095 美月とひたすらイチャつく日々
季節は秋となり、あのエキシビンションマッチの騒動の余韻も覚めぬ中、変わらない生活を続けていく。
俺は以前と同じで朝一に美月の家へ行き、朝食を共に取り、お互いのお弁当を作り、一緒に登校するのだ。
もう正真正銘朝宮美月は俺の恋人となったためもはや気を使うことなくイチャイチャすることができる。
最近は幸せすぎてたまらない。毎日毎日美月とふれ合えるし、部活動も秋の地区大会は見事優勝。来月の地方大会が楽しみとなる。
美月からもらった合鍵を使ってマンションの中へ入っていく。
これも仲の良い友人から愛しの恋人にステップアップしたからだろう。
俺はもう四六時中美月に会いにいくことができるのだ。
美月の家の鍵を開けて、中へと入る。
さて……今日の朝飯は俺が担当だったな…。何を作るか。
「あ……」
家に入った矢先……世界で一番かわいい恋人と目が合う。
いつもは朝に家へ行く時、すでにシャワーを浴びて制服に着替えているのに今日は珍しくルームウェアのままだ。
美月は朝が強いのでこの姿は目新しかった。
「ちっ、違うの! ちょっと寝坊しちゃって……。その! ズボラなつもりは!」
「かわいい」
「へっ?」
ひとまずかわいいので味見することにしよう。
ピンクの半袖パジャマは圧倒的な可愛さを誇っていた。
俺は通学鞄を玄関に置いて、美月に近づき、一気に彼女を脇からすくうように持ち上げる。
俺の筋力なら女の子を持ち上げるなど造作もない。
驚く声をあげる美月をそのままにリビングへ運び、大ソファへと降ろす。
そのまま上から覆い被さることにした。
「きゃっ! もう……こらぁ!」
「美月はかわいいなぁ。そんな可愛い格好で俺を誘うなんてイケナイ子だ」
「この格好……楽なんだけど、可愛くないもん」
実は美月のパジャマって見たことがない。
乱れた格好を俺に見せたくないということか。俺も家では下着一丁だ。別に見せてもいいが、見られたいとは思わない。
「充分かわいいぞ。新しい美月を知るたびに君を好きになる」
好きと言うたび美月は嬉しそうに微笑む。
もはや恋人同士で好意を隠す必要などないのだ。
そのまま美月の背中に手をまわし、寝転びながら抱きしめる。
相変わらず抱き心地がいい。こうなったらやるべきことは1つだ。
「おはようのキスをしていいか?」
「ダメって言ったら?」
「いいって言うまでキスする」
まぁ言わす気はない。
そのまま美月の唇に押しつけるように触れていく。
美月の唇って何ていうのだろう……ふわってしているというか。とにかく気持ちがいい。
俺はキス魔だったのかもしれない。とにかく1日10回は美月にキスをしたい。
2,3度キスの応酬をし、抱き合ったまま距離を取る。
「朝からがっつきすぎだよ~」
「4歳の頃からずっとしたかったんだ。俺の想像するキスシーンの相手はずっと美月だった。現実になってもまだ信じられない気持ちが強い」
「もう信じていいんだよ」
「じゃあ……あと朝だけで3回ぐらいしたい」
「したがりやの彼氏を持って……私は大変です」
そんなセリフと一緒に今度は美月に唇を奪われた。
ああ、キスしてされて……とても幸せだ。
俺は唇をひっつけながら背中にまわした手を手前に戻し、美月のカラダに触れていく。
「んぐっ!」
俺は美月とこの時間、とにかくふれ合った。
恋人だからできる営み。とても愛おしくて尊い。
……もう我慢できん。
「いいだろ。抱かせてくれよ」
「遅刻しちゃうよ……」
「構わないさ。学校より美月の方がだい……」
「あ、悠宇せんぱい。せんぱいとねぇちゃんは朝練遅れるって。理由? 文字通りちちくりあってる」
「ぶほっ!」「ぶふっ!」
後ろを振りむくと冷ややかな目で星斗が俺と美月を見つめていた。
通話を切った星斗がまたスマホを動かす。
「ど、どうする」
「た、太一くん……ひとまず手を動かすのやめてくれるかな! あぁん!」
「あ、悪い」
意思とは別に手は動かし続けてしまっていたようだ。
「あ、アリア」
「ごふっ!」
何でアリアに電話してんだコイツ!?
「アンタのにーちゃんがウチのねぇちゃんをレ○プしてるんだけど、どう責任取ってくれんの!?」
「おい、コラ!」
「えっ、美月先輩なら悦んでるはずだからノーカン? 確かにな」
「アリアちゃんも何言ってるの!?」
星斗はアリアとの通話を切り、ポケットにスマホを入れる。
また冷ややかな目で俺達を見た。
「子作りはご計画に」
星斗はさっさと家から出て行ってしまう。
さすがの俺と美月もこれ以上……ふれ合いをする気になれなかった。
「弁当作る時間ないし……普通に学校行くか」
「そだね……」
エピローグの開始です。
残り5話。 名残惜しい所ではありますが最後までよろしくお願いします。