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陳
荒野。
一人歩く編み笠を目深に被った男。
その行く手に四人の集団が現れた。
「待っていたぞ、陳」集団の一人の男が言う。
そして集団は陳を取り囲んだ。
陳は下を向いたまま立ち止まった。
四人の男達は剣を抜いた。
「ハーィ」と叫びながら男達の一人が陳に斬りかかる。
一瞬、陳は柄を握り、剣を抜き、向かって来た男を切り捨てた。
「うぬっ」三人の男の一人が言う。
陳は剣を構える。
三人の男達は一斉に陳に襲いかかった。
その刹那、陳は回転しながら男達を切り捨てた。
陳が剣を鞘に収めると笑い声が聞こえて来た。
「ハハハハハ」崖の上から白髪の老人が飛び降りて来た。
「陳。腕を上げたな」老人が言うと「何の用だ」と陳は聞いた。
「良い事を教えてやる。少林寺の李英風が九龍少林寺に向かったぞ」と老人は言った。
「それは有り難い。では九龍少林寺に向かおう。御免」と言い、陳は歩き出した。
その後ろ姿を見て、老人はニヤリと笑い、頷いた。