くいん・だむ
内向きの螺旋階段を降りてゆく
すると
君の面影に出会うのだから
びっくり、する
てっきり
出会うのならば
象皮なす韜晦の
韜晦道、五十三次
くらいだと思って、いたから。
「そういえば今朝
オムレツ作ろとしたら
具材のタマネギ、焦がしてしまったけど
その話
聞いてくれるかな」
双眼
一隻眼
百丈野狐
ああ
こつこつと
王国のとびら
ひらき
monkey see
monkey do
うてな
あふるる
おちて
こぼるる
銀雨、天空の泪、またそれに相似した
わたくしの。
目をはだかの、目を結膜を角膜を網膜を
すっぱだかの、眼球を
君という、うばたまの王国の
きよらかなヴィールスの
ヴィーナスの菌叢の
無形の、王国の
まんまえに、曝し
曝露され
感染し
病
恋の
累
。
「焦げた具材も
食べられるし
アメ色になったタマネギは
天国で輪廻しているから
天国の甘い味がするので」
あ
それも
なにも
かも
王国の一部、なのかい。
天国さえ、も。
わたくしは、
内部の内部まで
すでに、君である
君が租界を築き
はや
もはや
わたくしは
すばらしく素敵な官能の黴菌の
巣。
了。