11. 加純さん、タロットを作画する。(下書き編)
ちはやれいめい様主催「みてみんタロット企画」に参加しました。
前回お知らせした、ちはやれいめい様主催「みてみんタロット企画」。
なろう絵師22名による豪華大アルカナのイラストの饗宴。勢いで参加表明をした加純さんも、「正義」のカードを担当することになりました。
今回は、最初に完成作品をお見せいたしましょう。
こちら、「XIII 正義 Justice」です。
大アルカナ8番目のカード、「正義」は公正、公平・均衡・両立のカード。剣と天秤を持った人物が描かれています。
私がこのカードのために引っ張り出してきたのは、『テスとクリスタ』のクリスタ。
ピッタリの配役でしょ!
このために、「正義」希望したのですから!
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さて、話は企画参加の前まで戻ります。
企画のお話を見つけて(若松ユウ様のかっぽうでした)勢いで手を上げたまではよいのですが、わたし、自慢じゃありませんが、占いに関心の無い人。いえ、無いと言いますか、見ても3分後にはご神託の内容を忘れている人なのです。
まったく興味が無い訳ではないのですよ。ただ、その興味の対象が「運勢や物事の吉凶、将来の判断」と云うより「統計学」の方に天秤が傾いてしまっている様子。
タロットも、学生時代に友人に教えてもらったのですが、当然占い結果うんぬんよりも、やり方とか、カードの図柄とか、起源や歴史、発展の様子とかの方に興味が反れたまま、本来の「占い」はどこかに置き忘れて来てしまいました。
さあ。そんな人間が大アルカナの絵を描こうっていうのですから、これはムチャ振りってものでしょう。
いえいえ、そんなことより。参加する限りは、きちんと描かねばなりません。さいわいにもどのカードを描きたいのか希望を出せば、出来る限り希望を通してくださるとか。
そちらの方が、加純さんにとって重要事項なのです。
さてさて。わたしの場合は「どのカードを描きたいのか」ではなく、「どのカードなら描けるのか」が最初の関門でした。
この企画の趣旨は「ウチの子でタロットカードを作ろう!」。つまり、絵師様方の自前キャラを、大アルカナ22枚のカードが持つ意味や内容に当てはめて描いていく、ってことですよね。
――とはいえ、ウチの子であれば、誰でもいいって訳でもないでしょう。
ある意味、22名の「なろう」絵師の対抗戦ですよ。
単騎乱闘戦。
絵師様方の、腕の見せ所じゃありませんか! 絶対、趣向を凝らしてくるはず。
しかも、ご自慢のかわいい我が子で!
ウチの子オールスターズ、だよ!!
綺羅星のような「ウチの子」を、たくさん持ち駒としてお持ちの絵師様はよろしいのです。けれども、わたしの場合――。
さあ、困りました。一応、自キャラは何人もいますよ。『テスとクリスタ』だけでも、13章までで名前と役職のある(モブじゃない)キャラは20名以上登場しています。性別も年齢も選り取り見取り……。
でも! だからといって。
いきなり知名度の低い脇キャラを担ぎ出すわけにはいかないではありませんか。
ウチの子オールスターズです。主役級クラスの、名前と性格と顔が、皆様に認知された子でなくては、お話になりません。そう絞って来ると、わたしの持ち駒は、テスかクリスタに絞られてしまいます。(「混沌の淵……」は発表前)
ですから、逆算すると「テス」か「クリスタ」で描けるカードを引き当てねば、描くに描けない状態に追い込まれる――ということになりかねません。
いきなり、ピンチです!
主催のちはや様が、ブログにてカードの意味など掲載してくださっていたので、それを何度も読み返し、かつウィ〇ペディアで検索。その他諸々インターネットの便利さに感謝を捧げつつあれこれ見積り、ウチのヒロインたちで何とかなりそうなカードを2枚ピックアップ。すぐさま希望を提出します。
天は加純さんの運に味方し、無事「正義」を引き当てたのでした。
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第一の関門を潜り抜けた加純さんは、「正義」のカードについて、もう少し調べてみることにしました。
既存のカードに描かれているのは、スタンダードなデザインの場合、天秤と剣を持った女性です。元より「正義」を引き当てた場合はクリスタを描くと決めていましたから、彼女に天秤と剣を持たせればよいのです。
問題は、構図。どうやってこのふたつのアイテムを彼女に持たせるのか――が、センスのふるいどころ。頭の中で何パターンかポーズを模索しながら、アナログ派の加純さんはコンビニでテンプレートをプリントアウトしてきました。
22枚の大アルカナのイラストは、この枠組みの中に収めて描くというお約束なのです。
簡単に枠組みの中に描く――と申しましたが、これがなかなか大変なのですよ。
規制が増える訳ですからね。それにテンプレを使うということは、22枚のイラストに統一感を与えると同時に、このデザインを生かせと課題を出されたようなものだと思いませんか?
それは「どんと来ーい!」なのですが、わたしの場合、後に、このテンプレの大枠のラインや残したいラインは、うっかり色で塗りつぶさない努力が必要ということが判明しました。
だって、コピックの濃色を塗り重ねたらラインが消えちゃったの! ――って、それはさておき。
デジタル画の絵師様なれば、PC画面で作画した絵をコピーしたテンプレートの内に収めてしまえばよいのですが、アナロク画の絵師たちはそうもいきません。
この辺の事情は、作画とご縁の無い方々にはわかりづらいかと思います。
デジ画は乗算(全て上乗せ)で絵を完成させていきます。アニメのセル画の要領ですね。ですから最後にテンプレを重ねれば、下に置いたイラストの色やラインが、上乗せしたテンプレのラインを消し去るなんて悪戯はしません。
これに対し、アナ画は足し算と引き算と言った具合でしょうか。
複雑なテンプレの装飾ライン(花や葉、蝶)を生かし(残し)てイラストを仕上げるといたしましょう。すれば、まず下絵の構図に装飾ラインを加えた完成予想図をイメージし、実際の作画や彩色の際には消し去らない(生かし残す)ようデザインや色(実物は金色に近い)を引き算しながら、ペン入れや色選びをしていきます。どのラインを生かすか、意図的に消してしまうかによっても変わってきます。(たぶんアナログ絵師は、この辺の計算は無意識でやっていると思う)
いえいえ。アナログ画でも、別紙に描いたイラストをPCに取り込み、テンプレの枠内に組み込んでしまえばよいのです。そうすればサイズ調整や後からの色調整も自在ですものね。
言葉では簡単ですが、そこまでの技術をすべての絵師様がお持ちならば苦労はありません。が、なかなかそうも……。
――それに。アナログ絵師は、紙に描きたいのですよ。
そんな(!?)アナログ派の絵師のために、ちはや様はネットプリントでテンプレート用紙を取り出せるようにしてくださいました。便利な時代になったものです。
プリントして取り出した用紙に描けばいいのですものね。
で、そのテンプレを見て思った!
あらま。小さい……。
はがき大だってことは、知っていました。そう書いてありましたもん。ちはや様の説明に。わかっていたのですが、実際にプリントアウトされたテンプレを見てみると、思っていた以上に有効スペースが小さかったのです。
はがきと云うのは縦約15センチ。横10センチ。テンプレを見ていただければお分かりのとおり、枠の周りに余白があるうえに、上下にカードのナンバーとカード名を書くスペースが取られていますから、実際には縦約11センチ横8.5センチが絵柄のためのスペースとなります。
……老眼にはキツイよ!
デジタルが扱えない自分を、おもいっきり呪いましたね。先にも言ったとおり、デジ画なら、サイズ調整は簡単です。大きく描いて、縮小すればいいのです。
直にこの用紙に描きこむつもりのわたしは……。
けれど、泣き言を言っていてもはじまりません。
「なんとかする!」のが、主婦なのです。(←絵師じゃないのか!?)
そこまで考えていた構図プランを、すべて白紙にしました。このスペースでは描き切れないことが明白だからです。未練を残しちゃ、いけません。
それから、この地点で全身像を描くこともあきらめました。視力の関係で、バストショットもしくは上半身までが限界(個人の意見です)でしょう。
デジタルの使い方をマスターすればいい、って? 今から? それじゃ、締め切りに間に合いませんってばぁ~(泣)。
そしてなんとなくまとまってきたのが、前回のラストでお見せした下書き。それをもとに、テンプレに鉛筆で下書きを描き始めました。
これです。
見づらくて申し訳ありませんが、ボツにした下書きなので、こんなものだと思ってください。
クリスタが天秤の上にいるテスに審判を迫っている……みたいな構図です。
ところが、どうしても右手の位置が決まらない。剣を持たせる予定だったのですが、剣先をどの位置においたらいいのか、迷い始めちゃったんです。テスを刺しちゃマズいし、かといってある程度ギリギリでないと面白くない。塩梅が……。
もたもたと迷う私を決断させたのが、次々と仕上がってくる他の絵師さま方のカード(イラスト)だったのでした――。
つづく。
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さて、ここからファンアートのコーナーです。
「なろう」の僻地を迷走中の『テスとクリスタ』ですが、メゲずに頑張る彼女たちにたくさんのファンアートを頂きました。一度かっぽうの方にも上げさせていただいたのですが、改めてここにご紹介させていただきます。
ちはやれいめい様より頂きました。
男前の美女、見返りクールビューティー、クリスタです。「きりっ!」という効果音が聞こえてきそうでしょ。短い髪の襟足から延びる首のラインがセクシーです。
ちはや様からは以前にテスのイラストも頂いておりまして、かっぽうに上げた記憶はある(……よね!?)のですが、こちらではまだ紹介していなかった(……記憶が曖昧~ッ!?)ので合わせて、
6回で上げた<ブルーデイジーと赤いハート>のテスを元に描いてくださったものです。
ありがとうございました。
さば・ノーブさまからは2枚も! 明るくて、はつらつとしたテスとクリスタを頂きました。
ふたりの仲の良さがうかがえる作品です。そして溢れるsbnb様の美少女愛! ウチの子の欲目抜きでキラキラしてます。
こちらは、海をバックに爽やかなテス。「さすが、ヒロイン!」な構図ですよねー。
ありがとうございました。
九藤 朋さまより頂きました。
テス、クリスタ、そしてメリルの「三人娘」です。和やかに談笑している雰囲気が伝わってきますでしょ。性格の違う三人娘の会話は、今日もかしましく展開しているはずです。
さて、本日の話題はなんでしょうね。スイーツ、ファッション、レジャー、それとも男の子のことかしら……?
ありがとうございました。
この物語を書き始めた時には、ファンアートという言葉も知りませんでした。
『テスとクリスタ』は学生時代の友人たちを楽しませようと作り出した物語で、途中長い中断と紆余曲折はありましたが、当然読者は彼女らだけで……というところからのスタートでした。
この物語で「なろう」デビューして、遅筆ながらも描き続け、「継続は力なり」なのかキャラたちを愛してくださる方々が現れ、まさかまさかのFAまでいただけるなんて夢にも思っていませんでした。
感謝しかありません! 今後もご贔屓のほど、よろしくお願いします。
わたしも「うれしさ」のお返しをして行かねばと思います。わたしごときが……とも思いますが、今のわたしで出来ることは少しづつやらせていただこうと思うのです。
こちら、さば・ノーブさまの「魔鋼戦記フェアリア」のミハルです。
sbnbさまはご自分でも挿絵を描かれておりますが、ツイッターにも上げられる生き生きとしたミハル達のイラストを拝見するうちに、描いてみたくなりまして。うずうずとする気持ちが抑えられず、です。
それから。ツイッターの企画から、とんとん拍子に話が転がって、「動画」制作にも手を出してみました。スマホのアプリで、わたしのような素人でも、簡単に動画が作れてしまう時代になったのですね。
ちはや師匠のご指導のもと、すったもんだで制作した加純さんの初作品。オリジナルはツイッターに上げてありますが、こちらは師匠にタイトルを入れてもらった「なろう」版です。
さて、今回はこのくらいで。
この先、どうなることでしょう?
次回も「タロット企画」のお話です。
迷える加純さん、なにを思ったのか!? 再び構図大改革に踏み切るのです。
そして、凶悪な邪魔者が行く手を阻む!?