褒め合い、しんどい。
あるファミレスの一角。
対面で座る女子高生達とその間に座る男子高生これを遠目に見ると修羅場に見えるだろうが違う。
そう、まだ修羅場ではないが間に座る僕、浜田一馬にとってただただ精神的にくる苦行に他ならない、何故なら。
「わたしは一馬くんと一緒に劇場見たりぃ屋台であーんなんかしてみたいなぁ」
「うんそれもいいねっ!でもやっぱり一馬はちょい恥ずかしがり屋だからぁ2人っきりでこっそり楽しむのいいなぁ〜」
こんなである。
最初から和やかな雰囲気で始まるわけがないと覚悟していた。毅然と背筋を伸ばし、微笑みを浮かべ凌ぐと決めたが
背筋は直角90度微笑みを浮かべるはずの顔面はテーブルにキスしてる状態である。
入店直後のメニュー決めから一悶着あった。
「一馬何食べるの?」
そう僕の横から耳元で囁くあかねさんに
「わたしこれを一緒に食べたいな?」
なんて反対側で囁くさくらさん
のっけからコレである。
2人の美女に言い寄られてるという構図から度々聞こえる舌打ち音。
「やっちゃう?」
「俺に任せな」
「ちょっとおれ死神と契約してくる」
こんなブラックなワードが聞こえる始末。
ただ耳元で囁かれたり香りが漂うのも悪くないなぁと喜んでる自分もいるのだが…そしてこの内容を遠くで見て転げ回ってる野郎共がいる。
「あかねの奴なんかやってる…ヤバイ…腹筋…が痛い」
「一馬がなんかテンパってる…ヤバヒッ…捩れるから…ほんと捩れるから…」
清水健二と風間典明である。
「ヤバイもう無理なんか友達の修羅場っつーか取り合いっつーかもう無理、笑顔張り付いてるしなんかプルプルしてるし」
「アレ絶対キャパシティ限界手前だよねっだって顔に汗ダラッダラしてるもの緊張しまくりだものっ!!」
ドリンクバーでも
「一馬何飲むの?」
「僕はジンジャーエールで」
そう言うと可愛さんが即座にコップ持ってくる
「そっちよりグラスでしょ?」
そう言って川上さんが少し大きいグラスを用意する。
そしてさぁどっち?と聞かれてるような目線の後にぼくは手元にあるグラスを貰うと
「フフン」と言わんばかりのドヤ顔と
「チィっ!」と言わんばかりのしかめっ面に挟まれる。
そのまま川上さんが畳み掛けるように氷を入れようとしたら
「氷はなるべく球体に近いものの方がいいのよ?」
そんな風に言う可愛さんが程よい大きさの氷を入れてくれた。
敢えて言おう…何これ!!
さっきからなんか変な汗出るし冷や汗かなクビに生暖かいものが来て怖いよ!お互い作り笑顔だし!!やってられっかちきしょうめっ!!
そしてチラリと横見れば
「修羅場・ランバ・修羅場・ラランバ♩」
「ヘイっヘイっ」
あの2人楽しんでやがる。
その後席に着き、パフェ片手に回る予定を確認し出す。
「まぁ順当なら同じクラスの私からかな?」
と切り出すあかねさん
「えぇでも午前の方が多分一馬くんのテンション高いわよね?」
と即座に意図を言い当てにくるさくらさん
「あら?これでも午後の少し疲れた素の一馬と過ごせるようにしてあげたつもりよ?まぁ私はクラス一緒だから素の一馬とよく喋るけど」
と得意げな表情のあかねさんに対し
「まぁ、でも私の前で少し緊張してる一馬くんも可愛いのよ?それはもうほんとにまぁ女として見られてない貴方なら難しいかな?」
とこれまた返す刀で抉りにいくさくらさん
ヘルプっ!!
「へーまぁ一馬が私の背中や太腿を見つめる時の視線もかなり意識するんだけどぉ特にこの脚のラインなんか結構女として見てくれてる的な?」
そういって水泳で鳴らした自慢の美脚を見せる
「そんな事言ったってそれは本能的な部分でしょう理性的な目線とは言えないんじゃないかな?」
笑顔のまま告げるさくらさん
「何言ってるの?好意も性欲もオープンな一馬からそう言う目で見られるのは私がそっち方面でも魅力的だからよ?貴方はどうかしらね?可愛さん?」
やめてっ!そんなに言わないで太腿は好きなんだよ馬鹿野郎!!わかるだろ!頑張ってんなぁ〜っていう脚に程よい小麦色で健康的な側面ある下半身のライン!!見ない奴がいるか!!
「そう?一馬くんなんかこの間私に肌細かいねって言ってくれて頬を撫でてくれたんだけど?」
負けじと言い返すさくらさん…うん!恥ずいっ!!そりゃああのきめ細かい肌は撫でたいよね!赤ちゃんみたいな柔肌だもの!
「まぁ午後から一馬を独り占めっていう選択肢もあるよなぁ?」
「ねぇ?」
本当に僕がいる意味があるのだろうか?
そんな僕に天啓が降りる。
ファミレスの外に目をやるとそこには
「あの娘とイチャイチャ!!一時間コース今なら半額!!」
「一時間…半分」
「「それだわっ!!」」
こうして文化祭は登校はさくらさん下校はあかねちゃんその後は一時間毎にチェンジとなった。
女子の自己主張激しめな回になりました。




