6日目の朝 先祖からの贈り物 6
異世界に着いたのが、1日目。出発したのは、2日目です。
6日目の朝になった。
「おはよー」
答える声はない。
寝袋を丸め、石かまどに薪を足し、昨夜の味噌汁を温める。
パンも1つ温める。しばらくすると鍋から味噌のいい匂いが立ち上がる。鍋の中身は豚汁だ。一味唐辛子がないのは残念だが久しぶりの味噌味は美味かった。
うん。
美味かったんだ。おー! って声が出るくらい美味かった。
けど。
「寂しい、な」
飯を1人で食うのは寂しい。今まで何も考えずにじいちゃんと飯を食ってきた。二人きりの家族が一緒に飯を食うのは当たり前の事で、当たり前すぎてなんとも思ってなかった。
「ハハ…情けねぇな」
勢いでやって来た異世界。たった6日で何やってるんだろう。
レベルは1つ上がって3になった。
アルサの街にはまだ着かない。
そもそも本当に合っているのか?
今まで歩いてきても、人工物はなにもない。
自分以外の形跡は全くなかった。
本当に人がいるのか?
この異世界はこのままずっと魔物ばかりいるんじゃないか?
「クソッ」
嫌な考えだ。こんなのオレらしくない。
止めだ止めだ!
ここまで来たんだ、やるしかねぇだろ。
「よし! 頑張るぞ! エイエイオー!」
オレの掛け声だけが虚しく響く。
空元気も一瞬だ。
「先生ぇ、何とかしてよ…」
ピッコーーン。
《友だち》を贈ります。
「えっ」
いつの間にか玉を触っていたようだ。
もくもくとオレの身体から白い煙が立ち上り、1つの塊を作り出す。
ふわふわふわふわ…
パッカーーン。
イノシシが現れた!
「えっ、えっ、えー!!?? 友だちってイノシシが!? そこは人間だろ! えっ、えっ、えーー!?」
「もう、えっえっ、えっえっ、煩いね」
「うわっ! イノシシが喋った!!」
「そりゃ喋るでしょ。イノシシじゃないんだからさ」
「イノシシじゃなきゃ何なんだよっ!」
「俺? さぁ何だったかな?」
「おいっ!」
「ハハ。冗談だって。俺はね…ま、そのうちわかるよ」
「おいっ!」
「ゴメン、ゴメン。でも、イノシシじゃないのは確かだよ。ほら、牙がいっぱいあるでしょ?」
そう言われてみれば牙が多い気がする。
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10!
大小合わせて10本!
多すぎだろっ!
「まぁまぁ。そんなにカリカリしなさんなって。ねぇ、瑛太くん」
「! オレの事知ってるのか?」
「そりゃあねぇ。ずっと一緒にいたし」
「?」
「わからない? つれないなぁ。俺だよ、俺!」
「そんなオレオレ詐欺みたいな事言われてもわかるわけないだろ!」
「ハハハ。じゃあ、問題です。俺はどこから来たでしょうか?」
「どこって、玉からじゃねぇ?」
「ブー、ハズレ。いや、もう少し詳しく、で」
「詳しくって…玉を握って、何とかしてって先生に頼んだんだよな。そしたら白い煙が出て、友だちっておまえがいたんだよな?」
「ん。その煙、瑛太から出てたからね」
「オレ?」
「そう。と、言う事は…? わかるだろ」
「オレの中から…
!!
じゃあ、おまえが ‘ばあちゃんの友だち’ なのか?」
ばあちゃんが守ってきた恩人?
「そうだよ。一二は俺の友だち」




