不穏な噂
夜も投稿します
「今の、聞いたな」
「不穏ね……とりあえず予定通りお昼を食べてから宿で話しましょうか」
「なんかヤバくない!?」
「アーニャ、ここで騒ぐのはよそう。後でな」
そう言いながらお兄ちゃんが屋台へ近づく。
私は気持ち悪くてご飯が喉を通らなさそうなので、目に入った屋台でフルーツの串刺しを買った。
メイリアさんもとととっと着いてきて同じものを買ってた。
みんな思う所があるんだろう、無言で昼食を頬張りながら宿へ向かう足は早い。
全員女子部屋に入って椅子やベッドに腰掛ける。
「もう話していい?」
アーニャがベッドに座ったままぴょんぴょんする。
「そうしましょ。ルルさん、どう思ったかしら?」
「想像でしかない。けど、何故か嫌な確信があるわ」
ルルさんが間を置いてから再び口を開く。
「……ルーガル国王が、魔族を奴隷にするための隷属の首輪を持っている。
それを止めるためにあのメッセージがあった。
……どう? みんなも同じ事を考えていたんじゃない?」
皆が頷く。
やっぱり……怖いよぅ……。
「だよね!! さすがの私もそう思ったよ!!」
「……悪い勇者……おしおき……」
「勇者なんて片腹痛いな! 人族って馬鹿なのか?」
「あのメッセージがダースグランに置かれたのはいつかしらぁ? メッセージを書いた人は誰? わからないわぁ」
「私達が今まで行ったダンジョンは、ここ20年以内に発見された新しいダンジョンだ、って、ダースグランのギルドマスターが言ってたわね。 だから20年も前の可能性があるわ」
「未到達ダンジョンだよね!? 誰も最終地点まで行ってなかったなら、20年前ダンジョンを作った人が置いたんだね!!」
「アーニャよ、ダンジョンは人工的に作れんぞ」
カイがため息を吐いた。 やめて!ちょっと炎でてる!
「あ、そっか。 じゃぁダンジョンってどうやって出来るんだろ?」
「……魔界では100年単位とかで自然発生……多分人界も同じ……でもここ20年で少なくとも3つもダンジョン出来た……おかしい……」
「……魔界では100年単位なのに……確かに変に感じます……。
この先にもまだ新しいダンジョンがありそうですよね」
「儂はダンジョンにはあまり行かんから自然発生についてはよく知らんが、ある時住んでたダンジョンが数百年で崩壊した時は急いで逃げ出したもんじゃ。 懐かしいのう」
「自然発生するなら自然崩壊もするって事か。
話を戻すけど、メッセージを置いたやつはなんでダンジョンの最奥に置いたんだ?
ダースグランが未到達ダンジョン扱いだったって事は、ギルドを通さずにダンジョンの最奥まで行ったのか?」
「ダンジョン踏破出来るくらいの実力者でないと首輪を探せないからかしら……でもダンジョン最奥まで行ってメッセージを置いてこれたなら、その人自ら探せばいいのにねぇ」
「探しに行けない理由があるのかな?」
「……魔王様? 魔王様ならお強いから最奥まで行けるし、今閉じ込められてるかもしれないなら首輪を探しに行けない……魔王様だよ!!」
「ニーナはホントに魔王様の事ばかり考えてるんだな」
お兄ちゃんがクククッと笑った。
「 でも自分で首輪を探しに行けない状況になってからメッセージを残したなら、ダンジョンにもいけないんじゃないか?
それに、魔王様がいなくなったのは10年前だぞ?
わざわざまどろっこしくダンジョンにメッセージを置くくらいなら、20年前に直接魔王軍に命令すればよかっただろ。
どっちみち魔王様ではないと思うよ」
「あ、そっか…………あれ? 魔王様って何歳!?」
「あ、そういえば。 魔王様はいつ魔王様になったんだ?」
「魔王様は今……45歳。 でもある時から不老になったとの事よ。
確か25年前から魔王として君臨されているわ。
もしかしたら不老不死かもしれないって魔王様は仰ってたそうよ?」
「「「えええええええ!!」」」
「ニーナちゃん達は子供の頃しか魔王様にお会いしてないから知らなかったのね」
「ルルさんなんでそんな事知ってるんですか?」
あ!アーニャが地雷に突っ込みそう!!
「魔王城に務めたことがある魔族なら誰でも知ってるわ。 ね? ラウンツちゃん?」
「ア、アタシは8年前に成人したから知らなかったわ……」
アーニャじゃなくてラウンツさんが地雷を踏まされた!!
ブルブル震えてる!!
「…………」
ルルさんの無言の笑顔が怖いよ!
みんなで、これから調べていく事をまとめた。
・世界樹とエルフの情報
・ルーガル国王が集めている勇者パーティの目的
・魔族用の隷属の首輪があるのかについて
・最近の人界のダンジョン生成について
・メッセージを誰が何故どうやって置いたのか
ダンジョンへ行く前に少し調べてみようということになった。
錬金術ギルドに図書館が併設されているらしいので、ルルさんとメイリアさんとカイが行くことに。
「儂、4000年分の知識があるからの! 役に立つかもしれんぞ!」
だって。
残りの4人は街で情報収集だ。
「とりあえず素材を売りがてら、商業ギルドへ行きましょ!」




