37. 加純さん、デジ画をかじる。
アナログ絵描き、ついにデジタル作画に手を出す……。
腱鞘炎の悪化により、お絵描き自粛期間中の加純さんです。
はい。自粛して、なるべく無理はしないようにしています。
――――している……んですよ。
前回お話ししたとおり、昨年末ついにドクターストップがかかりまして、節制せざるを得なくなりました。
年末に少し症状が回復したのですが、大掃除で換気扇の掃除中にうっかり手首をよろしくない方向に捻ってしまいまして。再び悪化してしまったのです。
それはもうフライパンも返せないほど痛くって、おでんの銅鍋を隣のコンロ口へ移動させることが出来ず、娘に救助申請を出したくらいです。もちろん(!?)買い出しの荷物持ちは、息子のお仕事。
そんな彼らの姿を眺める母の脳内に鳴り響くは「サンダー〇ード」のテーマ曲。インターナショナルじゃないけど、レスキューは勇ましや。ありがたや。
そうして、なんとか年末は乗り切ったのでした。
ところがそんな努力をあざ笑うかのごとく、年越し寒波、七草寒波、成人式寒波……と寒さの大波がやって来て、症状は一進一退の繰り返し。
寒さで筋肉が縮むのが悪いのでしょうか。
PCのマウス操作中に、10回クリックしたら指が攣りそうになりました。100文字ほどタイピングしたら、手首から肘にかけて電流のような痛みが走るのです。
暖房器具を付けて、温かい服装でリストバンドを巻いて手袋して、決して根を詰めないように休憩しながら作業しているのに、やっぱり手首は痛くなるし腕は重くなります。左手で右手首を支えながらマウス操作を続けたり。
一時は「もう絵は描けないかも……」と大真面目に悩んでいました。
昨年は年明けから意欲的にイラストの作成をしていたというのに、今年はペンを持つのもしんどい――という状況でしたから、お正月もめでたいという気分になれません。
一月中旬頃まで、なにをする気にもなりませんでした。
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頂き物のご紹介をさせてください。
落ち込んでいた気持ちの中、いただいたイラストにどれだけ勇気づけられたか!
星影さき様より、とっても素敵なクリスタをいただきました。
ツイッターでの「練習のためにキャラを描かせてください」という募集に手を挙げてお願いしたのですが、現在さき様はイラスト猛勉強中で成長著しい方。どんなクリスタが来るかとても楽しみにしていたのです。
ご覧ください、クールでゴージャス、そしてセクシーなドレス姿を描いてくださいました。
とっても素敵なクリスタだったので、このイラストを元にSSを書き、長岡更紗様主催の「肉フェス2」に参加しました。
そのSSにはわたしもイラストを描いておりますが、それは次回に。
さき様、ありがとうございました。
雨音AKIRA様より、書籍化されたら街頭広告ポスターにしたいような、キャッチーなイラストをいただきました。
ね! 素敵でしょ。
画面にあるのはテスとクリスタの手。月(これは惑星レチェルの人工衛星ユエビンなのかな?)を切り取っているのですが、フレームを仲良くふたりの右手と左手で作っているところとか、手の出し方(性格が出ている!)とか、キャッチコピーと重なると、なにかが起こりそうというカンジでワクワクしてきません?
街頭に飾ってあったら、シンプルなデザインだから遠くからでも目を引きますし、印象に残るでしょう。
いいな。これ。バナーにしようかしら? (←でもバナーの作り方知らないヒト)
雨音様、ありがとうございました。
猫の玉三郎様からの頂き物です。こちらも玉さまらしい、とってもキュートでポップな1枚。
テスをスイーツに例えて描いていただきました。
そう言われれば、ふわふわぽわぽわしたところは、テスの性格そのものですよね。いちごを抱える姿がかわゆし! ちなみにクリスタは「オペラ」だそうです。濃厚なチョコレートでコーティングされたクールでキリッとした立ち姿は、確かに彼女を想わせますよね。
玉さま、ありがとうございました。
星影さき様の作品 「第二王女も楽じゃない! シリーズ」
https://ncode.syosetu.com/s2618d/
雨音AKIRA様の作品 「薔薇騎士物語 シリーズ」
https://ncode.syosetu.com/s0501f/
猫の玉三郎様の作品 「びっくりするほどユートピアァッ!」
https://ncode.syosetu.com/n4700ea/
長岡更紗様主催 「肉マッスルフェス2」
https://yomou.syosetu.com/search.php?word=%E8%82%89%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B92¬word
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でもね。
なにもしないと、本当に描けなくなってしまいそうで。
(いけない、いけない。気持ちを切り替えなくっちゃ!)
――というわけで。イラストが描けないのならば、更新がストップしたままの物語の続きを書けばよいではありませんか。
いや。書かねばなりませんよね。
気を取り直して、加純さんは小説の続きを書くことにしたのです。
そしてどうにか書き上がった物語を更新しようと思ったとき、ひとつ問題が持ち上がりました。
挿し絵、欲しいのだけど。
どうしよう……。
ストーリーの展開に変化を付けるために、行間に広くスペースを空けたいと思ったのです。手っ取り早い方法としては、数行段落を空けるという手段を取ればいいでしょう。このエッセイでもやっていることです。
ただ、そのシーンはそれまでの展開が大きく覆させられる場面だったので、もう少しインパクトのある間の取り方をしたかったのです。
で。そこにイラストを入れたいな、と思ったのですが、手はペンを握ってアナログ画を描ける状態では無い。それで困っちゃったのです。(←今になって思えば、それっぽい風景のフリー画像写真を入れるって手段もあったのですよね。なぜに思いつかなかったのだろう……?)
アナログ画を描くためのお道具類
(墨汁、ホワイト、定規、消しゴム、シャーペン、丸ペン、練り消し、デザインナイフ、円月ナイフ、筆ペン、工作用下敷き……あ、ミリペン忘れた)
アナログ画。その時描きたかったのはモノクロ画(←さすがにカラー画とは言わん!)だったのですが、ペン軸にペン先を付けて、墨汁で線を描いていかねばなりません。筆圧は決して強い方ではないのですが、線の強弱を付けたりするのには微妙な筆圧の加減がいりますし、なにより緊張感に強いられます。
ミリペンで描くことも考えたのですが、すでにタイピングで負担を掛けた腕に、これ以上ストレスを強いても思うような作品に仕上がるのものであろうかと、どうにも気が乗らなかったのです。
そこで。
サンタクロースさんからプレゼントされた、秘密兵器を投入することにしました。
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実は、サンタさんからクリスマスプレゼントをいただいたのです。
そのサンタさんは、ツイッターの中にいました。
2020年のクリスマス直前、どよ~んとした気持ちで流れてくるつぶやきをボーッと眺めていたわたしの目に止まったのは、某お絵描きソフトのシリアルナンバーをプレゼントしてくださると云うつぶやき。
しかも、デジタル画お絵かきソフトといえばこれ! といわれる有名な定番ソフトですよ。
限定1名様。早い者勝ち。
なんて気前の良いサンタさんなのだろう。夢ではなかろうか。
我が目を疑う前に、思わずポチッとハートマーク押して、「ください」とリプライしていました。
その気前の良いサンタさん、このなろうでも活動中で、お名前をあっきコタロウ様(https://mypage.syosetu.com/704944/)と申しました。
シリアルナンバーとは、コンピュータのソフトウエア製品の、各パッケージに割り当てられた固有の認識番号です。
例えば、今話題にしている某お絵かきソフトを自分のPCにインストールする(使える状態にする)場合、このシリアルナンバーを入力して「ライセンス登録」をしなければなりません。ライセンスを取得して、そのソフトが使えるようになるのです。(体験版はアカウント登録でOKみたいですが、お試し期間が終了する頃に契約手続きを取らないとソフトが無能になるそうな?)
これまでスマホの無料お絵描きアプリを利用することは多少ありました。でも使い方をマスター仕切れなくて、デジタル画を本格的に描いたことはありません。
昔パソコン教室の講座で多少やり方をかじったのですが、使わないのと老化現象で、完璧に忘れてしまいました。
しかーし!
秒単位で流れていく幾万のつぶやきの中からこの募集に出会えたのは、腱鞘炎に苦しむ加純さんに振ってきた天の啓示かもしれません。
少し目先を変えてみないか? という。
そんな大袈裟な、と笑いますか。
描きたいのに描けないと腐っているよりも、それなりに描く方法を求める方がよほど建設的だし、精神衛生上もよろしい。
ストレス抱えて胃に穴を空けたくはありません。
タイピングであろうと、アナログ作画であろうとデジタル作画であろうと、どのみち手首や腕に負担がかかると云うことはこの際忘れてください。
ともかく、わたしは絵が描きたかったのですから。(←禁断症状……)
一念岩をも通す、とか云いますが。
こういうタイミングとくじ運は妙に良いのです、加純さん。(←宝くじはからっきしだけど!)
早い者勝ちの限定一名様に当選いたしまして、本当にペイントソフトのDEBUT版シリアルナンバーをいただいてしまいました。
ありがとうございますッ!
早速、某お絵描きソフトをダウンロードしました。
公式のダウンロードページから説明文と首っ引きで、その通りに入力して無事成功しました。なにせ機械音痴ですから、操作や入力ミスをしたらどうしようかとドキドキで、デスクトップにちゃんとアイコンが表示されたときには胸をなで下ろしましたとも。
これでデジタル作画、デビューよ!
大抵のデジタル絵師様方がこのペイントソフトを使用しているというお話は漏れ伺っておりましたので、いじってみたかったの。
最初はキャンバスにマウスで線を落書きしていました。手首が痛かったので、そのくらいが精一杯で。それでも十分気晴らしになったのです。
でもマウスじゃ、絵は描けない。噂のペンタブレットが欲しくなりました。
やはりPCでイラストを描くには、ペンタブレットは必要不可欠のようです。コタロウ様にも相談に乗っていただいたのですが、デジタル画を極めるか極めないかは別としても、「板タブ」か「液タブ」を用意しないとそれ以上は進めないと覚りました。
「板タブ」と「液タブ」?
ペンタブレットとは、PCに接続して使用する入力デバイスのひとつです。専用のスタイラスペンをタブレットの上で動かすことで文字や絵を描く道具。マウスでのカーソル操作とは違い、ペンで描き込むので鉛筆やペンで紙に描くのと変わらない感覚が……、といえばおわかりになるでしょうか?
「板タブ」は、タブレット上の入力エリア(描画領域)内に描いたものが、接続したPCの画面に表示されます。多少のキズや汚れにも強く、お手頃価格な製品が揃っています。
ただし「板タブ」での作画には、手元を見ずに描くという技術が求められるので、ある程度の慣れが必要となります。
これに対し、「液タブ」とは液晶画面が搭載されているタイプで、アナログ感覚で手元を見ながら描くことが出来る優れもの。より紙に描くのに近い感覚なのだそうです。
でもね。液晶搭載されているくらいの製品ですもの、デリケートで高価なの。
もう一回、言うね。「液タブ」ってお高価いのよ……。
アナログ画をやめる気も無いし、どこまでデジタル作画に夢中になるか見当もつきません。それにアナログ画は制作の度に画材などの費用がかかりますから、これから始めるデジタル画の初期費用は抑えたい。
張り切って高価なお道具を揃えたのに、肌に合わないから使わないのでは、それこそ「宝の持ち腐れ」ですもの。
そこで丁度お正月セール中だったアマ〇ンで、お安価くなっていた中国製の「板タブ」を購入することにしました。
セール品とはいえ、そこそこの出費です。主婦としては、痛い!
ええ。タブレットといえば……の有名な日本製の製品と迷ったのですが、使用頻度に対する迷いが拭えないこと、それよりも補充用のコピックインクの方が欲しかった(これも結構お高価くつくのよ!)のでこちらに軍配が上がりました。クチコミをチェックしても、遜色無いという意見が多かったので。
主婦だから、「セール」の文字に惹かれただけじゃありませんよう。
心配はアフターケアですが、カスタマーセンターもちゃんと日本語で対応してくれるとあります。(←実際、不明点を確認したくてTELしたら、日本人の方が丁寧に対応してくださいました)
それにタブレットの使い勝手がどうのとかいわれても、これまで使ったこと無いから、そんなものだと思えばそんなものですものね。絵を描く前の段階で堂々巡りを続けていても、作品は出来上がらないでしょ。
そこは割り切るッ!
「板タブ」とスタイラスペン (白い印内が描画領域)
こうして始めたデジタル作画ですが、なにせ勝手が分からない。「PAINT」というワークスペースを開くと、いろいろなツールパレットがドドーンと並ぶのですが、どれがどの機能で、どこにあるのか未だに正確には覚えられないんです。
それでもキャンバスを呼び出し、線を引くことから慣れることにしました。
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ここでようやく話は挿し絵用イラストの作成に戻ります。
筆圧だの手ブレの調整だの見様見真似のなんとな~くで躱しつつ、線画だけはなんとか見られるかな? 位まで底上げしたのですが彩色の仕方が分からない。
バケツ塗りが出来ないのです。
え~。ここからまたデジタル作画の絵師様方には分かりきった説明が続きますので、面倒臭いと思われた方はすっ飛ばしてくださって結構です。
デジタル作画とは縁が無いけど多少興味がある方、これからデジ画をやりたいからちょっと説明聞いてみようかという方、行きますよ。
バケツ塗りとは。
デジタル作画の彩色の仕方にもいろいろありますが、輪郭線で囲まれた部分を簡単に塗り潰す、初心者向けの一番簡単な彩色の仕方です。ソフトのバケツツールを使用することから「バケツ塗り」とも言われます。
出来上がった作品はアニメの画みたくなるといえば分かりやすいかな。境界線や色がくっきりとした塗り方ですね。
で、先ず初歩から実践してみようと、線画で囲った部分にツールで色を落とそうとするのですが、これが入らないのですよ。
お絵描きサイトの初心者向け「デジ画の色塗り講座」を見つつ、その説明どおりに実践しているはずなのですが彩色が出来ないのですよ。
な~ぜ~~??
アナログ画なら紙の上、思うところに絵の具を落としていけば色付くのですけど、デジタル作画だとここにレイヤーの順番、ということが関わってくるのです。
レイヤーというのは、1枚の透明なシートのようなもの。階層という名のとおり、画像を何層も重ねて表示するのがデジタル画の仕組みなのでした。レイヤー合成といいます。
そう、デジタル作画は乗算。以前タロットを作画した回(11話)でもそんな話をしましたが、足し算引き算のアナログ作画思考のわたしは、レイヤーの存在は知っていても、その仕組みが理解できていなかったんですね。
さらに乗算といっても、なんでも上に乗せていけばいいのではないのです。
レイヤー合成は複数枚のレイヤーを、下から順番に合成してキャンバスに表示する仕組みなのだそうな。「バケツ塗り」の場合、線画レイヤー(線画を描いた画面)上で塗りたい色を選択し、その下に制作した着色用レイヤー上でパーツ(線で囲った部分)を塗り潰していかなければならなかったのです。
その辺の理解が甘かったのでしょう。
でもねぇ。分からないときって、もう思考回路がパニクっているから、自分がどこでつまずいているのかさえ分からないのよね。
そこで、加純さんは考えた。
挿し絵用イラストですから、ガッツリ色を付ける必要は無いのです。雰囲気さえ出ればいいのです。
ならば簡単に色を足せる別の手段を講じればいい! だって本題はエタ……げふん、長らく中断していた小説の更新にあるのですから!
彩色のツールはバケツだけじゃありません。水彩筆だってあるし、スプレーだってあります。むしろこちらの方が得意だよ。
「バケツ塗り」は初心者の初歩かもしれませんが、なにもそれだけが正解というわけではないのです。(←たぶん……)
そこで線画の下に新たなレイヤーを作成し、スプレーと水彩筆のツールを使って簡単に彩色してみました。
さらにキャンバスに紙の質感を設定し、アナログ画っぽさを強調。
そうして出来上がったのが、こちらの2枚のイラストでした。
テペラウの廃墟 1
テペラウの廃墟 2
伝奇っぽい物語でしたから、このもや~っとした感も一役買ってくれた……かも?
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その後「バケツ塗り」にリベンジ。だって、初心者の初歩なんですもの。
ここを理解すればテジ画彩色の仕組みが理解しやすくなると検索した講座にもありましたから、次のステップのためにも1センチでも理解を深めておきたいところ。
なろう界の良質ミステリをスコップなさっている菱川あいず様の『アンチノックス探偵の禁断推理――探偵小説のルール「ノックスの十戒」を1~10まですべて破ってみた』の名探偵をデフォルメ化して描いてみました。
https://ncode.syosetu.com/n8011gt/
バケツ塗りですが、少しだけスプレーで影を付けてあります。
どう見ても『名探偵あいず君』と言った感じが否めないのは……。
さらに頑張って天界音楽様主催のツイッター限定企画『12ヶ月の小品集』にもチャレンジ。
2月のお題は『梅』、紅梅を口紅に見立てて。
『紅梅の口紅』
アナログ画だとあれやこれや描き込んでしまいますが、バケツ塗りの平坦な塗りを生かしてデザイン性を重視したような絵柄にしてみました。――って言うか、まだ手の込んだことは出来ないから表現力とデザイン性で勝負したの。いつもと雰囲気が変わって面白いかと。
初梅が匂うようにそこはかとない色香を漂わせたかったのですが、いかがなものでしょう?
二足のわらじなので一足飛びに上達するのは到底ムリ。墓場に入るまでに、もう少し上達できれば儲けもの――くらいの感覚でぼちぼち頑張りますわ。
目指せ、ク〇スタでクリスタ作画!
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で。
アナログ画はどうした? って。
はい。描いていましたよ。
次回は同時期に描いていたアナログ画を並べてみたいと思います。
デジ絵、始めました!
でもアナログ画から完全移行するわけじゃありませんから。
面白いから、どっちもやるの。今年も貪欲に、いろいろチャレンジしてみようかと思います。
スタートは出遅れましたが、これからもどうぞよろしくお願いします。
次回はアナログ絵描きの作品を。そう、デジタルに四苦八苦しながらアナログお絵描きだってしていたのです。しかもカラー画! コピックだって健在なんだぜ。
――と、いうことで。お楽しみに!