さぁ出発だ!
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パチ。
薪が小さくはぜる音で目が覚めた。
「寒ー」
やっぱ外は寒ーわ。
小さくなった焚き火に薪をくべる。
半径2メートルの縛りがある為、火から離れず寝てみたけどそれが良かったな。寝てる間は寒くなかったし。寝返りうったら危険かも? なんて心配したけど、オレの寝相は素晴らしかった! 火の上にも、結界の外にも飛び出さなかったし。
もそもそと寝袋から抜け出し、身体を伸ばす。
「あーーー、やっぱ身体固まってんなぁ…」
野営は辛いぜ。
残りのパンで朝メシを食う。
「さて…」
ーーー野営レベルが上がりました。
野営レベル2になりました。
「うおっ! マジか!? なになに? 何で?」
一晩過ごすだけでレベルが上がるとか、嬉しすぎるんですけど!
もしや、ばあちゃんのおかげ?
何にせよ、ありがとうございます!!
ころんと、転がってきたのはコンパス。
レベル2になったから出現したのだろう。
至れりつくせりとはこのことだ。
「先生、アルサってどっちの方角?」
『アルサはここから南の方角です』
「アリガト。南ね。…ならこっちだな。
んじゃ、出発しますか」
飲み終わったペットボトルを食料袋に入れてみて気がついた。
あれ? ゴミどこ消えた?
食料袋の中を覗いてみたら、ソーセージのパックもない。
ゴミをそこらに捨てていくのも気が咎めて、食料袋にとりあえず入れて置いたゴミがない。
「この袋ゴミ袋も兼ねているのか?」
これがレベルが上がったことによるのか、どうなのかはわからないが良い事だ。
ゴミ問題解決したよ!
さすがに元いた世界のゴミをそこらに捨てていく訳にはいかないしな。
「それにしても良く出来てんな。中身が入ってるのは消えないし」
1本残しておいたペットボトルは、消えずに残っている。
食料袋は両側に紐が付いている背負い袋の形をしていたので、それを背中に背負う。これで両手が空く。
「寝袋どうすっかな…」
背負い袋の中には入らないし、腰に巻いてくとか?
シュッ。
寝袋が消えた!
荷物にならなくて助かったけど、夜になればまた出てくるよな?
若干不安だが夜になればわかることだ。
火の始末をしっかりとして、アルサに出発だ!
サクサクと進むオレの足元はローカットの登山靴。スニーカーと変わらない履き心地でどこに行くにも愛用していたオレのお気に入り。
上着とズボンは、長そで長ズボン。これも愛用していたものだ。
「長そで長ズボンで助かったよ。こんなとこ歩くのに半袖なんか着てたら、あっという間に傷だらけだよ」
歩いているのは、舗装されていない獣道。なんとなく歩けそうな場所を、南の方角に進んで行く。
「先生ー、何か話してよ」
『何かとは?』
「ただ歩くのも退屈じゃん。あー、でもこういうふわっとしたのはダメなんだよな。うーん…
そうだ! 先生オレの魔力ってどれくらいあるの?」
『あなたの魔力は、8です』
「それってどうなの?」
『どうとは?』
「いや、多いとか少ないとか」
『分かりません』
「あー、曖昧すぎるか。ならさ、昨日の結界の魔力! あれって魔力どれくらい必要だった?」
『結界を発動する魔力は2です』
うーん… 全魔力の4分の1か。こう考えると8はやはり少ないな。
「先生、魔力を上げるにはどうすればいい?」
『レベルを上げるのが1番です』
おっ! 何かワクワクする言葉が出てきたぞ。