63. 加純さん、塗り絵をする。①
2022年末、一大ムーブメントになった「塗り絵」。
2回に渡って、このお話を。
(ふぅ、ようやくここまで来たぜ)
「割烹暖簾」
いらっしゃいませ。
あ、大丈夫です。ここは割烹ではありません。お絵描きエッセイですよ。
楠木結衣様に、割烹暖簾をいただきました。若竹色とでも言うのでしょうか、明るい黄緑の地色に白い花。背景には華やかな紅葉。
上品で、艶やかなデザインの暖簾です。この暖簾に負けないような、素敵な作品を製作していかねば!
まずはツイッターのアイコン12月用に描いたイラスト。実際に使用したのはポインセチアのお花だけ(丸窓は小さいので)ですが、楽しくなって、結構描き込んでいました。ポストカードに使えそうですね。
「クリスマスポインセチア」
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「第四回イラスト交換企画」の3ヶ月の製作期間が終了する頃、絵師様方の一部で流行していたのは「塗り絵」でした。自分以外の絵師様の線画をお借りして、自分のセンスでアレンジして昇華させていくという、なかなか高尚なお遊びです。
あちこちで多くの絵師様が思い思いの作品を上げていらしたのですが、11月中は「イラ交」の作品製作で手一杯でしたので、どんなに手を出したくても我慢我慢!
加純さん、幼少の頃から塗り絵大好きでしたので血が騒ぐのを押さえつけるのが大変で。そう、こんなだから肝心の提出作品が進まなくなっちゃうのよ。
とか反省しつつ、全提出が終わると、いそいそと塗り絵に乗り出したのでした。
1枚目。
プレゼントを渡そうとする少女。画自体はシンプルですが、それだけに塗る側のセンスと力量が試されてしまう作品でした。
「塗り絵1 貴様二太郞様の線画」
こちらの作品、季節柄もあって人気のありましたね。シンプルなだけに、アレンジの仕方は無限大。
大勢の絵師様がチャレンジしていましたが、わたしはコピックで挑戦。
元絵がデジタルで制作されていたので、アナログで塗ってみるのも面白いかと思いまして。
……っていうか、デジ塗り苦手なんだもーん!
なるべく原画の雰囲気を壊さずに、かつ神秘的な空気もまとわせてみたいな、と思いました。
クリスマスなので。
そんなわけでプリントアウトした下絵を、わたしが用紙にトレースして、それにコピックで彩色という手順で製作に取りかかりました。そのまま彩色用の紙に印刷出来れば手間要らずなのですが、我が家のプリンタではムリ!
それにアナログ絵描き、複写は通常作業の内なのよ。トレース台だってありますし。文句言っている間に手を動かした方が早いんです。
少女が可愛らしかったので、そのままクセを付けずに「好きな男の子にプレゼントをわたそうとしているところ」風に仕上げてみました。
フード付きのコートは赤、縁取るファーは白、ラッピングは緑色。キラキラお星さまは黄色とクリスマス定番の配色。リボンはピンクで、可愛らしさ重視よ。
にたろ様、ありがとうございました。
ごめんなさい、例によって途中経過の写メを忘れている。(←塗り絵に夢中になりすぎた!)
その反省点(←ちゃんと途中経過写メ撮ろう!)を生かして、2枚目。
今度はハッキリとしたメリハリを付ける、遥彼方様の線画に挑戦。
わたしの描く線は全体的に細いので、メリハリを付けるというのは苦手なのです。繊細だとお褒めの言葉をいただくのですが、強弱が足りない。
前回同様、トレースから始めます。いちいち面倒くさいと思うことなかれ。アナログ描きには必須作業。
それに輪郭線や、衣服のシワ等、トレースすることによって、その作者様の特徴や工夫、クセなど見えてくるのですわ。(まさか、このあとそれが役立つとは考えてもいなかったのですが)
ものすごーく、お勉強になります。
「線画をトレースしたもの」
線画をコピックライナーでトレースしたものです。あらかじめどんな色を入れるのか決めておいて、線画の色もそれに合わせて色分け。デジタルだと後から線画の色を変更出来ますが、アナログだとその作業は難しい。(←全く出来ない訳じゃありませんが)
太さの違うペン先を使い分けたり、色を変えたり。歌う少女より前面に来る紅葉には、ワイン色でペン入れして変化をつけてあります。
線画にメリハリがあるように、遥様の配色にも特徴があって、ツヤとハリのある色(と配色)がお好みなのかなと思われます。線画にすごくマッチしていて、独特の色気があるのですね。
その艶を意識しながら、配色で、少しだけ雰囲気を変えてみようと思います。
主役の少女をほぼ塗り終わったら、背景の紅葉に取りかかります。ここで、少しアレンジ。遠近感を醸し出すために、カラーインクで紅葉の枝が奥まで広がっていそうな感じに色付け。がっつりやっちゃうとしつこくなるので、雰囲気くらいに留めておく。
赤やオレンジ、黄色で、手前から奥へと、色を変えてコピックで紅葉を描き足していきます。もちろん、全部手描きだよん。
ホワイトで消えた線画を補強。
レトロっぽい配色になりましたけど、
「塗り絵2 遥彼方様の線画」
こんな感じで完成。
遥様、ありがとうございました。
3枚目は、力強い線画が魅力の長岡更紗様。
丸ペンで線画を描く加純さんには、少年漫画風の力強い線画というのは至難の業。
Gペンに持ち換えればいいんじゃないの、と思うでしょ。ところがどっこい、ペンを変えただけじゃダイナミックにならないんだな。
ええ。それは、もう、きっと、哀しいほどに……。
最初からその辺りの予想は付いたので、サンプルの中から「わたしでもなんとかなりそうな」キャラクターをチョイス。
さあ、チャレンジ、チャレンジ~!
トレースは、バックライトを備えた専用のトレース台という装置を使ってやります。これが無いときは、日中窓に紙を貼り付け、日光で透かせて線を拾っていました。
原理は一緒。ただ夜間は出来ないし、家人在宅中もムリ。目と腕が疲れる、線が揺れる。リスクが多過ぎるわ。(アナログあるある)
写真はシャーペンで線画をトレースしているところなのですが、すでに雰囲気が違っちゃっている!
忠実に複写しているはずなのですが、線の太さだけで、これだけ違いが出ちゃうのね。予想はしていたけど……(ため息)
ペン入れも、普段使わない太目サイズのペン先ライナーを使用したのですが、それでもなんだか力強さが足りない……(泣)
どれだけがんばっても同じ線は引けないので、開き直って、あとからコピックの筆先で幅を足したり微妙なアレンジを加えたりしています。
あれ、これ塗り絵の話だよね?
長岡様も、線画同様パンチの効いた配色をなさる方です。鮮やかな、パワーのある色がお好きなのかと。確かに勢いのあるくっきり線画に、ニュアンスカラーを持ってきてもチグハグになりますものね。バランス大事!
今回は線画が拙いので、配色で寄せていきましょう。でも、銀髪は少女マンガ風に豪華にさせて! 伏せ加減のまつ毛も長く、ばちばちで。
ほら、その辺は「塗った人:加純さん」だから。
「塗り絵3 長岡更紗様の線画」
やっぱり違う感が拭えませんが、これだけ個性の違いが出れば観る方は楽しいかもしれない――と無理矢理納得して献上。塗る人によって、まったく雰囲気が変わるっていうのが塗り絵の醍醐味だよね。ね!
長岡様、ありがとうございました。
こちらは「塗り絵」ではなく、「塗替」企画。
初手からアレンジOKということでしたので、ウンと大胆に「塗替」はおろか「描き替え」てしまいました。
アホリア様のコミカルでシュールな絵柄を、これでどうだ! ってくらい少女漫画風に変換しちゃいました。元絵の面影は、ポージングのみ……かも。
「アホリアSS様『塗替企画』①カタツムリ娘スチームパンク風」
原画は全然スチパンでは無かったのですが、だからこそこんな味付けも楽しいかなぁ、なーんてね。
この作品はアナログとデジタルの共作で、コピックで仕上げたカタツムリ娘をPCに取り込み、デジタルで背景を制作しています。手の込んだ背景画も、素材を使えばお手軽にできちゃうのがデジ画の良いところ。もう、素材様々です。
アホリア様、ありがとうございました。
こちらは、黒星★チーコ様「ひまわり畑の初恋の君」より、フローレンティン。
塗り絵ではありません。純粋にファンアート。
ツイッターでの会話をお見かけして、テロを決行させていただきました。
正統派ヴィクトリアンメイドのお衣装。メイドの衣裳も時代によってデザインが変わってくるので、「これでいいのか?」とドキドキしながら送り付けてしまいました。
「フローレンティン」
チーコ様、お受け取りありがとうございました。
天界音楽様主催「#12カ月間の小品集2022」、12月のお題は「白」。
「白うさぎが、白い湯気を立てている、白い中華まんをかかえているところ」という、だいぶシュールな絵になりました。2023年はうさぎ年ですし、ま、いいかなぁと。
だから。加純さんはキャパの広いお題を観ると、どう捻ってやろうかと無駄に悩むんですってば!
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もうひとつ、12月恒例となった猫の玉三郎様主催の「#2022クリスマスくそダサセーター祭り」。
くそダサセーター(アグリー・クリスマス・セーター)というのは、サンタやトナカイ・雪だるまが大きく編み込まれた、人前で着るのは恥ずかしいようなデザインのセーターのこと。それをキャラに着せちゃおうという、楽しい企画なのです。
2021年は乗り遅れてあとから悔しい思いをしたので、2022年はキャラ募集を発見した時に、速攻で手を上げました。
玉さまにお願いしたのは、テス。
しばらくして、こんなかわいいニットドレス姿のテスをいただきました。
本人はぽわっと「似合う~♡」とか言いそうですが、アダム&ディーやリック、マオが観たら、目のやり場に困るのではないかと思うのね。サンタさんのお顔の位置が、なかなか凶悪。
もちろんこの企画、参加することも出来るので、テスが着るのなら当然このふたりも着るであろうと、
メリルお嬢様、ノリノリで楽しんでおります。マシンガントークも健在! 楽しいクリスマスパーティーになったこと、間違いナシですね。
というところで、年越し。
でも塗り絵熱はまだまだ冷めず、さらに次の企画参加へと続いていくのですが。
――ここで突如やって来た、スランプの泥沼!
絵が描けないっ!!
お越しいただきありがとうございます。
次回も塗り絵作品の特集。
塗らせていただいた作品、塗っていただいた作品、そして「だ〜れだ!」企画に参加した作品をお送りする予定です。
お楽しみに!




