ダンジョン・ダースグラン
短いですが連続更新です
起きたらものすごいふかふかの上にいた。
そうだ、いい宿に泊まったんだった!
ベッドに後ろ髪を引かれながらみんなを起こして、早速昨日買った薄手の服に袖を通す。
ルルさんの露出度がものすごいことになっていた。
もはや袖など無い。
スリットが太ももの限界まで攻めている。
違う意味で攻撃力の高いドレスだ。
フード付きローブの代わりに、つばの大きいお洒落な帽子を被っていた。
少し俯けば眼が隠れる。
ルルさんは昨夜だけで3人分のマントの刺繍を終わらせたらしい
女子力が高すぎる……。
みんなが着替え終わったら、私がお兄ちゃん達を女子部屋へ呼び寄せに行った。
「今日早速ダンジョンに行っても大丈夫かしらぁ?」
「はい! 早く魔王様を見つけましょう!!」
「マントに刺繍しといたわ、今渡しておくわね」
「おお! すげぇ! 涼しい! ありがとうございますルルさん!」
お兄ちゃんはキリッとした顔で言って、茶色の瞳に発光の魔法をかけてキラキラさせていた。
歯にかけてもルルさんに効かないと学習したようだ。
でも発光の魔法がそもそも無意味なんだってば。
「ダンジョンの情報だけど、ダンジョン名はここも町の名前と一緒よ。 ダンジョンの周りに町が出来たタイプね。
マングローブエリアがメイン、大きな川の中に密林があるの。
だからこのダンジョンは階層がないわ、川を下っていく感じね。全部一本道よ。
魔物には水魔法意外なら大体効くわ。
攻略されてるのはひときわ大きな木がある所まで。
途中途中、道が無くなって川を渡らなきゃいけないのと、水の中からも魔物が攻撃してくるから攻略しにくいみたいね。
最初のボスはグランドダースバードよ、ダンジョン名の由来ね。
でも私達の前では雑魚、丸焼きにして食べちゃいましょ」
〈 水カッター 〉は効果が弱まるなぁ……しょぼん。
「川を渡るのはどうするのかしら? カイちゃん、どぉ?」
「儂……水嫌いじゃ……」
「亜空間の大きいパーティメンバーがいる冒険者達は、小舟で渡ってるみたいよ。
舟を持ち込めるほどの亜空間をもつ冒険者が少ない事も、攻略が難航してる原因ね。
馬車を押さえたら舟を買いましょう」
宿のおばさんに舟が売っている所を聞いて宿を出た。
町の港近くで売っているらしいので、馬車の予約をしてから向かった。
「ダンジョンへ行くので小舟が欲しいんだが」
「ああ。 ダンジョン用なら魔術式が塗装してあるのがあるぞ、50万ルインだ」
「見せてちょうだい?」
舟屋のおじさんが顎でクイと指した舟をルルさんが検分する。
「……魔術式の無い小舟はいくら?」
「10万だが……おい、自殺願望でもあるのか?」
「違うわよ、私が術式を描くわ。 メイリアちゃん、魔術式用の油性塗料は持ってるかしら?」
「……ある……」
「メイリアちゃん毒以外も持ってたんだね!!」
私もアーニャと同じ事を思ったよ……。
「では普通の小舟をちょうだい? この場所を少し借りていいかしら。 筆も貰えると嬉しいんだけど」
「……わかった……死ぬなよ」
買った舟をおじさん達にひっくり返してもらい、メイリアさんから塗料を受け取ったルルさんが舟の側面と底面にサラサラ魔術式を描いていく。
おじさん達はルルさんの太ももに釘付けだ。
……お兄ちゃんもだった。
ルルさんが描き終わった舟を亜空間にしまった。
術式がびっしり書かれた舟はおどろおどろしかった……。
「お世話になったわ、ありがとう」
「お、おう……なんかわかんねぇがすげぇのが出来たな……頑張れよ」
冒険者ギルドで依頼を受けて、食料を買ってから馬車に乗る。
今回は他のパーティはいなかったのでホッとした。
着いた先はちょっとした丘の上だった。
ダースグランも地下型のダンジョンなので洞窟を降りていく。
天井が高い……。
天井に謎の光球がある。ゴルグレイムとロックドランにもあった
疑似太陽みたいだ。不思議だな。
でもダースグランはもっと不思議だった。
右の遠くの方に大きな滝が見える……どこから水が湧いてるんだろう……。
見渡す限りは川とその中にあるマングローブ?っていう密林だった。
木々の間に踏みならした小道があるのでそれに沿って歩いていく。
気味の悪い鳥の声や猿の声がする。
「ボスまで走り抜けるわよぉおおお!!」
えっ! 待ってよう!!
みんな身体強化を使って走り出したので、私も身体強化で必死にラウンツさんに着いて行く。
走るのは苦手だよぅ!!
「ひぃぃいいい! 脇腹が痛いいいいぃぃ!!
死ぬぅ!!!!!」
止まると敵と交戦しなきゃだから、必死の私の叫びにもかかわらずみんな止まってくれない!!
「ニーナ頑張れー!!」
「ハァッ……! ハァッ……!
お兄ちゃん〈 縮地 〉も使ってるでしょ! ズルい!!」
「ニーナもスキル使えばいーだろー!」
むぅ……!
「〈 影移動 〉」
お兄ちゃんの影を使って連続移動してやった!
これなら走らなくていい。魔力ならいくらでも使える。私天才!!
「お兄ちゃん頑張って走ってね?」
ニヤリと笑ってやった。
「ずりーぞニーナ!! 1人だけ走ってねーじゃんか!!」
「お兄ちゃんに言われたくありませーん!」
「クッ……私はまだここでは封印を解かないよ!!」
「仲良しねぇ……」
ルルさんが呆れたところで道が途絶えた。
舟の出番だ!




