表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/30

試してみよう、そうしよう

「あー…」


 やっちまったよ…。オレのバカ。無意識に手慰みする癖をなんとかしなくては! いや、もう遅いんだけど! あー、オレのバカバカ。最後の1個なのに!


「あらら。最後の願い使っちゃった? どんな願い?」

「ウリ〜」

「はいはい、泣かないの。で? 何かスキルもらったの?」

「うん。 ‘ランダムドロップ’ ってスキル。先生ー、このスキルって何?」

『ドロップするアイテムが、ランダムになります』


 言葉通りの意味だった!!

 なんて安直な…。そりゃ薬草ばっかりでつまらないって言ったよ? でもさ、そんな安直に…。最終確認とかあってもいいんじゃね? ほら、使いますけどよろしいですか? 的な何かがさ、あってもいいと思う!


「なんか、ドロップするアイテムがランダムになるスキルらしい…」


 なるほどと、ウリは頷いているけどこのスキル微妙なんじゃね? ようは何が出るかわからないガチャ的なものになった事だよな。


「ま、楽しそうでいいんじゃない。早速試してみなよ」


 魔物出ないかねぇなんて言うウリは相変わらず能天気だ。

 オレも試してみたいって思ってるから、ウリのことどうこう言えないけど。





 そんなこんなで30分。

 ようやく次の魔物、スライムが現れた。


「よっ!」


 スライムなら安心して倒せるレベルになったオレ。スキルってホント、ありがたい。ばあちゃん、じいちゃん、ご先祖さまありがとう。

 シュワシュワと魔物が消えていく。

 ここからだ。ここから何が残るのか。


 チャリチャリ。

 金属の擦れる音。聞き覚えのある小銭の音に思わず駆け寄った。


「何だ、これ?」


 拾い上げたのは、8枚の硬貨。くすんだ銀色っぽい硬貨3枚と、十円玉みたいな色した硬貨5枚。


「先生、これがリレラ?」


 確かこの世界の硬貨はリレラと言っていた。


『はい。350リレラです』

「もう少し詳しくお願い」

『銀貨3枚と銅貨5枚です。銀貨は100リレラの価値があり、銅貨は10リレラの価値があります』


 なるほど。確か1リレラは10円だったから350リレラは3500円だよな。薬草1個3500円はしないと思うからこれは儲かった?

 チャリチャリと、手の中で硬貨を転がしながら歩く。

 もっと色々試してみたい。魔物いないかな?

 ん?

 この考え方ヤバイかも。

 戦闘民族じゃないんだから、楽しむ為に魔物を倒してはいけないよな。

 うん、うん。





「瑛太、そろそろ森を抜けるよ」

「えっ」


 ウリにそう言われて周囲を注意深く見れば、辺りの木の間隔がまばらになった様に思える。

 そのままザクザクと歩く事5分。ようやく開けた場所に出た。


「やったーーーーーー!!!」


 ようやく、ようやく森を抜け出した!!

 前方に遮るものが何もない!!


「ウリ、ウリ! すげぇな! 何もない!」


 たった1日森を歩いただけのウリにはこの感動が伝わらないようだ。歩けど歩けど森の中のあの閉塞感。永遠に森が続くかのような恐怖。それが今、開放されたのだ。オレは自由だ! I'm free!!!

 ハハハ!! 

 浮かれるあまり妙なテンションになったオレを、ウリは若干引き気味に見ている。

 いいじゃないか、少しぐらい浮かれたって!

 

「さあ行くぞ! アルサの街に向かってレッツゴー!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ