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加純さんのお絵描き録  作者: 澳 加純 
1. ツイッターにイラスト上げてみようかと思います!?
50/94

50. 加純さん、衣裳デザインに凝る。(第三回 イラスト交換企画のお話②)

10月、『ミュージアム』企画のイラストを描き上げた加純さんは、「イラ交」に戻ってきました。

腹田 貝様の作品『家畜の意思 「愛玩用と呼ばないで」』依頼されたキャラデザインに本格的に取り組み始めます。





 前回(46話)で、首問題に悩みながら特畜隊のメンバーを描いていた加純さんですが、イラスト交換企画で作者様が絵師に指定できるキャラクターはひとりです。

 大事なことだから、もう一回。


 ()()()です。


 当然、腹田様からリクエストいただいたキャラもひとり、です。にもかかわらず、すでにつらつらと5名のキャラを描いていますが、それでは()()()()()本命のキャラは、いったい誰だったのでしょうか?


 答えは、テンプレートをご覧ください。





 ★キャラクター依頼内容★

【部門】①初心者ウェルカム部門

【絵師】加純

【作者】腹田 貝様

【出演作品】家畜の意思 「愛玩用と呼ばないで」

【作品URL】https://ncode.syosetu.com/n5450dn/

【ジャンル】空想科学〔SF〕

【名前】(あん)

【性別】雌

【種族、人種】ヒト家畜

【年齢】18歳※15歳で成人の世界なので、雰囲気は大人びている

【身長】167cm

【体重】50キロ台

【髪型・髪色】肩に届く位のセミロングストレート、おろしたまま、前髪あり・黒色

【目つき・目の色】ややツリ目・黒色

【肌の色】色白の黄色人種。子どもの頃からめちゃくちゃ日焼け対策している。

【体型】ぱっと見細身のモデル体型。訓練された戦闘員なので、マッチョ程でないが筋肉はついている。胸はDカップ位

【服装】黒のダウンジャケット(左袖無し)、白のタンクトップ、濃紺スキニーデニム、茶色ブーツ・デニムイン、右太ももにホルスター装着、デニムにウエストポーチ装着

 ↑

 服装はパッと見ユニ○ロ風。でもめっちゃ機能性高い設定です。

【表情】無表情。感情表現を自分の意思ですることを禁じられている。

【性格】クールで無口。家畜にも意思があるという考えを持っている。

【その他】意思を持った雌ヒト家畜という設定です。自我を持ったロボットみたいなキャラクターですが、家畜という自分の立場を当たり前に受け入れているので「家畜と人の違いは?」と言った悩みは持っていません。機械的に振る舞う人間の究極形みたいな感じです。



 てへ。

 答えは、特畜隊の雌ヒト家畜という特異な立場で、特殊な能力を持った少女(あん)――だったのでした。





 初顔合わせで、未読の作品。まっさらな状態でテンプレを拝見して、餡ちゃんのヴィジュアルの第一印象は「市松人形」でした。あ、第一印象といってもサンプルがあった訳ではなく、わたしの頭の中に降りてきた餡ちゃんがそうだったのね。

 その後加純さんはタイトルとサブタイトルの意味を探りつつ、腹田様のご意見を伺いつつ、市松人形の餡ちゃんを脳内ヴィジョンで加筆修正していくわけですが、彼女のヴィジュアルに関してはほぼ第一印象が決定稿になっています。

 46話でもお話しした「速攻で腹田様に送りつけたラフ画」。不自然に隠してあった部分には、実は餡ちゃんが描かれていたのです。



   挿絵(By みてみん)



 ね。もう、餡ちゃんでしょう。


 同時に、構図の第一稿もなんとなく浮かんでいました。確かね、原作を読み始めて第一章中間あたりだったかな。

 大好きなSF作品でしたし、ユニークな世界観にハマって、冒頭から特畜隊メンバーが脳内ヴィジョンで暴れまくってくれたものですから、キャラデザインにはさほど苦労はしなかったんです。(←首問題以外は)



    挿絵(By みてみん)

      サゴシ第一稿。決定稿はもう少し若返ります。



 『家畜の意思』を拝読し始めてすぐに思い浮かんだのは、この作品は漫画やアニメにしたら――ヴィジュアルをつけたらもっと人気が出る作品なのではないかなぁ、ということでした。事実、(後で伺ったことなのですが)腹田様、漫画の原作者になりたかったそうな。


 失礼ながら、造形の参考のために(……参考のためです!)寄せられていた感想も読ませていただいたのですが、やはり動物たちのヴィジュアルを想像し難い、というご意見も。いつもの調子で、文字を追いながらポンとヴィジュアルを造形(つく)ってしまいましたが、「二足歩行の動物」って、そう言われればかなり特殊なデザインです。

 俄然、描いてみたくなりました。(←っていうか、勝手に手が動いた)



    挿絵(By みてみん)

       毎度の事ながら酷いラフ画①



 衣裳も最初はテンプレどおりユニ〇ロ風で考えていたのですが、ヴィジュアルにしたとき、ユニクロ風ではシンプルすぎていまいちインパクトに欠けると思いません? いえ、ユ〇クロが悪いと言っているわけではないのです。わたしだって愛用者ですもの、有名な暖かインナーとか。

 でもどちらかといえば「シンプル・イズ・ベスト」のデザインより、もう少しデコラティブな方が、視覚的には面白いのではないでしょうか。文章と絵では、根本的に表現方法が違います。文章では困難なことも、絵ならばダイレクトに視覚に訴えることが出来るので、無謀なことも納得させることが出来ちゃったりしますもの。文章でいちいちキャラのコスチュームデザインのあれこれを事細かに説明していたら、ストーリー展開の邪魔になりかねません。が、イラストなら一目瞭然です。

 ほら、イラストは見た目大事! なのです。

 それに前回もお話ししたとおり、衣裳は個性を現わす大事な小道具なのです。というわけで購入したモード系の雑誌を参考に、餡ちゃんに似合いそうでハードでセクシーな衣裳をデザインし始めました。

 そう、頼まれもしないのに。(←やれやれ)





 ****





 ここで引っかかってくるのが、この作品のサブタイトル「愛玩用と呼ばないで」。わたしは最初からこのサブタイトルに興味を持っていて、それをずっと抱いたまま物語を読み進めていったのです。このタイトルに隠された意味ってなんだろう……って。

 「呼ばないで」と要望するということは、「愛玩用」に観えるから。このあたりの事情はネタバレになりますから割愛しますが、餡はクールなだけでなくセクシーでもなければならないと考えました。


 ただ、このセクシーさは淫靡なものではなく造形的な美しさ。ちょっと影があってどこか人工的な匂いがしながらも、人の目を引かずにはいられない魅力もあって、若い女性の持つ艶やかさやはち切れそうな健康美もあって……と勝手な解釈(あるいは個人の感想)が展開され――、


(ええっ、描けないよ。こんな難しい課題(びしょうじょ)


 自分でハードルを高くするクセ、なんとかしよう……(泣)



   挿絵(By みてみん)

      「餡」 (初期設定)





 でも、せっかく任せてくださったのですもの、出来る限りのことはしたいではありませんか。そこで衣裳のデザインは大胆にすることにしました。え、接続詞が違う? まぁ、そこはヨシとしてください。問題はそこじゃなくて、こっちなのです。



   挿絵(By みてみん)



 じゃ~ん!

 思いっきり、アレンジしてしまいました。餡ちゃんのメンバーカラーである「黒」を前面に押し出しつつ、かなり個性的なデザインに。ジャケットの丈は短め。異素材切り替えで、軽さとアクセントを出してみました。設定上の理由で彼女のジャケットには左袖がないのですが、片袖だとかなりアンバランスなので、ロンググローブで釣り合いを取っています。

 インナーの白のタンクトップは、思い切ってハーフトップに変更しちゃった。思い切って見せちゃった方が、健康的なセクシーさがでるんじゃないかと思ったのね。その分パンツをピタッとしたデザインにして、ヒップから太ももの女性らしいラインを強調。でも素材はレザーっぽくして、そこにレースアップのブーツをあわせてハードさもプラス。

 さすがモデル体型、なんでも似合う!





 ここまで描いてから、遅まきながら不安が胸をよぎりました。大丈夫か、この大胆なコスチューム変更。オーダーの面影ナッシングですよ。ひょえぇ。

 なろうの作者様たちはお心の広い方が多いので、大抵のことは笑って許してくださる(←おい!)とはいえ、さすがにここまで無断で変更したらクレームとまではいかずとも赤ペンチェックを入れたくもあるでしょう。特にヘソ出しスタイルは好き嫌いがあるし。


 これは「スライディング土下座ッ!」案件かもしれません。いただいたテンプレとは大違いですが、でも、これがわたしの「餡」なんですよね。


 リテイク覚悟で腹田様にお伺いを立てたら、「これはアリ!」ということ(※本来はヘソ出しお好きではないそうですが)なので、これで餡ちゃんのキャラデザインは決定!! 


 わ~い、一山越えたよぉ。



   挿絵(By みてみん)

   「餡 5-1」 餡の表情に少女漫画テイストを3滴くらい追加したら?ver.





 これにより。

 その後描いた特畜隊メンバーの衣裳も、加純さんの暴走により、個性的で大胆なデザインになっていったのは云うまでもありませんでした、とさ。



   挿絵(By みてみん)

     特畜隊 サエズリ






   挿絵(By みてみん)

   「餡 5-2」 5-1の無表情ヴァージョン。(←唇のパーツを変えただけ)






   ****





 おまけ!

 すでに季節は過ぎてしまいましたが、どうしても菊の花が描きたくなったのです。しかも大輪の菊の花。

 菊の花だけでもよかったのですが、こんな構図が浮かんできたので――。


 彼の視線の先にいるのは誰でしょうね。




   挿絵(By みてみん)

      「mao 菊と三日月」



 英名のマム、と呼ぶとかわいい可憐な感じがします。球状のピンポンマムとか、スプレーマムとか。でも、格別なのは肉厚の花弁を零れるように拡げる大菊。圧巻!

お絵描きエッセイも、ついに50話を数えることになりました。ここまで続けることが出来たのは、応援してくださった皆様のおかげです。一年で終了する予定だった連載でしたから、まさかここまで続くとは思ってもいませんでした。

この先もお付き合いいただけましたなら、と願わずにはいられません。どうかよろしくお願いいたします。


補足説明ですが、イラスト制作順は酷いラフ画①までが9月の初旬、餡ちゃんのキャラデザインが決定したのが10月始め。特畜隊メンバー5人を描いたのも10月。(サエズリや少女漫画テイストの餡、マオは12月に入ってからの作成です)

そして11月、いよいよ提出用のイラスト制作に乗り出します。次回は『第三回 イラスト交換企画のお話③』をお送りします。今年のことは今年のうちに……の予定なのですが。


がんばります。


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― 新着の感想 ―
[一言] 私も原作無視で突っ走る傾向がありますが、こ、これはさすがに大胆すぎる衣装アレンジ! でもイラストにする時にビジュアル重視になりがちなのはよく分かります。画面のどこかに華を持たせたいですものね…
[良い点] 餡ちゃんについて、色々模索なさってくださっていたとは。 有り難い限りです。 [一言] 更新お疲れ様です!
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