、ただいま!」
「お兄ちゃんはいつでも元気だね。学校から帰ってきても疲れないの?」
「まあな。学校で疲れてちゃ、自分がほんとにやりたいことが出来ずに終わるだろ。もったいないじゃないか。」
「そんなふうに考えれるの、お兄ちゃんくらいだよ」
祐希と穂乃香は会話を済ませ、お互いの部屋に戻った。
喜野家は、僕と母と妹のの3人暮らしだ。
父は物心が着いたときにはいなかった。
母が言うには僕が小さい頃に離婚したらしい。
だが、正直どうでもいい。
家族なんて所詮他人だ。
僕が成人して、1人で生きる力を付ければ無くなるような関係だ、と思っている。
祐希はご飯を済ませ、すぐに眠りについた。