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解き放たれたラウンツ

「みんなぁ〜! おはよっ☆」


野太い声で、嫌でも起きた。


夢じゃなかった! 夢じゃなかった!

……夢じゃなかった……。


のそのそと起き上がる。


「おはようごじゃいます……ラウンツさん早いですね……」


「何か色々と目が覚めたわぁ!」


「……よかったですね」


皆も次々と目を覚ましたが、しなを作っているラウンツさんを見ては二度寝しようとしだした。


私以外現実逃避しようとしてる!ずるい!

昨日のあの微笑ましいムードはどこへいったの!?


あれかな、ひと晩経って賢者タイムってやつかな……。


とりあえずラウンツさんと皆をたたき起こした。





「じゃぁ11階層から行くわよ!」


ラウンツさんが今まで以上に生き生きとしてる……。

みんなちょっと後悔してないよね?


「クッ……私の封印を解いても敵わない相手がいるなんて……」


アーニャだけは通常運行かも。


11階層は10階層までとは少し変わって、沼のある湿地帯だった。


沼に足を取られて歩きにくい……白いローブが汚れないように慎重に歩く。

進行速度がかなり遅くなった。


「マッドタイガーよ!! うぉぉおおおおおお!!」


封印(?)が解けたラウンツさんは鬼神のごとくマッドタイガーを斬り捨てていった。

誰だ、あの封印を解いたのは。


私だ……。


ルルさんが罠を解除して、相変わらずメイリアさんは毒のありそうな蛙を捕まえたりしていた。

カイもメイリアさんのお供をしている。


マッドウルフはお兄ちゃんとアーニャの担当だ。


私も影移動で、カイが倒してるデカいトンボみたいな虫を捕まえて見ようとしたけど、飛んでるし動きが早くて無理だった……しょぼん。




覚醒したラウンツさんのおかげでサクサクと15階層まで来た。


10階層にあったようなTheボス部屋があった。


「20階層じゃなくて15階層にもあるのか」


お兄ちゃんも戸惑っている。


「色んな属性魔法を準備しておくわよ!」


ラウンツさんの声を合図に各々準備をする。

カイは私の肩に戻ってもらって、突入したらすぐ炎ブレスを打ち込んでもらうつもりだ。


「いくわよっ!!」


扉を開けた先にはキングマッドタイガーがいた。 躯体は20mもある。 化け物だ。


カイが開口一番炎ブレスを浴びせる。

キングマッドタイガーは少し怯んだようだ。


「炎が効くわ!!」


ルルさんが叫びながら魔道具をポンポン投げる。


ラウンツさんと、剣に炎を付与したお兄ちゃんが、カイからヘイトを取り戻して前衛を務める。


「お兄ちゃん達離れて!」

私とアーニャが眼を光らせて〈 炎天 〉を発動させて追い打ちをかける。


メイリアさんはマグマグネでは無く、果実のようなものを幾つかキングマッドタイガーの近くに投げて魔力を込めた。

すると、茶色の木のような硬そうなツルがキングマッドタイガーにまとわりついた。


キングマッドタイガーの拘束に成功した!


「〈 起動 〉!!」


ルルさんの魔道具からビームのような熱光線がキングマッドタイガーの身体に穴を開ける。


私ももっと何か……!!


「〈 影移動 〉」


私の眼が光り、キングマッドタイガーの影から私の影分身の手が伸びる。

キングマッドタイガーの心臓辺りに空いた穴から体の中へ手を突っ込む。


「うぇぇえ……気持ち悪い……」


そのまま、鼓動している内蔵を空間魔法で引きずり出す。


グルルルルルァァァアアアアアア!!!!


しばらくラウンツさんとお兄ちゃんが首など急所に攻撃を入れていたが、すでにキングマッドタイガーはこと切れていたようだ。





終わった……。

やっと戦闘に参加できた……。


その場にペタンと座り込んだが、先程の感触がまだ右手に残っている。


ブルブルと震えていたらルルさんがそっと背中から抱きしめてくれた。


「大丈夫?」


「……ちょっと落ち着きました。ありがとうございます……」


「無理しなくても少しずつでいいのよ?」


「はい……でも早く魔王様をお助けに行けるだけの戦力になりたいです」


「一緒に頑張りましょう?」




ルルさんに肩を抱かれながらみんなとキングマッドタイガーへと近づいた。


ラウンツさんとお兄ちゃんが念話の確認をしている。

ここも念話は通じるようだ。


解体の時間が始まった。


今回は眼球が取れたが、心臓を潰してしまったのでやはりメイリアさんがガックリしながら眼球を持ってニヤニヤしていた。


私にもメイリアさんみたいな胆力が欲しい……。

でもマッドサイエンティストみたいになるのはちょっとやだな。





15階層の出口には煌びやかな扉があった。

またボスモンスターの可能性もあるので、遅い昼休憩を挟んで扉だけちょっと開けてみることにした。


扉を開けた先には、宝箱があった。 先は行き止まりだ。


宝箱の中にはドラゴンブレードが入っていた。


「おお!! やった! 片手剣だ! 俺もドラゴンのブレード欲しかったんだよな!

これでニーナとお揃いだな!」


お兄ちゃんが嬉しそうだ。


「よかったねお兄ちゃん! お揃い嬉しい!」




ラウンツさんとルルさんは行き止まりの壁を叩いたり魔道具を使ったりして他の部屋が無いか確認していた。


「この周りに空洞は無さそうだわ」


「じゃあ探索は終わりね、一応コーディに報告しておくわ☆」


ラウンツさんがコーディさんに念話でゴルグレイム攻略の報告をしている。


この後、基地隊員が念の為の詳細な調査に来るのかもしれない。

しばらくはボスモンスターも復活しないだろうからね。


はぁ……やっぱり魔王様はいなかった。

早く世界樹への道しるべが欲しいな。





私達は元来た道を戻って地上に出た。もうが日が傾いている。

帰りの馬車がまだあったので、滑り込んだ。


皆疲れていたので宿屋で夕食を取り、素材の買い取りは明日ギルドへ行くことにした。


おやすみなさい魔王様。







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