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野営の夜

「先生、質問。魔物なんているの?」

『います』

「ここにも?」

『この近くには、今現在いません』


 あっぶねぇっ!!

 今すぐ結界を発動しなくては!!


「この魔道具? どう使えばいい?」

『手のひらに乗せ、結界をイメージしつつ魔力を込めて下さい』

「そう! それ、魔力! それってオレにもある?」

『あります』


 おおー!

 魔力! カッコイイ!


 ………


「先生ー、魔力ってどう込めればいいの?」

『まずは静かに目を閉じて下さい。ゆったりとした気持ちでゆっくりと呼吸をしましょう』


 言われるままに深く深呼吸をする。


『白く広い世界をイメージして下さい』


 白くて広い。

 ばあちゃんに会った場所みたいかな。


『呼吸はゆっくりです。眉間の辺りに光が見えてきましたか?』

「ああ。赤い光、いや、青? 緑かも…」

『それがあなたの魔力です』


 これが魔力。

 色とりどりキラキラと、キレイなもんだな。


『感じた魔力を魔道具に流し込むイメージです』


 流し込むイメージ。

 魔道具に触れている手のひらにこのまま流し込む。


 キィーーーン


 涼やかな音が鳴り、魔道具がほのかに光る。


「おー! 成功だな」

『はい。結界の魔道具が正常に作動されました』


 魔道具を地面に置く。これで、半径2メートルは大丈夫だ。

 安心して作業が出来る。

 よし! 野営の準備に取り掛かろう。


「荷物の確認が途中だったよな…」


 寝袋、食料袋、結界の魔道具。

 ここまではよし。


「おっ! ファイヤースターターまであるじゃん!」


 フフン。じいちゃんの趣味の山歩きに付き合わされていたオレを舐めてもらっちゃ困るぜ。簡単な火起こしくらい出来る。


「後はナイフね」


 よっしゃ、日が暮れる前に薪になる枯れ枝でも集めてくるぜ。



 

 魔物の襲撃が恐ろしいから、魔道具をポケットの中に入れた。

 これで薪集めでウロウロしても安心だ。

 オレって頭イイ!


「しかし、本当に魔物なんているのかねぇ」


 カサカサと落ち葉を踏み分け、ちょうどいいかんじの枝を拾う。

 暗くなるのがもう少し後でもこんな山奥だ。日が落ちれば冷え込むだろう。

 さっさとさっきの場所に戻るとするか。




 どっぷりと。

 日が落ちれば、辺りは真っ暗だ。

 こんな暗闇は久しぶり。


 …あの時は暗闇でもじいちゃんが隣にいたっけ。


 いやいや、これくらいで弱音を吐いてどうするよ!

 まだ1日も経ってないし!

 まずはメシにしよう。

 腹が減るとろくな事考えないっていうしな!

 

 食料袋からパンを取り出す。細長いコッペパンが3つ。

 そしてソーセージのパックが1袋と、塩少々。

 それと、ペットボトルの水2本。


「これはあれだろ。ホットドッグを作れって事だよな」

 

 金串なんて上等なものはないので、適当な枝にソーセージを刺す。

 パンも軽く炙った方がうまいからそれも刺す。

 それらを焚火で炙るだけ。

 焦げないように時々向きを変えるのが大事だ。


 パチッ

 ソーセージの皮が弾ける音。

 ジュワッと滴る脂。

 腹の虫を刺激する香ばしい肉の焼ける匂い。

 はやる気持ちのままに、パンを手に取り指で切れ目を入れる。


「熱っ!」


 挟むソーセージは2本。

 パラパラと塩をふりかけ、いざ!


「うっめぇぇぇぇぇ!!」


 こりゃたまらん!

 

 わっし、わっしとあっという間に食べてしまった。

 もう1本は、もったいなくて味わって食う事にする。

 食料はこれしかない。最後のパンは明日の朝メシにしようと思うから、この1本はとても貴重なのだ。


「野営レベル1っていったな。レベルが上がれば出てくる食料も増えるのか?」


 ホットドッグはうまいが、もう少し量が欲しい。

 欲を言えば、調理器具なんかも手に入れたいものだ。


 パリッ!

 いい音だ。

 2本目のホットドッグもうまい!


 明日はバリバリ進むぞ!


 エイエイオー!


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