七夜
ちょくちょく文章を変更することがありますが、その辺はすみません。
自分でも読み返してて変だな~とか、ここ間違ってる、とか思ったら修正とか何かつけ加えたりするので。
どうしてこうなったのだろうか。
目の前に広がるのは焼きつくされた荒野。
ついさきほどまで存在したありとあらゆるものが今やただの灰と化してしまっている。
そして、目の前には片膝をつき、息を切らしている少年と少女。
本当に、どうしてこうなったのだろうか。
「と、いう出来事があったんだけど、クーネはどう思う?」
「お兄ちゃん、それだけだとクーネ、全然わからない」
「おっと、確かにそれもそうか。じゃあ、もっと詳しく話さないとダメかな?」
「うん。というか、最初からそうしてほしい」
「さてと、どこから話したものかな・・・」
これは、今日の朝一発目の出来事。
朝の準備を済ませ、クーネを残して依頼を請けにギルドへと向かっていた時のことだ。
「今日は何かちょうどいい依頼があればいいなあ~」
呑気にもそんなことを言っていた時であった。
突如として、俺の魔納袋が凄まじい光を放ったのだ。
俺はとっさに魔力探知機を取り出して、すぐに位置を確認しようとする。
しかし、すでに遅かった。
なぜなら、それは俺の真上にいたのだから。
「貴様、もしやとは思うが、アトリエという名に聞き覚えはないだろうな?」
高圧的にそう言いながら現れたのは、さわやかさの中に黒さを感じる美、がつく少年だった。
「バカなのか?私たちしか知らねえってのに、そんなこと言ってもわからないだろうが。でも、まさかあのアトリエのクソと見た目が同じだなんてな・・・。ああ~なんだか殺したくなってきた」
物騒なことを言いながらも少年に続くように現れたのは、なんとも近寄りがたい雰囲気の、こちらもまた美がつく少女だった。
見た感じだと、どこかの貴族だろうか?
服装も派手で高そうだし。
ていうかどうしよう。
この二人、どこからどう見ても子供なのに、魔力の桁が圧倒的過ぎるんだよ。
ギンガさんの・・・何倍だろ?
ちょっと計算が面倒になるくらいの差がある。
もちろん、それは俺もだ。
「ええっと・・・何か、ご用でしょうか?」
「ふん、用というほどではない。ただの確認だ。もう一度聞くが、アトリエという名に聞き覚えはないな?」
すいません、その名前、聞き覚えどころのレベルじゃないです。
名前どころか、その本人様が目の前にいるんですよ。
中身は違うけど。
「知らないです」
「本当か?」
「はい・・・」
「ふん、なるほどな」
何がなるほど?
少年が俺の返答を聞くや否や、突然何やら考え込み始める。
俺としてはさっぱりの反応なのだが、そんな少年の様子が気に入らなかったのか、少女が苛立ちを隠すことなく少年に噛み付く。
「ああ~そんな回りくどいのいらねえから。そんなの一発殴ればそれでわかるんだからよ」
少女がさもそれが当たり前だと言わんばかりに、何食わない顔をしながらそう言う。
いやいや、それはちょっとどうかと思うよ?
女の子としてもそうだけど、俺の状況的にも非常によろしくない。
それだけ可愛いのならその口調は直した方がいいと思うし、少しでも素性を隠したい俺からすれば嫌でも殴られたくない。
「お前はいつも変わらんな。だがよく考えろ。ここでお前が暴れたら死者が何人出るかわからん。確かめるのなら、余計な被害を出さないに越したことはないはずだ」
少年はそう言って今にも掴みかかってきそうな少女を諭す。
すると、少女は少年へと何か言い返そうとしていたのだが、ついには肩を落として諦めてしまった。
まあ、俺もこれほどの魔力を持つこの二人ならば、この町を壊滅状態にするのは容易いことだろう。
確かに、こっちとしてもそれは願ったり叶ったりだけど・・・。
「それで、話の途中だったな。さきほど、貴様はアトリエの名について知らないと答えた。だが、貴様のその魔力はいったいどう説明するのだ?その魔力は我らの知るアトリエのそれと酷似しているのだ。どう言い逃れするつもりだ?」
え、アトリエの魔力ってそんなに個性的なのか?
基本的に魔力ってみんな同質だったよね?
転生者云々ではなく、アトリエの魔力だと言い当ててくるのはどういうことだ?
確かに、この体はアトリエのそれだし、魔力の質は変わらないと思うけど・・・てか、アトリエって魔力までおかしかったのか?
いやいや、それよりも魔力がどうのこうのって、それってこの前のが原因なんじゃ・・・。
「え、これは、その・・・」
「なんだ?何か言えないことがあるのか?」
ヤバイ、どうにかしないとこのままじゃ・・・!!
というか絶体この二人、例の転生した神々だろ。
もしも、万が一にも俺の素性がバレるようなことになったら・・・。
クソ、何か、何かないのか⁉
「もういいだろうが。例えこいつがアトリエのクソじゃなくても、こいつはアトリエのことについて知っているのは確定なんだろ?なら、さっさとぶちのめして吐かせた方が手っ取り早いだろうが」
そう言うと今にも襲いかかってきそうな雰囲気を醸し始める少女。
そしてその少女が保有する膨大な魔力が、殺気と共に俺に圧をかけてくる。
「ぐっ・・・!!」
なんだ、これ・・・。
体が、重い。
それに、体の震えが止まらない。
そうして突如として襲われた重みや震え、それは紛れもない恐怖だった。
しかしそれは死への恐怖などではなく、存在しうる全ての生物が持つ本能的なもの。
狩る者と狩られる者という関係が成す自然の理だった。
「まさかと思うが、これくらいで臆するようでは話にならんぞ?」
少女に負けず劣らず、少年もまたその膨大な魔力を放出する。
ぐっ、神ってのはどいつもこいつもこんなものなのか・・・?
まったくもって勝てる気がしないのだけど・・・。
というか、このままだといろいろと不味くない?
「あ、あの・・・」
「ほう、喋ることぐらいはできるか」
「すみませんけど、そろそろそれを抑えてもらってもいいでしょうか?」
「「・・・」」
あれっ、あれ〜?
俺、なんか普通に喋れてなかったか?
「貴様、まさかとは思うが、この短時間で我らの神域に適応したというのか?」
神域ってなんだ?
神の領域的なあれか?
いや、今はそんなことより・・・。
「ちょっと神域というのがよくわからないんですけど、兎も角今はその魔力を抑えてもらえませんか?ほら、皆気を失って・・・」
「む・・・」
「し~らね」
おい、お前も充分関係あるだろ。
ていうかこれ、どうする?
「えっと・・・まずは皆を起こしていきましょうか」
「あ、ああ・・・」
「はあ~しゃあねえな。私もやるか」
それから俺と二人の神は、気絶して倒れてしまった人々の介抱をしてまわった。
数十分後。
「では、洗いざらい吐いてもらおうか」
「あたしもそんなに暇じゃないんだからよ、早いとこ吐いてくれよな」
「そ、そんなこと言われても・・・」
いや〜さっぱりダメですね、はい。
いい雰囲気で共同作業をしたというのに、これっぽっちも状況が好転しない。
いっそのこと開き直った方がいいのだろうか?
しかし、それだと厄介なことになるのは確定だろうし・・・。
「ではこうしよう。我ら二人と、いや、どちらだけでも構わないが、決闘をしようじゃないか」
「決闘か・・・ふふっ、やっと存分に暴れられるというわけだな!!そうだろう!?なあっ!」
「少しは静かにしろっ。まだ決まったわけではない。だが、これ以上我らが妥協することはできん。無意味な話し合いをするよりも、実力行使の方が手っ取り早いのだからな。決闘もあくまでその手段の一つ。万が一、貴様がこれを拒否した場合、我ら二人で貴様を拘束させてもらう。よいな?」
う~ん・・・これはどうしようもない、よね?
相手がどちらか一人だけだとしても、俺には勝てるという未来が全く見えない。
粘って勝てる相手でも無さそうだし・・・。
「さあ、どうする?」
「決闘、し・・・ます」
結局、俺は決闘することを選んだ。
ていうか、ちょっとずるくないか?
俺には決闘を受けるという選択肢しかないよね?
まあ、やるだけやってみるか・・・。
とは言え、その戦力差は明らかなもので、神と平民というように住む場所もそうだが天と地ほどの差があるのだ。
「おしっ!じゃあ、行くぜ!!」
「え?どこにですか?」
すると、少女は俺の質問に答えようとせず、不意に俺の襟を掴む。
「へ?」
その瞬間、少女は地面を豪快に破壊すると共に上空へと飛び上がる。
もちろん、俺も一緒に。
「これ、どうなっ」
あ、噛んだ・・・。
まあ、痛くないんだけど。
「ほらよ!」
俺は少女に荷物のように、これまた雑に空中へと投げ出される。
「ちょっ」
このままだと落ちる。
俺は死へと繋がるような高さ、そこから広がる景色を眼下にそんなことを意識する。
少しずつやや上向きに投げ出された勢いが減退していく。
重力に従って体が落下を始めようとしたその時、不意に目の前に少年が現れる。
「ふん」
少年は俺を目視すると少女同様、俺の襟を掴み、そして別方向へと投げ飛ばす。
その時たまたま少年と向き合うような体勢だったため、その後の少年の行動を確認することができた。
少年は俺を投げ飛ばした後、当たり前のことだが落下していく。
ここからではよくわからないのだが、それ相応の衝撃と着地音があったことは地上からモクモクと上がる砂塵を見て理解できる。
それからほぼノータイムで砂塵を押し退けながら飛び上がってくる少年。
そんな少年の一連の動きを見ていると、後ろ向きで確認はできなかったのだが、恐らく少女が俺の襟を掴んだのだろう。
空中で何回か回転し勢いをつけると、その遠心力を活かして投げ飛ばされる。
どうやらこの二人。
地上からピョンピョン跳ねながら高速で移動しているらしい。
下を見ると鬱蒼と繁った森が見える。
時間を短縮したいのならば、合理的と言えなくはないかもしれないけどさ・・・。
「ほいっ」
ちょっ。
「ふん」
待って。
「ほいさ」
お願い。
「ふん」
だから。
「ほらよ!」
「うわあああああっ!」
何度目かわからないパスの後、止めの一撃とばかりに俺を力一杯投げつける少女。
俺はそのまま急速に地面へと近づき、そして激突した。
「あいつ、もう死んだんじゃねえか?」
「お前がやったのだろうが」
ダイナマイトが爆発したかのような爆音の後、遅れて立ち昇る砂塵。
「ああ~もうっ!人をおもちゃみたいに!!ほら、こんなに服も泥だらけになってるし・・・」
立ち込める砂塵の中、俺は服を叩きながら文句をぶつける。
そして、俺のそんな様子からわかるように、けがなんて全くしていない。
結果的に言うと、ただ服が汚れた、それだけのことだった。
「そう怒るでない。ここなら、我らが思う存分に力を発揮しても問題ないのでな」
いやいや、それ以前に普通の人だったら今ので死んでるから。
まあ、確かにこんな山奥なら人目にもつかないだろうし、全然大丈夫なのだろうけど・・・。
てか、ここどこ?
「じゃあ、早速・・・」
あれ?これって何か合図的なあれはないのか?
「いくぜ!!」
「ダメです」
「知るか!!」
え~と、マジですか?
「危なっ!!」
俺は迫り来た少女の拳を避ける。
すると今度は流れるように蹴りがとんできた。
とっさに腕を交差させ、身を固める。
「ぐっ!」
しかし、少女の蹴りが予想以上に強烈であったため、意図せず地から足が離れてしまう。
「はあっ!!」
瞬間、少女は体を大きく捻りながら勢いをつけると、そんな俺の無防備な体を殴りつける。
「ぐほっ」
その後、俺は近くの巨岩へと叩きつけられる。
あまりの衝撃に巨岩は粉々に砕かれ、倒れる俺の上に崩れ落ちる。
「どうだっ!私のこの拳はよ!!」
少女は自信満々に瓦礫の下にいる俺に向かってそう言い放つ。
「そりゃあ、凄かったですよ?でも・・・」
俺は何事もなかったかのように瓦礫を退け、立ち上がる。
「やっぱり足りないです」
「へえ~」
少女はそんな俺を見て、楽しそうに口元を緩める。
「おい」
「なんだよっ、今いいところだから邪魔するんじゃねえよ!」
「俺も混ぜろ」
な、なんですと~⁉
いや、その前にちょっと冷静になろうか。
少し熱くなり過ぎている気がしてしょうがない。
もう薄々俺の力のほどは把握されているだろうし、今更隠そうにも無理があるけど、ここからなるべく控えめに、そして打開策も考えなくては。
「一人ずつ、なんじゃあ?」
「なに、貴様は我ら二人が相手でも問題なさそうだからな。それにな、我も少し退屈なのだ」
退屈って・・・それだけの理由で?
まあ、二人同時にというのも予想はしていたけど、やっぱりその口ぶりからして少しずつ把握されつつあるか。
二人同時か・・・。
かなり難しい、というかこれは・・・無理、か?
「いやあ~やっぱり一人ずつじゃあ・・・ダメですか?」
「無理だな。我もつい手を出したくなってしまったからな」
「そ、そうですか・・・」
ヤバイ、どうしよう・・・。
耐久力的にはこれまでの経験上、かなりの自信があるため、そこは全く気にしていない。
だが、どうしても決め手にかけてしまうというのが今の現状における最大の問題点となっている。
う〜ん、いったいどうしたら・・・。
「では、行くぞ」
「ああ・・・はい」
俺が諦めて二人での決闘を了承すると、少年は不敵な笑みを浮かべて・・・。
「死ね」
少年がドスの効いた声でそう言った途端、少年から有り得ないぐらいの熱が吹き出る。
それは周囲の温度を上げるだけに留まらず、周囲のあらゆるものを燃やし溶かしていく。
これ、いったいどうなってんの?
岩とかドロドロに溶けていっているですけど。
「くらえ、魔神卿の砲撃」
少年がそう呟くや否や現れる巨大な火の球。
それを見て直感的に悟った。
あれは、危険だ、と。
しかし、そう思った時にはすでに手遅れだった。
突如響き渡る轟音の後、音速の速さで放たれたその火の球は、秒も刻むことなく俺へと着弾する。
その瞬間、辺り一面が焼け野原になった。
後に残ったのは、すっかり黒く焼け焦げてしまった広大な大地と・・・。
「あれ?意外に大丈夫・・・だった?」
俺だけだった。
「いったい・・・何が起きたという、のだ」
「クソっ、力が出ねえ・・・」
どういう状況?
俺、なんか知らないけど・・・勝った、のか?
「素直に喜ぶ・・・べきかな?」
結果的には勝ち、なのだけど、自分自身でもどうやってこうなったのかがわからない以上、どこか不気味でもある。
もしも意図しない形で発動してしまったらと思うとゾッとする。
たけど、一先ずはこの二人のことが先だ。
「あの~これって自分の勝ち・・・で大丈夫ですよね?」
「この状態ではな・・・」
「ちっ・・・仕方ねえか」
良かった。
どうやら負けを認めてくれるようだ。
でもしかしだ。
結局のところ、俺がどうやって勝利できたのかが不明というのには変わりない。
なので・・・。
「あの~よろしければ、家に来ませんか?」
「「は?」」
二人を家に招いて、詳しく聞いてみることにした。
流石に長い間生きてきたのだから、知識もそれなりにあるだろうという想定だけど。
と、いうわけで。
「お茶をお持ちしました!はい、どうぞ」
早速二人を家へと招いた・・・じゃなくて、連れてきた。
二人とも体力ともに魔力の消耗が激しかったので、勝手ながら担いで運ばせてもらった。
あっ、先に言っておくけど、これは決して誘拐などではないから。
「おっ、ちょうど喉乾いていたんだよな!」
少女はそう言って、淹れたてのお茶を流し込むようにして飲み干す。
少年もそれに続いて、恐る恐るといった様子で口をつける。
「ふむ、今更聞くのもおかしな話だが、なぜ我らはこうして茶を飲んでいるのだ・・・」
うんうん、それが多分普通の反応だと思うよ。
というか、この少女がちょっとどころじゃなく、ありえないぐらい警戒心が薄いから問題なんだよ。
ていうかもう、無警戒じゃん。
「ええっと、それは先程の決闘の件になるんですけど・・・」
「ふむ、決闘の件、か。我も認めたくはないが、先の決闘は貴様の勝ちだ。我らは素直に引き下がるとしよう。貴様は決闘の勝者だ。一つだけ願いを聞いてやる権利はあるが、どうする?」
「それじゃあ、自分の能力の解明に協力して欲しい・・・じゃあ、ダメですか?」
「なんだと?」
少年は俺の願いを聞いて、酷く不快そうに疑問の声を出す。
「ええっと・・・ですね。恥ずかしながらも、最後に起こったあの現象がなんなのか、自分にもさっぱりわからないんですよね。こう・・・なんと言いますか、お二人は貴族のご出身のようですし、何か知っているかな、と思いまして」
「ほう?貴様は敗北した者に教えを乞おうというのか。それはまたいい度胸をしているな」
「いや、まあ、その・・・すみません」
「ふむ、まあいいだろう」
「え?」
なんだかダメな雰囲気だったのに、なんで?
「我も貴様には興味がある。そのアトリエに近い魔力とその姿。奴の生まれ変わりかもしれん。どうやらこの世界にはすでにアトリエの奴は存在していないらしい。我が世界を周り、独自で調べた結果だ。もしも、この世界にアトリエが転生を果たしているのならば、貴様にその魔力が宿るのも頷ける。仮にも貴様がその本人であったとしても、なんら我は疑問に思わん。我はアトリエの奴に復讐がしたいわけではないのでな」
「え?それじゃあ、どうして・・・」
「ふっ」
「な、なにか?」
「アトリエのことを知っている、それがどれほど重要なことか、わからないというわけではないだろう?」
ま、まさか・・・。
「神々のことしか知らないアトリエの存在。それを知っている貴様は、いったい何者なのだろうな?」
し、しまった・・・。
「まあ、よい。いずれ知ることだ。ここでは深い詮索は控えるとしよう」
はあ、つくづく俺ってバカな奴だよね。
まさか試されていたなんて・・・。
いや、アトリエのことを軽々と流していたのが悪かったんだけどさ。
ていうか、すぐに気づくべきだった。
神々しか知らないことを、一平民である俺が知っているということがおかしいのだから。
はあ、やらかした・・・。
「それはそうと」
ふと、少年は隣に座っている少女を見る。
自然と俺もそれにつられて見てみると、そこには・・・。
「どうします?これ」
「このバカがすまんな・・・。今日のところはこいつを連れて帰る。それと、貴様のことは安心しろ。今後一切危害を加えることはない。貴様のその力についても我らが協力してやる。それではな」
そう言い残して、少年は眠る少女を抱えて玄関の扉を開く。
「む、言い忘れていたな。我の名はベリアル。このバカの名はツクヨミだ。ではな」
ベリアルと名乗った少年は、ツクヨミという名の少女を背負って帰っていった。
あれ~?
確か俺の記憶が正しければ、ベリアルって悪魔だったはず・・・。
それに、ツクヨミってなんかイメージと違うんだけど・・・。
ま、まあ、兎も角。
とりあえずはこれで一安心かな。
「・・・あ」
依頼、請けるの忘れてた・・・。




