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10 ニセモノ

「私は……。」

いつか言わなきゃいけなかったんだ。

それを今言うだけだ。

「私は、人間じゃないよ。アイツが言ってた様に魔法使いでもない。」

「……紛い物だよ。」

「雛凪の魔法ってさ。完全に魔法や物を複製出来るんだ。」

「だったら自分自身すらも複製出来るんじゃないか。って雛凪は考えたの。」

「それが私なんだ。」

「でも神様はそれを許さなかった。複製された私は複製魔法を制御出来ない。」

私の魔法が劣化してしまう原因だと思う。

「その頃の雛凪はね、まだ未熟だったから作られた私の姿は化け物みたいだったよ。」

「その時に多分、雛凪は人間を憎むようになったんだ。」

「だから、これ以上誰かが苦しむなら私は雛凪を殺さなきゃいけない。」

「私に才能があれば、」

もっと…。

「力があれば…。」

もっと誰かを救えたら…。

「力だけ求めたら駄目よ。」

「力なんて一番最後で良いわよ。」

「そうかもしれないね。」

力なんて頼らない方が良いに決まってる。

「でも綺麗事じゃないんだよ。」

「だから、その前に、」

「居るんでしょ?」


「おや、気付いてたのか?」

白い少女は私に近付いて来る。


「当たり前だよ。……副生徒会長いや、」

白咲(しろさき) 夕鶴(ゆづる)。」

「頑張って調べたのかい?でも無意味だ。」

「記憶消去。」

「この通り魔法を使えば無意味だ。」

記憶を失うはずだった。

「その魔法はあくまでも精神を操作して記憶を思い出しづらくする魔法でしょ?」

「だったら真琴の意識干渉でその記憶を思い出せば良い。」

「種が分かった所で回避する術はない。」

確かに何回も使われたら不利になるかもしれない。

「僕が生徒会長になるのに邪魔なんだよっ!!」

「煉獄の炎よ。」

「無駄だ。」

「無駄なんかじゃないよ。」

「私はお前を倒して生徒会選挙に出るって決めたんだ。」

「我が肉体を喰らい、全て喰らえ!」

手加減出来たと思う。

丸焦げになった少女は地面で転がってた。

その後、皆の記憶は問題なく元通りになった。



「生徒会選挙は実戦で評価が高かった魔法使いが選ばれるのよ。」

私は選挙について真琴から聞いていた。

「魔法をどうアピールするかが大事になるから、」

「複製魔法ってアピールポイントなくない?」

それも劣化する複製魔法には無理な話だ。

「まともに使えるのは炎魔法ぐらいかな?」

煉獄魔法もあれで劣化している。

本来は塵も灰も残らない魔法で、

私のような丸焦げになるだけでは済まない。

「煉獄烈火は制御は効かないし、」

「今回は無理かな。」


「雛先輩、まだ諦めるのは早いです!」

刹那だった。

「記憶の方も大丈夫なの?」

「あっはい。大丈夫です!」

それよりも、

「さっきの言葉、どういうこと?」

「雛先輩、新しい魔法を複製すれば良いですよ!」

それは分かってる。

「それに私の複製魔法は劣化するんだよ。」

「私は人間じゃないし、」

私は言葉を詰まらせる。

真琴から話は聞いているはずだ。

「私達よりも人間らしいですよ。それに、」

「ニセモノとか関係なしで雛先輩だからこそ一緒に居るんです!」

「生徒会選挙は魔法戦でもあります。」

「雛先輩なら大丈夫ですよ!」

「油断は禁物よ。」

確かに油断は禁物だ。

「うーん、一か八かでやって見るよ。」


生徒会選挙当日

「私がやれるだけの事はするよ。」

刹那の頬をつねって弄る。

「雛先輩、私の顔で緊張を(ほぐ)さないで下さい!!」

刹那は嫌そうな顔をするも、少し嬉しそうだった。

刹那ちゃんをドMにしてしまったのは断じて私じゃない。

私は緊張感と裏腹に罪悪感で悩んでた。

「さて、お前は噂の霧雨家の魔法使いなんだろ?」

どうやら対戦相手は私の事を知ってるようだった。

「別に私自身が強い訳じゃないよ。」

「そんなもん戦えば分かるだろ!」

少年が持つ銀色に光る刃物が見える。

「剣なんて反則でしょ…?」

私はチラチラと審判に目で講義する。

「魔法で作った剣だから問題ないだろ?」

うそん…。

私は複製魔法で複製する。

「武装乱舞。」

私の前に対戦していた魔法使いの魔法を複製していたのだ。

「この武装乱舞は武装の強化と剣技そのものを模範する魔法だよ。」

「知ってる。剣姫(けんき)紫苑(しおん)の魔法だ。」

相手の剣の技と魔法を複製出来れば多分勝てるはずだ。

「だが、俺は知ってるぞ。」

「……何を?」

「お前の複製魔法は完全な魔法じゃないって事だ。」

剣技延刻(えんこく)!」

もはや魔法じゃない。

こいつは騎士にでもなった方が良いよ!

「模範。剣技延刻。」

私は相手の剣を剣で防いでく。

防ぐので精一杯だった。

魔法をどこかで撃ち込めば勝てる。

「煉獄の炎よ!我が身を焼き尽くせ!」

「させるか!無刀無象!」

少年の放った剣が炎を消滅させる。

「二本目の剣なんて作れたの?」

「魔力さえあれば何本でもな。」

私はニヤリと笑う。

「だったら、魔法を変えるだけ。」

「我が身を喰らい、我が名さえも喰らえ!月蝕(げっしょく)。」

私の前に暗闇が現れ、魔力を全て飲み込んだ。

「お前もう魔力切れか?」

「だったらその魔法を無効化したら試合終了だな!」

「無刀無象!」

少年の作り出した剣から魔力が消えていく。

「なっ!?」

「私のこの魔法はね、魔力を喰うんだよ?」

ただ使うと魔法が使えなくなるというデメリットがある。

術者自身が弱点でもある。

「月蝕。月ごとそいつを飲み込め!」

暗闇から黒い化け物が少年を飲み込んだ。

「安心して生命までは取らないから。」

何とか1戦は勝利した。


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