21. 加純さん、イラストを交換する。(カラーver.編)
2回に渡って、イラスト交換企画のお話。
さて。
前々回で宣言しましたが、加純さんは長岡更紗様主催『イラスト交換企画』に参加しました。
今回と次回はそちらでいただいた作品と提出した作品のお話です。
企画の内容はすでに説明済みですから、今回は省略しますね。(19.加純さん、チャレンジ精神に火を点けようと思う。参照)
9月中旬、厳選なる抽選の結果(絵師がダブらないようにと、主催様は本当に厳選に厳選を重ねられたらしい)交換のお相手が決定しました。
参加絵師34名、その中から加純さんのお相手に選ばれたのは、
カラー部門。依頼主(作者) 星影様。
製作者(絵師) 長岡更紗様。
白黒部門。 依頼主(作者) 雨音AKIRA様。
製作者(絵師) 銘尾友朗様。
さあ。締め切り11月18日に向かって、企画は走り始めました。
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それでは、まずカラー部門からお話を進めていきましょう。
わたしがイラストを依頼したのは、長岡更紗様。この企画の主催様でした。
実は、この企画に参加することにしたとき、なんとなく予感があったのです。長岡様と当たりそうだなぁ……と。
で。例の筋肉の画(19.参照)を描いて、予行練習などしてみたりしていたのですが、蓋を開けたら長岡様にイラストを描いていただくことになりました。わーい!
厳選なる抽選の結果、ですからね。
実はカラー部門の絵師様には、『テスとクリスタ』から誰かを……と考えていました。女の子キャラですね。
しかし事前に提供された長岡様のプロフィールを拝見したら、男性キャラをお願いした方がいいかなぁと……。
しかも企画の主催様で、運営でお忙しいでしょうから、負担はなるべく少ない方がベターですよね。
お得意分野だったら、少しは(企画運営業務の)働き方改革に貢献できるかしら?
そこでお願いしたのは、『混沌の淵に潜む竜は永久を嗤う』のリューゼ・リ・アビナ。
「不機嫌な公子様」です。
成人男性キャラだから、条件には当てはまりますよね!?
この時ほど、たとえ中断が長期に渡ってしまっている(←おいっ!)とはいえ、この物語を書いておいてよかった! と思ったことはありません。
ついでに、上半身ヌードOKだと明記しておきましょう。きっと素敵な筋肉を描いてくださるはず♡
わたしは、筋肉不得手ですからね。お勉強させていただかねば!
いただいたイラストが、こちら!!
きゃああああ!
なんて、たくましい。力強い。無敵の騎士様です。
わたしにはこんな風には描けません。
うれしいな~~と、大喜びしていたら…………。
長岡様から、「思うところが有り描き直したい」とのお話がありまして。
いえもう、描き直すもなにも。素敵なイラストいただいたのに、また描いていただけるとは!!
それより、お忙しいのにかえってお手間を取らせてしまったのでは……と、申し訳ない気持ちも半分。
でもでも、やっぱりうれしいので、感謝しつつありがたくいただきました!
ご覧ください。
リューゼと、セオリエまで描いてくださいました。
長岡様の力強い線が描く青年たちは、騎士という設定を踏まえ、たくましくも優美で凜々しいのです。
趣向を凝らしてくださった衣装も美しくて、「公子」としてのリューゼの気高さや威厳が感じられます。セオリエの怜悧さも、寒色系のチュニックで引き立ててくださいました。
ふたりの背後に拡がる暗く重々しい空が、旅の困難さを物語っているような。石垣の向こうから、闇の妖術師たちの使役獣が現れ、襲いかかってくるかもしれません。
ふたりは何を話しているのでしょう? 会話が聞こえてきそうなワンシーンです。
さらに。さらに。
こんなファンサービスカットまで!!
わ~~~~!!
温泉入っている~~~!
温泉、羨ましい。わたしも温泉行きたい! な気持ちが高まって。
後日、この絵に触発されてパロディ風のショートストーリーを書いてしましました。
(温泉に浸かりながら、思い出話をするという小話です。「湯煙りのふたり」)
どこかに置き場を作ったら、眩しいふたりのイラストと共にそこに収録したいと思います。
「温泉のふたり」
長岡更紗様、たくさんのイラストを本当にありがとうございました。
長岡更紗様の作品 『君が大地に立てるなら~白血病患者の為に、ドナーの思いをの思いを~」
https://ncode.syosetu.com/n9423fr/
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そして。
カラー部門のイラスト、私が描かせていただいたのは……。
星影様の『私に世界は救えません!』のヒロイン、リディア・ハーシェルです。
https://ncode.syosetu.com/n3363dn/
少女漫画テイストのわたしの絵柄をご存じの作者様より、「是非に」と一択で任せられたのですが、設定を読んで悩みました。設定依頼には「性格は素直でおっとりした感じ」とありますが、彼女の背負ったものや内面の葛藤を思えばかなり複雑なキャラクターだと……。
この地点では、星影様のお名前は存じ上げてはいましたが、大変失礼ながら作品は未読でした。だから依頼内容の説明書きと星影様ご自身が描かれたイラストを拝見しただけでは、上手くリディアのイメージを固めることが出来なかったのです。
ただ「素直でおっとり」として「背負っているものが大きい」と云う地点で、ある懸念だけは湧いていましたけど。
早速物語を読み始め中盤に入った頃、最初のラフ画を描いてみました。と云っても、リディアの大まかなイメージを固めるために、表情をいくつか描いてみたのです。
懸念……当たりました。描いた顔がウチの子テスそっくり。
(ヤバくない?)
多少、雰囲気が似ていますからね。しかし困った。テスじゃ、リディアにはなれないのです。そこでもう少し物語を読み進めることにしました。
元々星影様のお描きになったリディアは、透明感溢れる柔らかな表情をしています。その中に好奇心を忍ばせているような。
でもわたしの想像の中で、リディアは笑ってくれないの。ようやく微笑むようになっても、どこか悲しげ。18歳の女の子って言ったら、箸が転んでもおかしい年頃だよ。
彼女は世界を救うために、生まれながら過酷な運命を背負わされてきたのですから、当然と云えば当然なのかもしれませんが。(これ以上はネタバレになるので自粛。詳しくは読んで!)
「リディア」
――でもねぇ。それ、超不満、です!!
そこで、加純さんは彼女を笑わせたいと思いました。
声を上げて、愉しそうに。18歳の女の子らしくかわいらしく装って、元気いっぱいに、うれしそうに!
では、どうしたら笑ってくれるのでしょう?
ここは好きな彼氏を引っ張って来るしかあるまい。大好きで頼りになる彼の隣なら、安心して最高の笑顔を見せてくれるに違いない!
(ええ。あの物語は棚の上の上に仕舞い込みましたともッ。ほっといてください)
物語はこの先糖度が加速するということ(ホラホラ♡)ですから、甘々仕立て(当社比)でも怒られないだろう(←???)
少女漫画テイストでいいって、作者様が言っていたし。
加純さん、速攻リディアの想い人ファルシードの作画も始めます。
ラフ画 ファルシード
ほほほ……、なんということでしょう。
ファルのお顔が出来たら、リディアもすんなり固まりました。同時に構図も決定し、ラフ画を「恐れながら……」と星影様にお見せして許可を頂くことが出来たのです。
ラフ画 プラン1(結局これがそのまま決定稿に)
そこからは着々と筆が進みまして、こんな感じで出来上がりました。
すみません。いつものごとく、制作途中経過を記録するということをすっかり忘れていましたので、ビフォーアフターのような並べ方ですが。
「リディアとファルシード」
作品発表当時、どんな画材で彩色しているのか話題になったのですが、主な使用画材はコピックです。
カラーインクではないかというご意見もありましたよね。お騒がせいたしました。ホントに、コピックなんです。
ドレスの柄や細かい箇所など一部に色鉛筆を使用していますが、殆どの部分はコピックで彩色しています。
主線はコピックライナーのセピア色。
リディアはペリドット色の瞳を強調させるために、中間色を多用しました。
淡いピンク色のドレスを着せようかとも考えていたのですが、彼女のイメージは「赤」じゃない。
それでもピンクは捨てがたかったのですが、花冠を描いた地点でドレスも花柄にしようと思い、ならば――とグリーン(ペリドット)色と相性のよいクリーム色系で。
クリーム色もカスタードクリームのような色だと画面が重くなって(ファルシードの青が横に並ぶので)しまうから、白に近いごくごく薄い生成りみたいな色がいいかも。小花柄のピンク色がかわいらしさを引き出してくれるように。
アクセントに、首に巻いたチョーカー代わりのリボンの水色。チョーカーを描くつもりだったのですが、宝石よりもリボンの方がリディアらしいかなぁ、と。
ファルシードは青。星影様も青色のイメージなのか、青いジャケットを着せていましたね。海の男だし、クールなところもあるから、青色が似合うのですよ。
ただし、ジャケットのデザインを少し変えさせていただきました。星影様のデザインは長袖なんですが、この絵もその通りにしていまうと青色の比重が増え過ぎちゃって。
リディアが中間色なので、パキッとした青色(濃色)があれ以上画面を占めてしまうと、絵の主役がどちらなのかわからなくなりそう。バランスが悪くなると思ったのです。
申し訳ないけど、ファルシードには少し引いてもらいました。その代わり裏地のオレンジはお洒落でしょ。裏地に派手な色を持ってくるのは、男性の着物ファッションみたいでちょっと粋かなぁ、とか? 調子に乗って、襟にも模様を入れてしまいました。
結果的には、シャツの白色が彼の高潔さを現してくれたような気も……する。せっかく練習した筋肉質の腕も描いておこう。なーんて。
そうそう。構図を斜めにしたのは、流れる空気感を出したかったから。それと、空間を取ることで圧迫感の回避。
なんとなく絵に動きが出るかな~と。(←かなり適当)
背景はリディアの高揚した気分を現わすような、オレンジを少し落としたようなピンク色。う~ん、背景にこの色を持ってきたかったから、ドレスのデザインを変更したのかもしれないな。
走ってきたリディアが、ファルの腕を掴んで「いっしょに来て!」。
誘われた方も「なんだよ」とか言いながら、イソイソ……。
少女漫画的展開の妄想が――――!
甘々仕立てだから、バックにお花を飛ばせるのはお約束です!!
どうでしょう。リディアが幸せそうに観えますでしょうか?
大変うれしいことに、星影様がこのイラストを大変気に入ってくださって、物語に逆輸入してくださるとか! どんな風に生かしてくださるのか、楽しみに待っています。
ふたりの幸せ、いいえフライハイト団のみんなの幸せを願って!!
物語はまだまだ続いているので、完結までお供させていただきたいと思います。
星影様、ありがとうございました。
「テス-19」 コピック、色鉛筆使用。
次回は、白黒部門です。