隷属の魔道具
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「名前を聞かせてくれるかしら?」
「……テッドです」
「……ハンナ……です……」
「私達は冒険者だけど、囮にしたり慰みものにしたりするつもりはないから安心して?
まずは宿で食事するかしら?」
「……! はい!」
「……ありがとうございます」
「そうだ、俺はメイリアを迎えに行ってくる」
「悪いわね。 私達は食事してるから、2人も食べて来てね?」
「うむ」
宿に着いたら部屋の変更をお願いしてみたけど、もう陽が落ちてたから満室で無理だった。
とりあえずご飯だ!
「色々頼んだから好きなものを食べてね?」
「緊張してるね! 大丈夫みんな優しいよ! 私はアーニャ、よろしくね!」
こういう時、ムードメーカーのアーニャがいてよかったなと思う
私も何か話したいな……。
「あ、あのっ! 私はにににニーナです! もう1人女の子の仲間がいまっしゅ!」
噛んだ……死にたい。
「ニーナの兄のレイスターだ、よろしくな」
「テッド、ハンナちゃん、いただきましょう?」
ルルさんが料理に手をつけるとやっと2人もおずおずとご飯を食べ始めた。
食べながらルルさんが私達が旅をしている事を話して、食べ終わったら皆で部屋へと向かった。
「レイスター、シャワーが終わったら呼ぶから二人で来てね。 テッドの私物を渡しておくわ。
テッド、私物に着替えはある?」
「はい!」
「なら大丈夫だな。 テッド、こっちの部屋だ」
「ハンナちゃんも着替えは持ってるの?」
「はい……」
女子部屋へ入ってハンナちゃんに先にシャワーを勧める。
「はぁー! ルルさんの交渉すごかったね!」
「うん! ……てかルルさん、奴隷のシステム知らなかったんじゃなかったんですか?」
「知らなかったわよ? 舐められないためのブラフよ。
奴隷商が、借金奴隷はある程度の年数で解放する決まりって言っていたから、まず最初の質問で奴隷はほぼ合法だとわかったの」
「……なるほど!」
「それから、契約方法がどんなものか、国によって違いがあるかを知りたかったから、ぼかして契約方法を聞いたわけ。
合法なだけあって、割と真面目に説明する奴隷商でよかったわ」
「そんな事まで考えて喋ってたんですね……」
「うふふ……それで魔道具が2種類あったから2人買うことにしたの」
「テッドしか買わないって言ってたのは駆け引きだよね! 何となくわかったよ!」
「そうよ。 一番欲しいものには飛びつかないのがコツね」
「一番欲しいもの?」
「あの子の事よ。 みんな、奴隷達を見た時、真っ先にあの子を助けたいと思ったでしょ?」
「思った!!」
「思いました」
「 私もそうよ。
犯罪奴隷なら安かったけど、最初から眼中になかったわ。
犯罪者をすぐに解放する訳にはいかないし、罪を償った方がいいから。
……あ」
ハンナさんがシャワールームから出て来た。
「ハンナちゃん座ってて? 私達もシャワーを浴びちゃいましょう」
3人で順番にシャワーを浴びてる間にハンナちゃんととりとめのない話をした。
ハンナちゃんは8歳で、両親はこの街でお店をやっていたそうだ。 兄弟はいないけどおじいちゃんおばあちゃんはいるらしい。
話しているうちにメイリアさんとカイが帰ってきた。
メイリアさんに、ハンナちゃんとテッドさんがここにいる経緯を話した。
「……メイリア……よろしく……」
「……よろしくおねがいします……」
2人とも喋り方が似てる……。
ハンナちゃんは緊張してるだけだろうけど。
カイはずっと黙ってる。 ラウンツさんが喋らないようにって言ったのかな?
……違う……お姉さんのいるお店に行けなくて拗ねてるなこれは……。
じとりと睨むカイの視線からふいっと目を逸らした。
ごめんってばぁ。
全員シャワーを浴び終わったので、ルルさんにお兄ちゃん達を呼んできてと言われた。
お兄ちゃん達3人を連れて女子部屋へ戻るとハンナさんが泣いていた。
「……ひっく……ひっく……」
「どうしたんですか!?」
「わからないわ……私が隣に座ったら急に泣き出しちゃって……怖いのかしら?」
「ちが、ちがいます……」
「……言いたい事があれば遠慮なく言っていいのよ?
あ、みんな座って?」
お兄ちゃんとラウンツさんとテッドさんは椅子に、私はベッドに座っているアーニャとメイリアさんの横に座った。
「……わたしはなにもできないから、これからどうしたらいいのかわからないです……」
「なんだそんな事……何もしなくていいのよ。
なんでかっていうと、私達はその隷属の魔道具が欲しかっただけだから」
「……え?」
「……ど、どういう……」
2人は訳が分からないみたいだ。
「私は魔道具を作るのが趣味なんだけど、隷属の魔道具を作ってみたかったのよ。
悪用するためじゃないわよ? ただの知的好奇心。
資料を探すより実物を解析した方が早いから。
だから2人はすぐ解放するつもりよ」
「本当ですか!?」
「……えっ!?」
「本当よ。 それを着けた状態で少し調べさせてもらったら外すわ
2人は解放された後の行く先はあるかしら?」
「俺は……もう冒険者は辞めます……。
故郷のフレーナ国に帰って実家の家業を継ぎます……家出同然で冒険者になったから親父にブッ殺されるだろうけど……」
「……おじいちゃんおばあちゃんのところにかえりたい……」
「……ふむ。 テッド、路銀はどうするんだ?」
「……旅商人の手伝いをして同行させてもらいます」
「獲物がないだろう? 護衛くらいはしないと連れていってもらえないぞ?」
「…………」
「まぁいい……後で考えよう」
「ハンナちゃんのおじいさん達はどこにいるのかしら?」
「……このまちにいます……おとうさんとおかあさんと、みんなでおみせをしていました……。
おじいちゃんもおばあちゃんもわたしのかわりにどれいになるっていってくれたけど……だめだって……ぐす……」
「辛かったわね……じゃあ出来るだけ早くお家に帰してあげるわ」
「……ありがとうございます……」
「2人とも疲れてるだろうけど、ちょっとそれを見せてね?」
ルルさんがハンナちゃんとテッドさんの隷属の魔道具を少し見てから、私に言った。
「ニーナちゃん、これからどんな魔力を感じるかしら?」
「え? …………あ……ルルさんの魔力と着けてる本人の魔力がなんか混ざりあってぐるぐる回ってます……変なの……」
「魔道具の輪っかの形に沿って循環してるって事かしら?」
「そうです! あと、一点だけ別のちっちゃい魔力がありますね。 これはずっと同じ所にあります」
「ニーナちゃんこっち来て?
……ここの繋ぎ目の辺りかしら?」
「……そうです! ……ハンナちゃんのもですね」
「なるほどね……多分奴隷商の魔力だわ。 マスターキーみたいなものね」
「マスターキー?」
「緊急時に他の誰かが外せるようになってるって事。 例えば私が死んでこれを外せなくなった時とか」
「ふむ……なるほどな……」
「2人ともありがとう、あとは外して調べるわ。
外すからじっとしててね」
ルルさんが緊張したテッドさんのアンクレットにそっと触れて少し魔力を流したら本当に外れた。
それを見てホッとしたハンナちゃんの首輪にも触れて外す。
「やった! これで2人とも自由だね!」
「良かったな!」
「よかったぁ……」
「うむ」
「……おめでと……」
「ふぅ……じゃあとりあえず今日はもう寝ましょう? みんなお疲れ様」
「……あ! ありがとうございました!!」
「……ありがとうございます……ぐす……」
男性陣が部屋を出て行く。
「ハンナちゃん今日はゆっくり休んで! 私のベッド使って!」
ベッドは4つしかないから私のを譲ろう。
「そ、そんな……」
「……ニーナ……一緒に寝よ……」
「ほらメイリアさんもこう言ってくれてるし!」
もじもじしてるハンナちゃんを無視してメイリアさんと同じベッドに入る。
「メイリアさんと寝るのは初めてだね、なんか嬉しい。 えへへ」
「……ニーナは仲良しの家族……」
「うん!」
メイリアさん可愛い!
「みんなおやすみ!!」
「おやすみアーニャ」
「……おやすみ……」
「私はもう少し調べてから寝るわ。 おやすみなさい」
「…………おやすみなさい……ありがとうございます……」




