加純さん、土壇場で馬鹿力を発揮する。【第5回イラスト交換企画 上級チャレンジ部門】編
古川アモロ様「*。*:゜ 論文ニニコ ゜:。*」のニニコ・スプリングチケット、そして志茂塚ゆり様からの頂き物「テス」の登場です!
今回も制作工程とウラ話、「なろ美」の解説以上に詳細に。秘蔵ラフ画も放出です。
予告どおり、今回は「第五回イラスト交換企画 上級チャレンジ部門」のお話です。
今回も波乱含みの展開になっております。
それでは!
★キャラクター依頼内容★
【部門】上級チャレンジ部門
【絵師】澳 加純
【作者】古川アモロ様
【出演作品】論文ニニコ
【作品URL】https://ncode.syosetu.com/n3733fe/
【ジャンル】エッセイ
【名前】ニニコ・スプリングチケット
【性別】女性
【種族、人種】人間
【年齢】14歳
【身長】152センチ
【体重】45キロ
【髪型・髪色】ポニーテール・グレー
【目つき・目の色】描き手によりさまざまです。
【肌の色】色白
【体型】14歳女子の平均
【服装】ロングスカートであれば一切不問です。
【表情】描き手によりさまざまです。
【性格】生意気な おマセさん
【その他】
見ていただいた人が自由に解釈してほしいキャラです。
立ち絵、変顔、まったく問いません。
キャラとして絶対のお願いがふたつございます。
ひとつが、ロングスカート着用であること。
太ももを呪われているため、足を隠す必要を持つキャラです。
もうひとつが、髪、肌の色が薄いこと。
これも呪いのため、体内のメラニンが不足しているためです。
それ以外はツノが生えようとも火を吐こうとも自由です。
かわいくて、大人びているのに幼くて、生意気で。
ちょっとナナメな天真爛漫(!?)少女ニニコ・スプリングチケット。
彼女が趣味で書いているという論文を拝見して、すっかり彼女のファンになってしまいました。
だって、その主張が、もう楽しいの。
そこで速攻ニニコちゃんを描いてみたくて、ミニキャラで描いてみる。
作品中に登場していた既存のイメージから、多少発展させたデザインです。
でもよくよく拝見すると、ニニコちゃんは別作品に登場するキャラクターで、こちらの作品はスピンオフらしい。「ニニコ推し」としては、当然、そちらも気になりますわよね。ニニコちゃん、そちらではどんな活躍をしているのかしらって。
そこで本編に当たる「チャッカマン・オフロード」も拝読し始め、ハマる。
本編ではニニコちゃんより先に、こちらの女性が大暴れ……もとい、大活躍していました。とってもパワフルで、タフ。したたか。クレイジー(←褒めている)。
お名前は、フォックスさんです。同じくミニキャラで描いてみる。
訳あってメイドさんの格好をしていた頃のお姿。
けれど依頼されたキャラではないので、ニニコちゃんの登場を待って先を読み進めていく。
そしてニニコちゃん、登場。「論文」とは違った雰囲気でしたが、かわいくて大人びているのに幼くて、生意気なのは同じでした。そしてクレイジー。
あ、この作品でクレイジーは褒め言葉ですよ! 大切なことだから、もう1回。
褒め言葉、ですよ。
彼女も作中では色々やらかしてくれていますけど、(本編で)一番印象的なシーンはここでした。
本当は白いワンピースを着ている設定でしたね。なのに堂々と別の衣装を着せる困ったファンアート描き。アモロ様が「自由でいい」とおっしゃったので、ほんとに自由にやらせていただきました。最後まで。
それはさておき。
ニニコちゃんの行動にハラハラしながら、さらに「チャッカマン・オフロード」の世界にハマっていき、次点押しのフォックスさんのお顔も描いてみたくなったりして。
わかっています。依頼されたのはニニコちゃんですよね。でもこの作品には、ニニコちゃん以外も魅力的な女性たちが数多登場するのです。描いてみたくなるではありませんか。
――というより。
ニニコちゃんを描くにあたって、ひとつ困っていたことがありました。どうしても既存のイメージが強く印象に残っていて、加純の「ニニコ像」をどう描いたらいいのか迷っていたのです。なぞるだけじゃ、イラ交上級部門じゃありませんよね。
わたしなりの「ニニコ・スプリングチケット」を描かなければいけませんよね。
そこで、マリィも描いてみる。もちろん、ミニキャラシリーズで。
このあたりで、わたしの中でなんとなくニニコのデザインが定まり始めてきたのでした。
しかし先に初級者部門を描き始めたので、残念ながらここで一時中断です。
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前回同様、ここで描いていただいたイラストのご紹介です。上級チャレンジ部門、ペアになった絵師様は、志茂塚 ゆり様でした。
爆速の絵師vs.遅筆の絵描き、コントですか? これは。
それでは、テンプレートから。
★キャラクター依頼内容★
【部門】上級チャレンジ部門
【絵師】志茂塚ゆり様
【作者】澳 加純
【出演作品】「テスとクリスタ ~あたしの秘密とアナタの事情」
【作品URL】https://ncode.syosetu.com/n5837di/
【ジャンル】SF
【名前】テリーザ・モーリン・ブロン(愛称テス)
【性別】女性
【種族、人種】人類。表面上はアングロサクソン系の特徴が強くでている。
【年齢】18歳。
【身長】155センチ
【体重】52キロくらい? 少しぽっちゃり体型。
【髪型・髪色】プラチナブロンドのくせっ毛ショートヘア
【目つき・目の色】大きくて垂れ目。色はライトブルー
【肌の色】色白
【体型】小柄でグラマラス。お胸は豊か、プロポーションは意外と良いです。
【服装】物語の中ではプチプラ系を着せていますが、イラストを描くときは、かわいい系のファッションをあれこれ着せています。お任せします。
【表情】ベビーフェイス、年齢より幼く見られるタイプ。
【性格】真面目で正直。やさしくて素直。反面、甘えん坊で泣き虫。依存心が強くて、何事も親友のクリスタに頼りがち。
【その他】惑星レチェルのカヌレ総合大学でリベラルアーツを専攻している女子大生。物語の冒頭で超常能力に目覚め、その巨大すぎる能力に振り回されることに。その他、散々な目に遭わされる本編の主人公。
表現方法、塗り方等は、全てお任せします! 大船に乗って待ってます。
前回をお読みになってくださった方ならご承知だと思う(覚えていらっしゃいます?)のですが、企画が始動した9月、わたしの体調は底辺を匍匐前進していました。待ちに待っていた企画ですから、やる気はあるのですよ。でもコロナ明けで、気持ちは前進したくても、体力と気力が全ッ然付いて行かなかったのです。
変な話ですが、気力さえあれば体力なんていくらでもカバーできるのです、わたし。
そうやって、ここまで人生乗り切ってきました。それが、コロナごときに。流行り病ごときに敗北するとはぁぁぁぁ。情けない。
でも動けないの、考えられないの、ほんとに。
そこで、二択。もう、上級チャレンジ部門はお相手がどなたに当たろうとも、お任せキャラは二択に絞ってあったのです。代表作と、エタを続けながらも一応連載中の作品の主人公二人に。
けれど、いざお相手が志茂塚様とわかり、ますますどちらのキャラを描いていただこうかと悩みは深くなっただけでした。ほら、絵師情報をご覧になればわかるとおり、オールラウンドプレイヤーさんですもの!
こうなると欲が出る。どっちも描いて欲しいの。「ああ、なんのための二択だった!?」状態に陥ったのです。
ですがここでハタと考えました。
もし「なろう美術館」の展示の順番が組み合わせ表のとおりなら、ゆり様のイラストが最後を飾ることになります。でしたら構図が暗くなる可能性の高いキャラより、明るくかわいいキャラの方が良いのではないでしょうか。ゆっくりと美術館の展示品を回って、その最後に眉間にしわ寄せた不機嫌な顔見るより、かわいい女の子の方が絶対いいですよね。
勝手に予測を立て、ウチのセンターを再登板させることにしました。(←違っていたら大恥かいたところですが、予想当たりました。ホッ)
ゆり様なら、作画に関してはなんの心配もありません。ドーンと、全てお任せ。すでにキャラクター依頼内容のところであれだけ注文を付けているのですもの、これ以上口を挟んだら描き難いことこの上ないでしょ。
全面信頼で、ラフ画の確認もナシでOK。質問や確認は答えるけど、他はいっさい口出ししないので「ゆり様の思うように描いてくださったものを見せてください」とお願いしました。
ゆり様の作画の様子は美術館の絵師コメントにありますので、是非ともそちらを。ええ、是非お読みになってください。心を配ってくださった美しい作画、丁寧な解説が添えられております。
そうそう。奇しくもゆり様とわたし、この企画この部門では同じような悩みを抱えていたみたいですね。(←既存のイメージをどうやって打破しようか問題)
ウチの子、幸せ者だよぉぉぉ。
可愛らしさとエレガントと、明るいパワーを感じる、華やかで愛らしいテスを描いてくださいました。テスの明るくて素直で前向きな長所を抽出した、うれしそうというか楽しそうな笑顔が、観ているこちらに安堵感を与えてくれる気もします。テスって、危なっかしいから。
でもね、ずっと見ていたら、泣いて泣いて涙を拭ったあとの笑顔にも見えてきたの。「もう1回、顔を上げてみよう」と希望を取り戻したような。
背中のレース編みの羽根が妖精みたいで、ふわっと舞い上がりそう。
レースやフリル、リボン、花やパールなど、わたしが作画によく使う小道具も満載で、ごちゃごちゃとキラキラを詰め込んだ「テスとクリスタ」の世界観を目にも楽しく。
かわいいだけじゃない、ちょっとビターな味わいまでも、物語を再読して(←決して短い物語ではないのに!)目一杯盛り込んでくださいました。ありがとうございます。
Mission complete!
さらにおまけで、いただいたパステル画のテス。
超常能力の発現に驚き、恐れ、さらに内から聴こえる正体不明の声に翻弄されるテス。彼女の不安は風に乱される水面の騒めきの様に広がり、ただ中で心細くて震えているようにも見えます。ほんと、前半の彼女はこんな感じです。
そしてもう1枚。こちらは後半戦、マオとふたり、敵の追撃を振り切ろうと裏路地を疾走している場面。マオに手を引かれ薄暗い路地を逃げて行くのですが、物音ひとつにもドキドキしつつ、助けてくれる彼の正体もわからぬままで、このあたりのテスは前半とはまた違った不安の中で揺れ動いていましたよね。そんなふたりの距離が少し近づいた(!?)かもしれない、近道ルートでのワンシーンを描いてくださいました。
ゆり様、素敵なイラストをたくさんありがとうございました。いただいた作品を糧に、続き、がんばる!
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はい。無事初心者ウェルカム部門を仕上げ、戻ってまいりましたー。
とはいえ前回のイラスト(ジェシカ・ハパリン)のテンションでニニコちゃんを描いても、ニニコちゃんにはならないと思うの。
ローブ・ア・ラ・フランセーズだって、十二単だって着せることはできますけど、それだけじゃ「ニニコ論文」にはならない気がするのね。(ご要望が有れば、喜んで描かせていただきます!)
というか、同じような絵を描いても、面白くないじゃない? 加純さん的に、ジェシカ様とは趣きをガラッと変えたかったという気持ちもあるの。
そこでもうひとり、けなげながんばり屋のシスター・ステファニーを描いて、脳内を「アモロワールド」に調整。実はわたしの中のイメージ調整とかもあり、チャッカマンの女性陣を、得意でもないミニキャラで描き続けていたのでした。
「チャッカマン・オフロード」はクレイジーなハイテンションな世界をジェットコースターで突っ走っている(←褒めています)ような物語だけど、どこかに冷めたペーソスとユーモアみたいなものが漂っている気がしたのです。
だからわたしの少女漫画風絵柄をそのまま押し通したら、絶対ズレが生じると最初に感じていました。幸いわたしが任されたのは「ニニコ論文」の方ですから、あのハード感を重視しなくても済みます。が、持ち味である少女漫画風テイストは残しても、初級者部門のジェシカ様とは全く違ったフィーリングを出したかったとも。
チャレンジしたのは上級部門ですもの、絶対作者様やご覧いただく方に「こう来たか!」と思わせたいではありませんか。
って言うか。今回の組み合わせの中で、一番「どうなるか?」な取り合わせだったのではないでしょうか。アモロ様とわたし、フィールドもテイストも、極端なまでに違いますからね。でもね、意外と似ているところもあったりするのです。
その辺に上手〜くスパイスを効かせて、料理する事にいたしましょう。
締め切りまで、あと10日。ようやく作品に着手。主催様に火炎放射器を発射される前に、とりあえずのところまで目鼻をつけておかねば!
「ニニコちゃん ラフ」
大急ぎで組み立てた構図のプラン。
わたしのニニコちゃん。少女らしくころころと変わる表情とユニークで自由な感性、どこかアンバランスなところを、いろいろなアレンジとコスチュームで表現してみようと思います。
題して「ニニコ七変化」。論文のテーマになったモノも、さりげなく描きこんでみたりして。
さあ描く、とにかく描く。
脳内で「いいな」と思ったファッションとかポーズ、全部描き出してみる。こんなポーズ取らせてみたいとか、こんなお洋服着せてみたいとか、なんとなくでもあたりを付けておいて良かったよぉ。
アモロ様が依頼の最後に「ツノが生えようとも火を吐こうとも自由」とおっしゃっていたので、火を噴くニニコちゃんは描きたかったの。ツノはそのまま角を生えさせても面白くないので、着ぐるみでも着せようかと思っている。
論文の最後に「奈良クイズ」をやっていたので、天平美人姿も描きたい。
あと、ナンバープレート。できればタンクローリーも描きたかったのですが、お恥ずかしながら描いたタンクローリーがタンクローリーに見えなかったので、プレートだけで。この3つは最初から考えていました。
(簪はワケあって三色団子!)
張り合わせにしたいので、ポージングとコスチューム、ヘアスタイル、あと表情は7パターン全て変えたいと思っていました。じゃなければ、つまらないでしょ。
七変化なので、とにかく7パターン! ここは譲れません!
ニニコちゃん自体はアナログ描き。コピックで彩色しています。アナログ派を自称していますので、そこは意地!
わたしの都合でやり直しの時間が取れない状況になってしまったので、7枚のニニコちゃんを別紙にそれぞれ描いてからパソコンに取り込み、デジタルで合成するという手法を取ります。アナログとデジタル、いいとこ取りのハイブリッド方式。なんたって修正がカンタン。時短をねらえ!
テイストは、明るくポップだけど、ちょっとレトロな雰囲気を狙うことにしました。ほら、わたしの絵柄が昭和テイストだから。
タイトル等の文字は、思うようなフォントが見つからなく(←探し下手!)て、思い余って自分で書いてしまいました。だからじっくり見てはいけません。ああ、もっとしっかりお習字のお稽古をしておけばよかった……(泣)
しかし。この頃リアルが急に慌ただしくなり、あと1週間で仕上がるのか、非常に心配になってきました。
のんびり屋の加純さんが心配するくらいですから、絶対にヤバい状況です。
(10月頃から実家の母の病状が進行したのと、義母の体調の急激な悪化・11月には入院、一時はこのまま……というところまで心配されていました。母の方はその後もゆっくりと進行中ですが、義母はわたしより元気に回復しました。そんなこんなで、加純さんのメンタルも体力も気力も、毎日ガンガン削られていく日々だったの。現在は笑い話になっているけれど)
絵を描いて提出するだけならまだしも、この後アモロ様の了承を取り付け、テンプレまで記入してゴールなのですよ。絵の完成が30日になっちゃったら、テンプレを書く時間が無いではないですか。わたしが火炎放射器で火だるまになるのは仕方ないとしても、巻き添え喰うアモロ様に申し訳が立たない。
尽かさず主催様に泣きを入れました。間に合う自信がありません! つらつらと情けないことを書き綴り、お目汚し申し訳ございませんでした、主催様。でもあの時は、本当に無理だと思っていたの。
あと背景だけ……と言いつつ、本当はまだパーツ2枚程度しか出来上がっていなかった(←平謝りッ!)
ラフと完成画 (コピックペーパー特選上質紙使用、16×21)
まさか泣きついたその晩(11/27)にアナログ画を全部描き上げることが出来るなんて、誰が考えられます?
しかも翌日には背景処理完了して、怒涛の勢いで作品完成するだなんて、夢にも思っていなかったのですもの。
アナログ画部分 (コピックペーパー特選上質紙使用、A4と半分に切断した16×21)
さらに、さらに29日にはテンプレの提出まで完了し、なんだかスライディングゴールしていた!?
奇跡!!
いいえ、火事場のバカ力の方かしら。
あ、そうか。ニニコちゃんのパワーだわ!
Mission complete!
改めまして。
とても魅力的な少女ニニコをお任せいただき、誠にありがとうございました。彼女をどんな風に描こうか考えているのは、とても楽しい時間でした。並びに、チャッカマン・オフロードの女性たちも。
わたしのイラストで、ニニコちゃんの魅力が少しでも多くの方に伝わっていたら幸いなのですが。最後に、デジタル作画のニニコちゃんも。
これからもユニークで楽しい論文を発表してくださいね。ニニコちゃん!
ご来訪、ありがとうございます。
本文中、主催様が火炎放射器云々とありますが、もちろん長岡様が本当にそんな物騒なものを持ち出したわけではありません。
「イラ交」の締め切りは11月末で、11月20日になると、作品制作の進行状況の確認があるのですね。わたしのような遅筆は、毎年「大丈夫ですか~?」と肩をたたかれるのですが、主催様としては美術館開館に向けての準備もありますし、ギリギリ組のお尻に火を焚きつけたくなる頃合いでもありましょう。
そのころの割烹で、冗談で、冗談ですよ、「火炎放射器で焚きつけよう」と云うハッパが掛かったのです。確かにあの時未提出だったのは、毎年締め切りギリギリ提出の常連組ばかり(←申し訳ございません)でしたから、そのくらいしなければならないという覚悟のお言葉だったと思います。
白旗上げて真っ先に戦線離脱したわたしは、戦場なら裏切り者ですよね。
次回はこんなことにならないように、もう少し余裕を持って臨みたいと肝に銘じておきます。
ええ。毎年、そう考えてはいるのですけどね。現実はかくの如きで。
なのに毎年暖かく参加を認めてくださる主催様には、頭が上がりませんわ。誠にありがとうございます。
次回は、12月にちょっと✕(旧ツイッター)を騒がせた、ある美人ママと頂き物のお話(の予定)。どうぞ、お楽しみに。