47. 加純さん、IFAを描く。
10月下旬。ハロウィンが近づいてきた頃、ツイッターで面白いつぶやきを見つけました。
それはふたつ名のイメージイラストを描くというもの。面白そうなので早速描いていただくことにしたのですが、そもふたつ名とは?
ふたつ名とは、異名とかニックネームとかいえばわかりやすいでしょうか。ただこれ、名称が「ふたつ名」となると本名より有名な――という意味合いが強くなってくるらしい。しかも人によっては、三つも四つも持っている場合もあるとか。こうなると、通り名の方が適切なのかしら。
例えば「甲斐の虎」「越後の竜」と言えば、武田信玄に上杉謙信と連想しますよね。歴史好きなら、川中島の合戦まで連想しそうです。海外に目を向けても「処女王」といえばエリザベス1世で、「太陽王」といえばルイ14世とか。政治家でなくても「天文学の父」といえばガリレオ・ガリレイで、「神童」モーツァルトに「楽聖」ベートーベン。「天才」アインシュタインに「喜劇王」とくればチャップリン。こうしてみると、ふたつ名を持つ偉人は結構多いし、知名度が高い!
大抵このふたつ名は、キャラクターの性質や能力などを手短か……というか単刀直入に言い表していたりするので、聞かされた者としては相手の特性を判断しやすいですよね。
さて。それはさておき、ですよ。
現在、名前を打ち込むと勝手に(厨二病テイスト濃厚な)ふたつ名をつけてくれるというアプリがあるそうで、そちらでなろうユーザ様のペンネームからふたつ名を作成したのだそうです。(※また聞きなので違っていたらごめんなさい)
折しも万聖節前。「trick or treat!」のお祭り気分に乗って小さな遊びから発展した「ふたつ名」の波紋は、イメージファンアート(IFA)やバナーの作成、ふたつ名能力設定や小説が制作されるとか、あれよあれよという間に大波に成長していきました。
う~ん。そうすると、その波を煽ったひとりでもあるのですね加純さんは。
まあ、順を追っていきましょう。りすこ様にお願いして、ふたつ名のIFAを描いていただいたのです。
すごいでしょ、わたしのふたつ名は「偏在する惨劇」ですよ。スキルは「ヒアゼアエブリウェア」。
なんのこっちゃ、とか言わない。こういうのは感覚!!
加純さんは気に入っているんですから。ふたつ名を持つなろう民は多けれども、「ここ、そこ、何処でも」なんて禅問答みたいなスキル名持っているの、わたしくらいですもの。(←もちろん自慢!)
それにつけても、厨二病テイストの効いた素敵なIFA。コピックを手に、どこかイっちゃっている目が――。
でも夢中でイラスト描いているときってこんな表情しているかもしれない……と胸に手を当てて、ちょっと思い当たる節を探せるあたりが、もっと怖かったりするのでした。
りすこ様らしい大胆で歯切れもいい力強い線が、個性溢れる視点で人物像を切り取ってくれています。書かれたスキルが恐れ多くて、わたしの方がひれ伏しそうです。
また海堂直也様作成による能力設定によれば、ヒアゼアエブリウェアは〈視界の中で一人必ず持病を悪化させ倒れる者が出る〉なのだそうで「いっしょに持病闇しましょう!」という、なかなか厄介な能力の持ち主と云うことになっています。
なろう界隈では、このスキルって、かなりの高スペックだと思いませんか? 欲を言えば、ひとりとは言わず猛者4~5人がバタバタッと闇(病み)出すくらいにまでスペックを高めたいのですけど。(←おい!)
あ。もちろん妄想の中で、ね。
りすこ様にIFAをいただいて、あれこれお話しをさせていただいているうちに、ヘンなスイッチが入りました。
「わたしも描きたい!」
ただね。丁度その頃って『#12ヶ月の小品集2021』10月のお題をどうしようかと考えていた時でもあり、前回掲載した『イラスト交換企画』の特畜隊メンバーを描いている最中でもありました。余裕なんて無いです。
特に10月のお題「豊穣」の画は、悲しいくらい画が浮かばなくて、困り果てているときだったのですよ。加純さん、テーマが広大だと攻め所に悩むタイプ。その上、特畜隊のタテガミを描いている途中だし……。
でもねー、スイッチ入っちゃった。こうなると、描きたくて仕方無い。余裕が無かろうが、腱鞘炎が悲鳴を上げようが、描きたいのっ!
りすこ様の、ふたつ名絵の構図が浮かんじゃったんですもの。そうだ、この衝動を収めたら「豊穣」の構図だって浮かぶかもしれないでしょ。
ほぼこじつけ的な理由を見つけて気持ちを納得させると、「短時間クオリティで!」というお約束だけはしっかりと自分に課してから描き始めました。申し訳ないのですが、ほんっとうに時間が無かったんです。
でも、出来る事はしっかりやりましたから!
『暗黒illusion りすこ様』
セクシーな表情と、イリュージョンを放つ手を前面に押し出してみました。お顔のアップの構図なので、イヤリングや指輪など装飾品多め。くるんくるんの縦ロールも、装飾を兼ねて派手目に。点描も楽しくトントントン……よ!(←たぶんヒアゼアエブリウェアのスキルが発動したのでしょう)りすこ様、ありがとうございました。
――で。この時、10月23日。ウソみたいなお話ですが、りすこ様のIFAを描き終わるとぽこんと「豊穣」の構図が決まったのです。我ながら、なんという安直さ。
そうして特畜隊のタテガミ(前回掲載)を仕上げつつ……の、そこから1日で描き上げた作品が、こちら!
『実りの秋は黄金の波』 「#12ヶ月の小品集2021」「今からファンアート2021」 デジタル作画
なんとか25日の更新に間に合いました。――って、なぜにいつも綱渡りになってしまうのだろう。
それが問題だ。
こうして『#小品集』とタテガミを仕上げた加純さんの脳裏には、再びふたつ名IFAが浮かんでいたのでした。次の犠牲者はたやっちこと茂木 多弥様。ぜひ描いてみたくって。迷惑かなぁ~と思いつつ、描いた!
『躰形戦鬼genocidemezotto 茂木 多弥様』
文章の歯切れの良さから、大斧でスパッと断ち切るイメージで。確か秘書検定を持っていらっしゃるとのことだったので、颯爽とスーツ姿。斧の柄の先端にもぎたんを入れたのがポイント。絶対に刃の切れ味は良いに違いない。
受け取ってくださってありがとうございました、たやっち。仕事が出来るだけでは無く、心も広いお方。
そしてこのプロジェクトの中心人物。
『死屍累々judgment ひだまりのねこ様』
ねこ様はIFAもたくさんいただいているので、そちらとは趣向がかぶらない風に。ジャッジメントなので、アソビ心で軍配団扇をミスマッチさせてみました。もひとつ、わかりづらいけどタイツの柄も「judgment」なの。
魔法少女とかやっていそう、かも。ねこ様、ありがとうございました。
ここまでは順調に遊んでいたのですが、このあとリアルでいろいろとトラブルが発生してドタバタすることに。そんな時、なんと秋の桜子様からバナーをいただきました!
欲しかったんです、バナー。しかもこんなカッコいいのいただいちゃったよ。花を閉じ込めたグリーンアンバーみたい。横に走る反対色のピンクのラインがシャープですよね。
こんな風に反対色が一カ所、パシッと効いていると粋な感じがします。背景が深い寒色系なので、この白枠で縁取ったピンクのラインが目立って「偏在する惨劇」の文字へと目を誘導していますし、赤色を使用しながら「ヒアゼアエブリウェア」の縁取りは水色で少しトーンダウン。喧嘩しないようにしています。ここ、ラインと同じ白縁取りだったら、ガチャガチャとうるさく感じると思うのです。少しのさじ加減ではありますが、すごくセンスがあるなぁと感服いたしました。
バナーという決められた面積の中で、イメージにそった背景を入れつつ、メインである文字を難なく読者に届けるのってかなり高度な技術ではないかと考えるのですが、もうお見事!
しかも、桜子様がふたつ名バナーを贈ったのはわたしひとりじゃありません。108名様! あれ、これは因縁の数字!?
桜子様曰く、『夜陰夜会』のイメージで作成してくださったそうです。これが『雨の日、ドライブ』とか『Sweet sweet pepper』だったら、こうはならなかったでしょうね。おっほっほ。笑って誤魔化す。
ありがとうございました。大切にします!
その桜子様にもIFAを描かせていただきました。
『薄闇ghostblue 秋の桜子様』
青い幽霊ということで青い衣裳。そのまま着物を着せちゃったら面白くないので、シンプルなデザインのドレスっぽくしてありますが、脚が無いところとか、背景に小道具として柳を描くところがジャパニーズスタイル。
お名前が「秋の桜」ということで耳飾りをコスモスのデザインにしたのですが、小さすぎて潰れちゃいました。やっぱりドレスの模様にしとけば良かったかしら?
秋の桜子様、ありがとうございました。
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そうこうしているうちに、カレンダーも11月に。
イラスト交換企画作品の提出期限が迫ってきました。特畜隊のイラストもあと4名残っている(内1名はすでに制作済)のですが、のんびり描いていたら間に合わなくなりそうなので、先に提出用の作品の制作に取りかかりました。
構図の候補はいくつかあったのですが、結局最初に作品を読ませていただいたときにひらめいたものを改良して、描きたいものを詰め込めるだけ詰め込んで。
もう時間が限られてきましたからね。ここからは本腰を入れます。
さて。どんな作品が出来上がることやら。
海堂直也様、能力設定ありがとうございました。このユニークな能力、いつか作品の中で生かしたいと思います。
その前に。やっと「イラスト交換企画」の作品に手を着け始めました。
もう11月半ばだよ。間に合うのかな。
次回は「イラ交②」になるか、11月展に提供したイラストのお話になるか。
お楽しみに。
それでは、また。