先祖からの贈り物
「おー! ここが異世界か!!」
うん。何もない。
こう、キラキラドッカーン! って感じの異世界を想像してたんだけどな。
見渡す限り木、木、木。気が付けば360度大きな木に囲まれている。
「あー、日本の田舎よりもっと大自然? 電線も見当たらないし」
テレビで見た事のある時代劇っぽいかも。
それとも、国立自然公園ってこんな感じ?
アマゾンのジャングル…まではいかないか。そこまで密林という感じではない。
こりゃ、夜になると真っ暗になるでしょ。
「さて、まずはこれからだろうな」
ばあちゃんから渡された巾着を開けてみる。
「なんだこれ?」
巾着の中には、7つの玉。
あの有名なボールではないだろう。★ついてないし。
「色違いの同じ大きさの玉が7つ。…もしかして爆弾か? 敵が来たら投げる的な…うー、わからん! ばあちゃん教えてくれ!」
ピッコーーン。
《先生》を贈ります。
「はいい?? 先生って何だ??」
『先祖より送られた贈り物です。質問した事柄を教えます』
「ええ?? 今の誰だよっ」
『今のは、あなたに贈られた能力、先生が質問に答えました』
「ちょっと待て! ここには誰もいないよな。って事は、声のみなのか?」
『はい。あなたの意識に直接関与しています』
よし、いいか、まずは落ち着け、オレ。
落ち着いて状況を把握するんだ。
ふぅ、はぁ、ふぅ…
よし。
状況その1 異世界に無事にたどり着きました。
状況その2 ばあちゃんが餞別にくれた玉を取り出しました。
状況その3 何故か、《先生》という名の贈り物を先祖から貰いました←今、ここ。
うん。
この玉は先祖からの贈り物で、何かしらをくれるって事だな。
最初にもらったのが教えてくれる能力なんて当たりだったかな。
残り6つか、慎重に選ばねば。
「オススメ、なんてもしかしてある?」
『質問に答えられません』
「ん? こういう質問はダメなのか?」
これは何? なんて質問には答えられるけど、今夜の夕飯何にしよう? なんていうふわっとしたのはダメって事かな。
なら、こんなのはどうだ?
「この玉の使い方は?」
『手に取り願う事です。願いが叶えば消滅します』
やっぱりそうだな。よし、よし。
んー。欲しいものか…
「金?」
いやいや、それはあまりに俗物すぎるだろうよ、瑛太クン!
第一、今、金を貰ってもなぁ…
荷物になるし、いくら必要かわからないし、そもそも金って同じじゃねえんじゃね?
「先生ー、この世界の通貨って何?」
『リレラです』
「もとの世界と比べると?」
『1リレラ=10円の目安でしょう』
「ありがとう」
やはり、貨幣が違うな。1リレラがどんなものかわからないが、今は必要ない。
それにこの贈り物は、頑張っても手に入れにくいものを願った方がいい。
金よりも、金を稼ぐ手段を手に入れた方が後々の為だ。