ステータス 2
評価・誤字報告ありがとうございます!
「リュックの方がバランスよくて好きなんだけどな」
肩掛けカバンの蓋を開けてみる。
うん。普通のカバンだ。
「あんまり入りそうもないなぁ。こりゃ失敗したか…」
とりあえず薬草を入れてみる。
シュ
「うぇっ! 消えたよっ!」
中身が消えたんですけど!
先生どういうことですか!?
『このカバンは異次元収納です。収納したものは異次元に保管されます』
「取り出す方法は?」
『取り出そうと思うだけで大丈夫です』
どれどれ。
‘薬草’
手の中には薬草が1つ。本当に出てきたよ!
「でもさ、数が多くなると何が入ってるかわからなくなるじゃん?」
『カバン前面部の丸い突起に触れて下さい。そこに触ると中に入っている物が表示されます』
「? 何も出ないよ?」
『今カバンの中には何も入っていません』
「そうだった! じゃあこれで。よっ、
おー。薬草✕2ってなってるわ」
どんな仕組みかわからないが、薬草✕2という表示が浮かんでくる。もっと入れるとどうなるか知りたくなって、着ていた上着を入れてみる。
長袖上着 薬草✕2
「おー! こんな感じになるんだ。
あっ! 異次元って事はもしかしてカバンより大きいものも入ったりする?」
『入ります。手で触れながら収納すると思い浮かべて下されば大丈夫です』
何それ、最高じゃん!!
何でも入る魔法のカバンだよ! さすがファンタジー!
どれくらいまで入るのか試したいけど、今は手元に大きい物がないからひとまず保留だな。
よし。カバンの検証はこのくらいにして野営の準備をしますか。
「野営」
昨日は無意識だったが、野営を実行するには魔力を2消費するようだ。
現れたのは、寝袋、食料袋、結界の魔道具、石かまど(コの字型に石組みされている)、網1枚、火起こし一式(薪、ファイヤースターター)、鍋、食器袋。
「何かいっぱい出てきたぞ。レベルが上がったおかげだな!」
何はともあれ結界の魔道具を作動させる。
これも魔力を2消費する。魔力は10だったから残りは6かな?
「まずは食料袋の中身だろ」
直径30センチほどのハードパンが3つ。カレー用にカットされた野菜パックが1つと固形スープの元が2つ。ソーセージが2パック。1.5リットルの水が1本と、500ミリリットルのものが3本。塩、コショウ少々。
「すごい増えてる!」
特にパンが嬉しい。昨夜の食料だけじゃ足りなくて、今日は昼抜きだった。このでかいパンなら昼メシに1つ回せるだろう。
とにかく腹が減った。
かまどに火をつけ網をのせ、鍋を置く。野菜パックはそのまま鍋に突っ込めばいいから簡単だ。カレーじゃないから油で炒めたりしない。そもそも油ないしな。
水をドバドバ1.5リットル入れ、固形スープの元をぽちゃり。ソーセージも入れて、蓋をして煮込むだけ。何とも簡単な男の手料理だ。
煮えるのを待つ間に、パンをかじる。
ずっしりとしたパンは噛みしめるたびに、じわりとした旨味が口内に広がる。
「うめぇ…」
もう1袋のソーセージも網で焼いちまおう。
食器袋に入っていた長めの箸でソーセージを転がす。
「アチッ」
ソーセージを焼くには少し火が強い。焦がさないよう隅に置く。
「さて…」
煮えるまでの間でさっきのステータスの紙を確認しよう。
えっと…
守 瑛太
レベル2
旅人
「名前、レベル…先生、旅人っていうのは?」
『職業です』
「へー、オレ職業旅人なんだ。知らんかった。
体力、魔力、攻撃力、防御力、素早さ、賢さ、運。この辺は、ゲームと同じか?」
あの時やったゲームもこんな感じだったよな、うん。
体力12ってマズイんじゃ? 一撃食らったら死んじゃいそうだよ!
「んで、スキル。先生、スキルって特殊技能って意味合いでオッケー?」
「はい」
「ありがと。
先生…これはオッケー。野営レベル2…これもまぁ、オッケーかな。投げるレベル2。これは… ん? 裏に何か書いてある」
投げる
様々な物を投げる技能。
投石 レベル2
投石力 4
命中率 2
「様々な物を投げる、か。石を投げて敵を倒すにも技能が必要って事かな。確か、投石力が2から4に上がったって言ってたから、単純に威力が上がったって事かな?」
「次は、危険察知レベル1」
危険察知
害意を持つものを知らせる
魔物察知 レベル1
「なるほど。これで近寄ってくる魔物が分かるってわけだ」
ブシャ!
「ヤベッ! 吹きこぼれた! アチッ!」
危険察知。
鍋の吹きこぼれは、教えてくれないんだな。
うん。