夢の焼きそばパン
ブクマありがとうございます!
カナンの引き取り値段を変更しました。
きのこ探しに来てから3日目の夜。今夜の野営地で、ウリと二人スープを飲む。
「3日探しても無いなんて思わなかったな。そろそろ食料もないしさ、1度街に戻るか?」
野営で食料は手に入るがもう葡萄パンがない。色々買い込んだ食べ物も無くなりつつある。
「んー、戻るのは手間じゃない? 俺は昼抜きでもいいよ」
「半日あれば戻れるじゃん」
「お金は大丈夫? 街で何か買うには必要なんでしょ?」
「魔物がドロップしたものがあるじゃん。鍋とかさ、それを道具屋のオヤジさんに買ってもらって…っていうのはちょっとカッコ悪いか」
依頼品が1個も見つかってないのに、オヤジさんと顔を合わせるのは少し気まずい。まだ金はあるが、気がついたら無くなっているのが金だ。節約の心を忘れてはいけない。
「じゃあ、明日はもう少し奥まで行ってみるか」
「そうだね」
「よし、じゃあ寝るぞ」
もそもそと寝袋に包まる。
だんだん寒くなってきた。これ以上寒くなるなら野営はきついなぁ。
空には満天の星。野営ももう何回目かな? ひーふーみー…9回か。だいぶ慣れてきた。
「おやすみ、ウリ」
「おやすみ、瑛太」
「寒ー」
やはり朝方は冷える。寝袋を抜け出し固まった身体を伸ばす。
ーーー野営レベルが上がりました。
野営レベル3になりました。
「えっ!? レベル3? 先生! レベル3になると何が出来るんだ?」
『メニューの選択が出来ます』
「うおっ、マジ!? それって最高じゃん! 焼きそばとか作れるようになる?」
『なります』
「やったーーー!! ウリ、ウリ、起きろ! 焼きそばパンが食べれるぞ!」
「んー、何?」
「焼きそばパンが出来るようになったぞ!」
「まだ、早いじゃない。俺はもう少し寝るよ」
「寝るなって! 焼きそばパンだぞ!」
「そ」
ウリはちっとも起きない。仕方ない、寝てる間に焼きそばパン作ってびっくりさせるか。
ん?
そういえば食料出るのって野営始めた時だよな。
……
今は無理って事か。
1度上がったテンションが、一気に下がる。
焼きそばパン、今晩までお預けか…。
ウリが起きるまで体育座りで黄昏れていた。
「ほら、何時までも黄昏れてないできのこ探すんでしょ」
「だな。焼きそばパンは、今夜のお楽しみだな!」
野営を解除し、結界を解いた瞬間。
!!
「風壁」
えっ!? 何? 何が起きた!?
魔物の気配がしてそれから? このぐるぐるしている風は?
「ウリ!」
「大丈夫、もう終わったよ」
「何がどうなった!?」
しゅるしゅると風が消えていく。ウリは小走りに少し離れた木まで行くと、何かをくわえて戻ってきた。
「はい」
「ドロップアイテムか? ウリ、魔物倒してくれたんだ」
「うん。リリパットが弓矢を撃ってきたからね。とっさに風壁を張ったけど、怪我はない?」
「ああ、大丈夫だ。ありがとう、ウリ。なぁ、今の魔法だよな! ウリ、魔法使えるんだ! すげぇな!」
「ふふん。見直した?」
「ああ、すげぇよ! 今どうなったんだ?」
「結界を解いた途端リリパットが矢を撃ってきたから、瑛太に風壁を張って風刀でやっつけただけ」
「おーー!」
くぅぅぅ、カッコイイ!
オレもサラッと魔法が使えるようになりたいぜ。