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09 正体不明

「こうなったらやるしかないよ!」

私は拳を机に叩き付けた。

「人の記憶なんて易々と触って良い物じゃない。」

少し手が赤く滲んでいた。

「雛、学校の生徒の保有魔法一覧を見てきたわよ。」

「記憶操作関係の魔法は無かったわ。」

それなら生徒には居ないのかもしれない。

「ただ精神干渉って魔法なら可能なんじゃないの?」

「精神干渉?」

「他人もしくは自分の精神状態を操作出来る魔法よ。」

「でも違う使い方が出来るとしたらどうなると思う?」

「元気がない人に使えば、急にやる気になったりとか?」

真琴は渋い顔をすると、

「簡単に言えば、脳の状態や脳にある記憶を操作出来るのよ。」

「雛、エナジードリンクじゃないんだから。」

「まぁ、例の生徒会長みたいに他人の胸を揉んで元気になるヘンタイもいるだろうけど、」

ん?

「ねぇ、真琴って雪の事なんで覚えてるの?」

「忘れたの?私の魔法は意識干渉よ。」

そうだっけ?

「さっき、雛に意識干渉の使ったばっかりじゃない!」

「記憶消去が効いてないのか?」

白髪の少女はそう言った。

「わざわざ犯人探しする手間が省けたから嬉しいよ!」

私は手の平から魔力を生成する。

「煉獄の炎よ!今こそ敵を飲み干せ…?」

「焼き焦がせ?」

詠唱が思い出せない。

「複製魔法は詠唱までも複製する。その詠唱さえ出来なくすれば魔法は使えないよ。」

戦わずに負けるかもしれない。と私は思った。

「生徒会ごっこの遊びはそこまでで良いと思うんだけど?」

「煉獄の炎よ!」

私は詠唱を省略する。

「消去。」

私の生み出した炎は風とともに消え去った。

「わざわざ学校のデータを消すまでも無かったな。」

「どうして雪の存在を消そうとするの?」

「記憶って言うのは人それぞれ違う思い出がある。」

「そんなの当たり前だよ!」


「記憶ってのは人が持つ権利と言っても良い。」

「権利?」


「他人しか持ってない知識や経験を赤の他人に移せるとしたらどうする?」


「他人の身体で死者を蘇らせる気なのっ!?」

記憶の上書きそんな事をすれば、元の人間の記憶は消えてしまう。


「そこまでして蘇らせる人間も僕には居ない。だが、金にはなるだろう?」


「そんな詰まらない理由で、人の大切な思い出や時間を奪うなんて許さないっ!!」


「ほう…。君は魔法使いを名乗って良いような人間か?」

いつの間にか背後にいた。

「君の事は一番知ってるよ。」


「……私の何を?」

「さっき言った通りだよ。」


「霧雨 雛は魔法使いじゃない。」

「確かに私は魔法は未熟だけど…!!」

駄目だ。

それ以上は…。

「そうじゃない。」


「君は分かっているだろう?僕が言ってあげようか?」


「それ以上言ったら燃やす!!」

私は魔力を生成しようとしても、

上手く出来なかった。

「嫌だね。今は魔法も使えないのにどうやって燃やすんだ?」


「説得出来ると思ってたけど、無駄だったね。」


「君は本当に人間か?」

「黙れよっ!!」

私は息を荒くしながら言う。

「おやおや、未来の生徒会長がそんな汚い言葉遣いを使って良いのか?」


「と言っても、私の魔法を使えば誰だって生徒会長になれるんだが…。」


「やっぱり、皆から雪の記憶を消したのはお前だったんだっ!!」


「……やっぱりおかしいな?君の記憶からも消したつもりだったんだけど。」


「消し忘れたみたいだ。」

私の頭に手の平を向ける。


「雪…。」

視界が暗くなっていく。

目が覚めたら医務室だった。


「いつから寝てたんだろう。」

「やっと起きたようね…。」

「いつの間にか授業中に私倒れたの?」


「……この写真に見覚えはあるわよね?」

「私が撮った写真でしょ?」


「違うでしょ!!この写真とか。」

「もしかして盗撮してたのっ!?」


「私じゃなくて、……雪よ。」


「雪なんて降ってないよ?」

私は医務室の窓から外を覗き込む。


「記憶を失った…やっぱり奪われたのね。」


「記憶?」

「私は意識干渉で何とか消されずに済んだのよ。」

「記憶を消去出来る魔法使いが居るってこと?」


「一つだけ聞いても良い?」


「雛の魔法は本当に複製魔法なの?」

「複製魔法だよ。」

「でも、霧雨家の娘は霧雨 雛凪しかいないわよ。」


「複製魔法は代々霧雨家の家系による遺伝魔法のはず。」


「霧雨 雛凪じゃない貴女は何者なの?」


「……。」

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