30. 加純さん、暑さに完敗す。
いきなり体調不良のお話で、申し訳ございません。
子供の頃から自律神経が不安定なので、梅雨時から夏にかけて体調不良が続くのは例年のこと。それなりに覚悟はしていたのですが、今年は酷い!
まさかこれほど不調が続くとは予想外でした。
頭痛とめまいのダブル攻撃。
加えてこの暑さ! 幼稚園児の頃(遠い昔だわぁ)に同じゆり組さんの男の子に「雪女」というあだ名を賜ったのですが、その呪縛が利いているのか否か未だに夏は辛いです。
体温より外気の方が熱いのですから、仕方ありませんよね。と、雪山ならぬクーラーの効いた涼しい部屋から出られない、わたし。
室内温度も(クーラー無しだと)午前中に34度を越え「ここはオーブンの中なのか!?」と思いたくなるのですが、もうこうなると扇風機を回したとて熱風にしかなりませんから、かえって体調を悪化させるようなもの。
熱中症の治療費と電気代を両天秤に掛けて、さっさとクーラーのスイッチをONにすることになるのです。
だって主婦が倒れると、入院・治療費以外にプラスアルファの出費がいろいろあるので、おちおち寝てもいられないではないですか。
「水分補給だけは忘れずにしなさい」と家族にも言われているのですが、創作に夢中になると、あっさりと忘れるんだなぁ……これが。
手が届くところに用意しておいても、手を延ばすことを失念するのだから仕方ない。(←トホホ……ですね)
特に、絵を描いているときはきれいさっぱり忘れています。自慢じゃありませんが。
「路地裏」
実は。わたしの作業机のある場所は、クーラーがありません。窓を開けても、8月は風向きが変わるのか、そよとも風が室内へは入ってこないのです。
一応卓上扇風機は設置してあるのですが、小型なので威力は期待できません。もちろん扇風機さんは頑張ってお仕事をしてくれるのですが、室内温度が高温すぎてちっとも涼しく感じられないのです。
それでも7月末まではもう一台冷風扇を運んできて、なんとかしのいでいたのですが、8月に入ったら白旗を揚げざるを得ない状況になりました。
ノートPCの専用クーラーというものも活用しておりますが、PCさん本体は高温になるのを防げても、わたしは汗だらだら。
そのうち頭の中がボーッとしてきます。さらに頭痛。吐き気までは行かずともムカムカと気持ち悪くなる。
やがて自分が何をしているのかさえわからなくなってきますから、さすがに中断して涼しい部屋で横になるとか、ノートPCごと涼しい部屋に避難することになるのですね。
ただし! 涼しい部屋には家族もいるので、集中出来ないのが最大の難点! 絶えず刺激的な音を垂れ流すTVは、いつしか頭痛の素でしか無くなってしまいました。
それでもPCの方はまだ移動が簡単なのでなんとかなるのですが、問題はお絵描きですよ。アナログ派のわたしは、お道具一式と共にお部屋移動ともなれば、かなりの手間が掛るのです。
いつもの作業机でしたら、手の届くところに全て揃っていますから、目を瞑っていてもどこに何があるのか把握しているのですが、移動するとその配置が変わるのでなんとなく描き難い。
そして、ここでも家族の目が!!
イラストを描いていることはカミングアウトしているので、わたしさえ気にしなければいいのですが、描いている途中で手元を覗かれるのがすっごく嫌なのです。
かといって、完成品を観られるのも小っ恥ずかしいので見せたことはありませんが。
しかも、なぜが、タイミングを計ったように「今、集中力を削がれたくはないんだよ!」と言うときに限って、彼らは話しかけてくる。用事を言いつけてくる。
(ど~してぇ~)
集中力が途切れるのも困りますが、彩色の最中だと、インクが乾いてしまうのはもっと困る。
わたしはコピックで彩色していますが、先に塗ったインクの色が渇かないうちに、次の色を重ねてグラデーションを作るという手法があります。
水彩絵の具でもこの手法はよく使われますが、乾いた絵の具やインクの上に色を重ねるのと、乾ききらない絵の具やインクの上に色を重ねていくのでは、色の混合具合や出来上がりの印象が違います。
どちらのリンゴも2色で塗ってあります。わかりやすく影の部分をE15にしてありますが、違いがわかりますでしょうか?
乾いたインクの上に色を重ねると左のくっきり陰影に、乾ききらないうちに色を重ねると右のぼかし陰影になります。ぼかしの出にくいケント紙でもこの位の差がつきますから、インクの吸い込みの良い高級紙を使った場合はグラデーションにもっと差が出てくるのです。
(注:もっとキレイにグラデしたい場合は、バリオスインクも使いましょう)
つまり。この違いを表現したいのに、その作業の真っ最中に「なぜにあなたはここで邪魔をするのか~(泣)」と云うことになるのです。
何度も言いますが、アナログは一発勝負!
下手すれば、まるっと全部描き直しですよ。ね、泣けるでしょう。
ならばモノクロ画で。――とも考えるのですが、アナログのペンで引く線も度胸と勢いで善し悪しが変わってくるので、これこそ邪魔されたくない。
たかが線、されど線。
こだわるところにはこだわるのが、絵描きの矜持というものではないでしょうか?
クーラーの効いたリビングは涼しいのですが、日常が溢れているので、どうしても集中力が散るようです。かといって、いつもの作業机のある場所は暑くて体力が持たない。
ああ、このジレンマ!!
そんなこんなでモチベーションは坂を転がるように下降して行き、ペンを持つのも辛くなりまして。
でもね。せっかく(リノベ品ですが)トーンとかペン先とか購入したので、描きたい気持ちはあるのです。
ゆえに。
早く季節が変わり、作業机で落ち着いて制作が出来る日が訪れるのを、指折り数えて待つ加純さんでした。
* * * *
いつもは頂き物と贈り物を別々にご紹介するのですが、今回はちょっと掲載方法を変えてみますね。
というのも、『テスとクリスタ』関係のイラストが多いので、ストーリーの大雑把な解説を付けながら進みたいと思います。
「テス 彼の帽子と眼鏡を借りてみました♡」
いよいよ本編も大詰めに入って、新しい恋と天敵の妨害に七転八倒しているテスですが、能力も無事(!?)復活し、ますます騒がしくなっています。
さば・ノーブ様より、白いトップスが爽やかな印象のテス。
いつもありがとうございます。
そのテスの心を騒がしているのが、彼。鷹栖マオ。
「隅の老人」にゆかりのあるかもしれない少年なのですが、素性は謎。なぜかテスを助けて、彼女の逃亡を助けてくれます。文武両道で沈着冷静、テスが女の子と間違えたほどの美貌の持ち主なのですが、果たして彼は敵か味方か?
心に拡がるのは不安ばかり。
そんな彼女の前に立ち塞がるのは、太陽系地球連邦政府法務省公安調査庁連邦安全調査局第2課所属能力者対策委員会能力者調査及び取り締まり委員、公安調査庁連邦安全調査局第2課第2班班長ニコライ・ベレゾフスキー! (舌を噛みそうな名乗りはお約束♡)
このイラスト、テス曰く。「ねえ、このふたりの間で主役張らなきゃならないのってかなり大変なことなのよ。わかる?」だそうです。
確かにねぇ。(←こらこら)
右が黒のクイーン、マオ。左が白のクイーン、テスの天敵でもあるベレゾフスキー。
ふたりのチェスゲームに付き合わされた(!?)テスは散々な目に遭うことに。
あ、マオもベレゾフスキーも男性です。鏡の国のチェスの駒に例えて、ふたりは「クイーン」役。ポーンからふたりに挟まれる「キング」役がテスといったところでしょうか。
男女逆転していますが。
どちらがチェックメイトをかけたのかは、本編のお楽しみ。
「べーさん、吃驚!」
もちろん、このふたりも活躍しています!
「アダムとディー 今日のコスは道化師やねん!」
果たしてテスはクリスタとの待ち合わせの時間に間に合うのでしょうか?
深森様よりいただいたクリスタ。「夜の女王」バージョン。
千夜一夜物語風の、妖艶な魅力を漂わせた1枚です。
さらに線画もいただきました。
ありがとうございます。
はやくテスとクリスタに、こんなくつろいだ時間が戻ってくるとよいのですが……。
こちらはさば・ノーブ様より。
気持ちよさそうな、花をいっぱい浮かべたお風呂。バリ島のエステコースにあるんですって。わたしも入りたいな、こんなお風呂。
で、水着姿。
こちらはexa様よりです。こちらも可愛らしい水着姿。
ロクム・シティは秋なので、わたしは水着姿って過去に1枚しか描いていないなぁ~。しみじみ。
かわいい水着姿をありがとうございました。
そしてマオとの関係は? 彼と「隅の老人」とのつながりは?
エンドマークに向けて、ラストスパートに入った物語。どうかお見逃しなく。
さば様、深森様、exa様の、楽しい作品はこちら!
さば・ノーブ様 「機動女神エターナル・レッド ケモ耳ニャン子は俺の女神様?」
https://ncode.syosetu.com/n1883gf/
深森様 「花の影を慕いて/脚本形式」
https://ncode.syosetu.com/n1883gf/
exa様 「庶民で不惑の独身女、なぜか王弟殿下のお茶会に招かれました」
https://ncode.syosetu.com/n0465gj/
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ここからは贈呈したFAのご紹介。
長岡更紗様、『オタ女の恋は前途多難~だって好きになったのはダメ男なんです~』より、ルリカとテッペイ。
https://ncode.syosetu.com/n1568gf/
真面目なオタ女のルリカが恋をした相手は、顔と身体だけはよい(失礼!)ダメ男のテッペイ。ふたりの活きの良い掛け合いが楽しいラブストーリー。
次から次へと起こるトラブルに、ルリカ、メゲるな頑張れ! と応援したくなってしまうのです。
「ああ、なんでこんな男を好きになっちゃったんだろう……」とルリカが、テッペイ人形をツンツンしながら、溜め息。
ダメ男くんですが、どこか憎めないんです。テッペイって。
「好き」になっちゃうと……ね。もう溜め息しか出ませんわ。
この反対バージョン(テッペイがルリカ人形をツンツンしているところ)のリクエストをいただいたのですが、どう想像してもR18指定になりそうなので止めておきました。
その後のふたりは、どうぞ本編で。
宮里蒔灯様、『私の狼くん』より、大神 朗くん。
https://ncode.syosetu.com/n3448gi/
3歳年上の彼女を想う、健気で真面目でちょっと不器用な朗くん。
いつまでたっても縮まらない年の差に、不満が隠せない高校生なのです。でもこんな可愛い彼氏だったら、涼子さんでなくてもベタ惚れしちゃうでしょう。
幼い頃の美少年の面影と、高校生らしい爽やかさと精悍さが描けているでしょうか。
ちはやれいめい様の『とべない天狗とひなの旅』より、式神のオーサキちゃんとタビ(擬人化)。
https://ncode.syosetu.com/n8043ff/
そして、ヘ〇タイの噂高い、ナギの兄弟子、政信。
三国峠ノ妖ノ章から仲間に加わったタビと政信。
オーサキちゃんが弟分にしたタビですが、彼女のことだからきっとタビのことをかわいがるんだろうな。タビもお姉ちゃんベッタリになりそうだなぁ、と思いつつ描いたのが1枚目。
兄弟子はフエノさんに横恋慕(邪恋?)しているので、すっかり嫌われ者になっちゃいましたが、妙に人間臭い人物だと思います。友人としてお付き合いするのは遠慮申し上げたいですが、悪人ではないのが面白いところ。彼には彼の事情があるんです。
けれども、あえてFAを描こうなんて絵描きさんは現われそうにない位不人気なので、わたしが描きました!
九藤 朋様『私の妻と、沖田君』より。
https://ncode.syosetu.com/n9297eq/
千々に乱れる波と黒い羽根。
この物語の魅力は、あの新選組の隊士たちが縁側でお茶を飲むほのぼのとした雰囲気なのですが、それと同時に沖田総司という存在の危うさ、不安定さ、彼が主人公夫妻の前に現われた謎もあると思います。
本当は縁側で茶飲み話に花を咲かせる沖田君と奥様を描きたかったのですが、おそらくそれはプロの絵師さんが描くであろうと予想して漂う沖田君バージョンで。
波を描くのに苦労しました。
前回カラーイラストを描かせていただいた、弐逸 玖様の『害獣駆除はお任せを! -モンスター退治屋さん繁盛記-』ですが、今回も2枚ほど。
前回ターニャの後ろでモンスターに怯えていたロミ君。格好いいところも描いてあげたいなと思いまして。
https://ncode.syosetu.com/n0478dn/
どうです、逞しくなったでしょう。お仕事の歳は、蝶ネクタイにベストを着て乗馬ズボンのようなものを履いているというお話は伺ったのですが、後は特別な指定が無かったものですから、勝手に衣裳デザインをしてしまいました。
袖を上げるアームベルトだとか、退治道具一式を携帯する腰に巻いたベルトだとか。きっと安全のために手袋もしているのではないかと思うのですが、フルで装備してしまうとゴツくなり過ぎて、彼の「お坊ちゃん」風の優しさだとか甘い(スイートの方!)魅力が半減してしまいそうなので、今回はカットでお願いします。
この方はヴァーン商会の姉御こと、リアンさん。
お遊びのつもりで簡単に描いて「こんな感じですか~?」とツイッターのDMに贈らせていただいたのですが、弐逸様に大変喜んでいただけて。そのまま採用になりました。
ありがとうございます!
菁 犬兎様『イケメン魔王とハンサム令嬢の場合』より、アルカダ王。さりげなく鏡の中にシャルラーニも。
https://ncode.syosetu.com/n9502gg/
美意識と自意識の高いアルカダ王は、ガッツリイケメンにしておきました。そうしたら、つい、茶々を入れるシャルラーニも描きたくなりまして。
普通に描いたら面白くないので、あっかんべーしている口元だけ。でも彼とわかるように。アルカダ王がポーズを決めているだけに、シャルラーニの人を食った性格が出たように思います。
相内充希様『いつか、かぐや姫のお母さんだった話をしましょうか』より、瑛太君。
https://ncode.syosetu.com/n4627gj/
突然ですが。
ここまで贈ったファンアートを並べてみると一目瞭然なのですが、加純さんは、なぜが脇役を描きたがる性分のようです。今回は9枚もFAを並べましたが、このうち主役なのは長岡様のところのルリカだけですよ。沖田君も朗くんも、タイトルに名前が入っていますが厳密には主人公ではなく、主人公の視点から見た「彼」の姿が語られる……ですものね。
と来れば察しがつくと思われますが、瑛太君もこの物語の中では主役ではありません。主人公忍さんの娘いぶきちゃんの彼氏なのです。
でもね。読んでいてなぜかこのシーンが引っかかったのですよ。もっと感動的なシーンも、印象的なシーンもたくさんあったのに、描きたいと思ったのはこの「焦る瑛太君」。
後からお伺いしたところ、作者の相内様はこの物語を誰の視点で描くか悩んでおられたようです。今回は『ワケアリ不惑女の新恋』企画のために書き下ろしたので、お母さんの忍さん視点で展開したのですが、いぶき・瑛太視点のプランもお考えだったようでした。
視点が変わることによって全く違ったお話になりそうですから、密かに期待して待っていますね。
まだまだ秋の訪れは遠いようですが、少しずつでも回復してイラストを描きたいなぁ……と思います。
「夏の宵」 (←季が違うので、本編未収録)
それでは、また次回。
ご来訪、ありがとうございます。
2ヶ月も更新をしていなかったら、あれやこれやでイラストが溜まっておりました。
一挙放出! FAテロ被害者の皆様、温かく受け取ってくださり誠にありがとうございました。
さて、次回は――2ヶ月も間を開けないようにしたいと思います。(←希望!)