赤い花
「やっぱグローブあると違うな」
昨日ウリが倒したリリパットのドロップしたグローブをはめてみると、手にぴったりとフィットした。指が動きにくくなるかと思ったが、見た目よりも柔らかくスムーズに動く。
「投げるのも楽になりそうだ」
「良かったね」
「おう」
試しに小石を投げてみると、木の幹に2センチほどめり込んだ。
「うん。いい感じ! ウリ、どうする? もう少し奥まで行ってみるか?」
魔物検知が反応しないからこの辺には魔物がもういない。もう少しだけ奥に行ってみたいけどどうだろう?
「そうだね。後少しだけ奥に行こうか」
よし!
気を張って歩いていると、前方に魔物の気配がする。
「あれ魔物だろ? 先生、何て魔物?」
前方の赤い花を指差す。見た目は普通の花だが、サイズがおかしい。1メートルくらいあるんじゃね?
『レッドフラワーです』
「ありがとう」
射程距離ギリギリまで近付いて石を投げる。一撃で倒れなかったので、もう1度。
「ギヤアアアアア!!」
「うわっ!」
シュルシュルシュル、ポン!
けたたましい悲鳴を上げて、レッドフラワーは消滅した。
「びっくりした! こんな悲鳴上げる奴もいるんだ」
心臓がバクバクいってるよ! びっくりした! って、なんか湧いてきた!? レッドフラワーがわらわらと集まってきたよ!
「ギヤアアアアア!!」
「ギヤアアアアア!!」
「ギヤアアアアア!!」
うるさいーーー!!!
ギヤアギヤアうるさいレッドフラワーを何体倒しただろうか? ようやく周りが静かになった。
「疲れた…」
ちょっと休憩したい。
「悪い、少し休ませて」
その場にしゃがみ込むオレとは違い、ウリはなんてこと無い感じでドロップ品を集めてきてくれた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
ドロップ品は8個あった。なら、倒したレッドフラワーは8体だな。
「何があるんだ? 薬草2つと、先生この草は?」
『毒消し草です』
「へえー。じゃあこの瓶は?」
『回復薬です』
「回復薬? 薬草とは違うの?」
『薬草を薬品にしたものが回復薬です』
なるほど。つまり薬草は薬品の素なんだな。何かあった時は、薬草をかじるんじゃ駄目ってことか。
「先生、それであってる?」
『薬草をかじっても効果はあります。しかし、回復薬よりも効果は低く苦味が強いです』
「なるほど。毒消し草もそうなのか?」
『はい。毒消し草を薬品にしたものが毒消し薬です』
「へえー。じゃあこれから回復薬と、毒消し薬を鞄に入れとかなきゃな」
オヤジさんのとこで売ってるかな?
「後は750リレラと、金属? これは?」
『鉄です』
「鉄かぁ、これも買い取ってもらえるかな? それから服と」
フフフ。
「じゃーーーん! 見ろよ、ウリ! ブーメランだぞ! ブーメラン!」
投げる武器っていったらやっぱこれじゃん! ブーメラン!
ドロップ品を見た時から気付いていたけど、お楽しみは最後にとっておいたんだ。
早速チャレンジ!
「せやっ!」
………
「戻ってこないんですけど!」
落下したブーメランを慌てて拾いに行く。
「もう1度いくぞ! はっ!」
………
「もう、なんでだよ! 思った場所に飛ばないし!」
『構え方が違います』
「そうなの? どうすればいい?」
『水平ではなく縦に構えて下さい』
「縦!?」
『はい。30度ほど傾けて縦に投げて下さい』
「こうかな? いくぞ」
よっ、
…うわっ、戻った! 回転したよ! 戻ってきたよ!
手元には戻らなかったけど、ブーメランは確かに戻ってきた。
ーーーブーメラン投げを覚えました。
ブーメラン投げレベル1になりました。
「やった! これでもっと上手く出来る!」
!
魔物だ。レッドフラワーか? ちょうどいい、ブーメランの練習になってもらおう。
「不味い」
「ウリ?」
「風刀!」
「何!?」
風刀の勢いに目を閉じ、再び目を開ければ一匹の狼が倒れていた。
「乗って!」
「えっ!?」
「いいから、早く!」
「おうっ」
慌ててウリの背中に飛び乗るやいなや、ウリは猛スピードで駆け出した!
「ちょっ、何? あわわわっ、早いって!」
「黙ってないと舌噛むよっ」
勢いよく走るウリの背中に、なすすべも無くオレは必死にしがみついている事しか出来なかった。




