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プロローグ
「俺って…今生きてる意味あるのかな?」
ある日の学校からの帰り道、喜野祐希は1人呟いた。
草木が生い茂る道の向こうには何があるのか。
「やっと着いた」
家だ。
まるで遠くの町から来たような言い方だった。
「あぁ…疲れたな」
そう、祐希は疲れていた。
学校に行ってるのだから疲れているのは当たり前だ。
しかし、祐希の疲れは学校による疲れではなかった。
「死ぬなら早めに死にたいかな」
祐希は力のない声だった。
生き疲れである。
生きていることそのものに疲れて自分の存在意義を見失ってしまっている。
現在、高校生である祐希は他と相違ない、普通の学校生活を送っている。
友達も比較的多く成績こそ普通だが、傍から見たら幸せな学校生活である。でも、
「ここにいたって俺はなんも出来ないし…」
何も成せない。
祐希はそう思っているのだ。
彼は、何かを成せないならば生きる意味などない、そう思っている。
「ただいまー!」
祐希は家中に響き渡るような声で言った。