六夜
自己人称は「自分」
男じゃないから俺、はダメだし、かといって女だから私ってのもちょっと言いにくい。
ということで、「自分」というどちらでもない中立の表現にしました。
時は一週間ほど遡る。
俺はある依頼でとある廃屋へと来ていた。
「ここが依頼の場所か・・・」
なんか気味が悪いところだなあ〜。
さっさと終わらせて帰ろう。
俺は雨風が辛うじて凌げる程度となってしまった廃屋へと足を踏み入れる。
「やっぱり汚い・・・。こんなところに本当にいるのか?」
そもそも俺がこんな廃屋に来たのにはある人物に会うためなのだ。
依頼、というのはあくまでもその口実。
最近やたらと俺の行動を制限しようとするギルドや、変態どもを回避するための策だ。
「しかしなあ、まさか不死身殺しなんてものが存在するとは」
そう、ここには何を隠そう、不死身を殺せるというとんでもない人物がいるというのだ。
これは確実な情報ではない、けど、僅かにも可能性があるのなら行ってみる価値はいくらでもある。
「あの~、誰かいませんか~」
「誰?」
俺が廃屋内に何気なくそう呼びかけてみると、予想外にも返事が返ってきた。
この声、子供か?
「自分は・・・じゃなくて、その前にどこにいるのかわからないんだけど・・・」
「ここ」
声が聞こえた。
それもすぐ足元。
視線を下げ、声の主を見る。
「か、可愛いっ!」
俺はそこにちょこんと立っていた少女を見てつい興奮してしまった。
さらさらの白い髪に、ハワイアンブルーの瞳をしたクリクリの目!
頬は触ると絶対に柔らかいだろうと思わせる質感を放っておりっ!!
その唇は汚れたものを知らないきれいなピンク色!!!
服装もその純心さを表しているのかのような純白のゴシックドレスっ!!!!
まさに存在そのものが完璧な美少女、いや、美よぅ・・・って、違う違う!!
「可愛い?」
「か、可愛いよ?じゃなくて、君はここで何をしているのかな?」
俺はできるだけ優しくそう話しかける。
「ここ、クーネの家」
クーネっていう名前なのか。
それにしても・・・
「家?こんなボロボロなのに?」
俺がそう言った途端、ワッと泣き出す幼女。
「クーネの家、馬鹿に、グスッ、しないで」
「ああっ!ごめん!本当にごめんっ!!だから泣かないで?ね?」
「ぐすっ、クーネの家、馬鹿にした」
やっぱりそう簡単にはいかないか。
しかし・・・子供ってやっぱりいいよね。
「可愛い」
「ひぐっ、クーネが、可愛い?それ、さっきも・・・」
あれっ、少し機嫌を良くしてくれた・・・のかな?
なんとなく雰囲気が和らいだような・・・。
「うん、可愛いよ。というか間違いなく可愛い。少なくとも、今まで見てきたどんな子よりも」
俺がそう言った途端、突如クーネの様子が急変した。
「クーネが、クーネがかわ、可愛い?嘘、そんなこと、絶対に・・・」
ああ~なんだろう、これ?
泣き止んでくれるまでは良かったんだけど、今度はなぜか一人で自問自答を始めてしまうクーネちゃん。
「クーネちゃん?」
「でもでも、もしかしたらもしかするかも・・・しれない。でもでも・・・」
「もしも~し、クーネちゃん?聞こえてる?」
「っ!!な、なに?」
クーネちゃんって、なんか癖が強いね。
「えっとね、クーネちゃんは、ここで何をしているの?」
すると、今度は和やかな雰囲気から一変。
ピリピリとした真剣なものへと変わっていくクーネちゃん。
なんだろう、この気分の差は。
「クーネ、ここで修行しているの」
「修行?こんな山奥で?それはまたどうして」
「それは・・・」
ん?何か言いにくいことなのかな?
黙って下を向いちゃったけど・・・。
「別に言いたくなかったらいいよ?」
「ダメ、やっぱり聞いてほしい」
どっちだよ!
でもまあ、俺としてはそこも可愛いと思ってしまうから、こうやって心の中だけに留めているんだけどさ。
そうして、少しどころじゃなくかなりのロリコン臭を漂わせながらも、俺はクーネちゃんの次の言葉に耳を傾ける。
ふとなんとなしに、その時はほぼ無意識の状態だったのだが、自然と目線が下がった。
そうした先で見たのは、クーネちゃんがその小さい手を赤くなるほどに強く握りしめているところだった。
俺はそんな様子を見て、踏み入れてはいけない領域に足を踏み入ってしまったのではとそう思ったのだが、その時にはすでに遅く、クーネちゃんの口から発せられる言葉が俺の耳を叩いていた。
「クーネ、実は殺したい人間がいるの」
「ころ・・・え?」
ちょ、ちょっと待った。
今なんて言った?
殺したい人間が、いる?
いやいや、まさかそんな・・・ね?
「クーネの家族、みんな殺された。助けてって何回も何回も言っていたのに、誰も助けてくれなかった。多分、みんな怖かったんだと思う。でも、クーネはそれが許せなかった。自分は関係ないって思い込んで、クーネたちにたくさんいじわるをした。それで、なんとか助かろうとしてた。結局、みんな死んだけど」
「それは・・・クーネちゃんの目的の?」
「違う。クーネが殺した」
え?
クーネちゃんが、人を?いやいやいやいや、そんなことありえるわけがない。
だって、こんなにも可愛いのに・・・。
「本当は、こんな話したくない。思い出しちゃうから。でも、お兄ちゃんには話してもいいかなって思った」
そんな過去があったのか・・・。
だけど、俺にはその気持ち、痛いほどわかる。
俺も過去に嫌なこと、というか、残酷なことを嫌という体験させられた。
それこそ、俺がこの世界に絶望し、死を求めるようになるほどだ。
「辛かった・・・よね?」
「うん。でも、クーネはこれで良かった」
「良かった?それは、いったいどういう・・・」
「クーネの生きる理由が、見つかったから」
「・・・」
そう、か・・・。
それが、俺にとっての死、救いなんだね。
「あのまま、クーネは死ぬんだって思ってた。でも、クーネは死ななかった。それだけ」
やっぱり、悲しい子だ。
だけど、この子を見ているとなぜか自分のことも悲しい存在だと思ってしまう。
まるで、鏡に写った自分を見ているようで。
「そう、なんだ・・・。えっとね、話は変わるんだけど、いいかな?」
「なに?」
このまま話を続けていても、ただ過去を思い出すだけの最悪の時間になってしまうので、ここらで話を区切ることにする。
「ええっとね、不死身殺しの人って、知ってる?」
「それ、クーネのこと」
「???」
「それ、クーネのこと」
「え、嘘・・・じゃないよね?」
「クーネ、嘘ついたことない。信じられないなら・・・」
クーネちゃんはそう言うと、俺に手の平を上にして差し出してくる。
手を置け、ということなのだろうか?
まあ、それくらいなら別にいいけど・・・。
「はい。これでいい?」
「うん」
すると、突然クーネちゃんが俺の手を。
「痛い痛い!痛いからっ!」
幼女とは思えない力でつねってきた。
「うん、わかってる。でもこれで、クーネが不死身殺しだというの、信じてくれる?」
痛い~って、あれっ、痛い?
「痛覚が、ある?ということは・・・」
「お兄ちゃんを殺せる、ってこと」
本当に、クーネちゃんがあの不死身殺しだった・・・って、ん?
「ちょっと待って、これまで聞き流していたような気がするけど、自分のこと、なんて言っているの?」
「お兄ちゃん、だけど?」
やっぱりおかしい。
俺は今どこからどう見ても美少女、まあ、自分で言うものじゃないと思うけど、兎も角今は性別的には女なのだ。
なのに、俺のことをお兄ちゃん、だって?
いったいどういうことなのだろうか?
「だって、見た目は確かにお姉ちゃんだけど、中身はお兄ちゃんなんでしょ?だからお兄ちゃん」
「それって・・・いったいどうやって?」
「どうって、クーネにはお兄ちゃんが、転生の人だってわかるから」
この子、どうしてそれを・・・。
別に誰かに言ったわけじゃない、なのにどうして・・・。
「ええっと、クーネちゃんは自分とどこかで会っていたり・・・」
「ううん。今日が初めまして」
首を横に振りながら否定するクーネちゃん。
「じゃ、じゃあ、魔力を感じて・・・って、魔力ないんだった」
「魔力、ないの?」
あ、そこに反応する?
じゃあ、魔力の質から判断したということではないのか。
というのも、転生者の魔力は一般の魔力とは違い、その波長が明らかに違うものとなっているのだ。
なんでも、転生者というのは例外なく魔法を無詠唱で行えるという特徴を持っており、これはその異質な魔力によるものらしい。
なので、魔力を探知できるという感知の性質を持った魔力の持ち主なら、一発で転生者のそれだとわかるということだ。
だけど、そうじゃないみたいだ。
そもそも、俺に魔力がない時点で探知なんてしようがないだけど。
「どうしたの?」
「ああっ、ごめんごめん。ちょっと考え事を、ね。それで、クーネちゃんはどうやって自分が転生者だって思うのか、詳しく知りたいんだけど、いいかな?」
すると、クーネちゃんは何か癪に触ることでもあったのか、少し怒っているかのように目を細めてこちらを見つめてくる、いや、睨み付けてくる。
「な、何?」
「やっぱり、その話し方嫌い。もっとお兄ちゃんらしく話して」
お、お兄ちゃんらしくって・・・。
それはつまり、この体に合わせて使っているこの言葉ではなく、素の自分で話せということだろうか?
「でも・・・」
「お兄ちゃんらしく、話して」
ムッとした表情でジッとこちらを睨み付けてくるクーネちゃん。
しかしそこには、なんとも言えない不思議な強制力があった。
「はあ、仕方ない・・・。ここまで見事に俺の正体を見抜けるのだから、今更隠しても意味はないか」
そうしてすっかり言い訳をする気も失せた俺は、ありのままでそう言うと、クーネはうまくいったという無邪気な表情を浮かべ。
「クーネ!クーネの名前!」
自分の名前を呼んでほしいのか、やたらと連呼し始めた。
「わかったわかった、わかったから静かにしてくれ。今ちょっと頭が痛いんだから」
「大丈夫?」
「少し、ね。でもまあ、大丈夫だ、クーネ」
「っ!!」
俺が然り気無くそう名前を呼んであげると、クーネは下を向いて黙りこんでしまう。
どことなく顔が赤くなっている気もしないではない、けど、これはいったいどういう反応、なのだろうか?
「お」
「お?」
「お兄ちゃん、大好き!!!」
「うおっ」
突然の大好き宣言と共に飛びかかってくるクーネ。
慌てて胸で受け止めるも、俺の頭は混乱に支配されていた。
ど、どういうこと⁉
お兄ちゃん大好き?マジかよ!!
ていうか俺、何かしたか?
いやいや、今はそんなのどうでもいい。
嘘、嘘じゃないよね?これは、夢?
でもこの温もり、これは夢で味わえるものだろうか?
答えは否、だ。
うおおおおおおおおおっ!!生きてて良かった!!転生万歳!!
「クーネ」
「なに?」
「俺も、クーネのことは大好きだ」
「うん!」
ああ・・・可愛い。
と、いう一連の出来事があって、今ではマイホームにて二人で生活している。
前もって断っておくが、これは決して誘拐でもなんでもない。
クーネの同意を得た正式な同棲だ。
それとだが、俺はあくまでも子供が好きというだけで、決してロリコンではないことをここに誓おう。
あっ、それから二人で生活をする内に、少しわかったことがあるのでここで追記しておこうと思う。
まず、クーネは不死人狩りという一族の生き残りで、この世に存在する一族の中では最古のものになるらしい。
そして、これは憶測でしかないけど、恐らくクーネの一族は、もうこの世には存在しないということだ。
ここ一週間で俺も調べることは調べ尽くしたのだけど、記録に残っているものでも五百年前のものしかなかったのだ。
未知なる秘境の地で生きているのか、それともその力を隠して生きているのか。
だけど、すでにクーネの家族、話を聞く限りではその集落の人間全員が死んだということも忘れてはいけない。
考えられないことではないけど、もしかしたらクーネが最後の生き残りという可能性も考えられる。
俺を殺すことができるかもしれない唯一の存在なだけに、クーネ以外に存在するという確証がほしいところである。
ていうか誰だよ、クーネの居場所を突き止めた奴は。
いや、これは割りと、というかありえないことだと思っている。
記録では五百年前のものしかなく、目撃証言なども皆無。
なのにドンピシャでクーネの居場所がわかった。
会いに行こうと思ったのは俺だけだけど、まあ、普通に考えて会いに行こうとは思わないだろう。
なんせ五百年もの間一人として確認されなかった存在なのだから、それが嘘だという可能性が濃厚だからだ。
だからと言って、それが必ずしも嘘であるということではない。
実際にこうしてクーネと会えたし。
とは言え、いったいどこの誰がこの情報を流したのだろうか?
俺は風の噂でそれを聞いただけだし、詳しい発生源まではわからないのだけど、これはなんとしてでも探しだしたいものだ。
もしかしたら、クーネと同じく不死人狩りという可能性も・・・あるかもしれないし?
そうじゃなくても、俺を殺せる何かを知っているかもしれない。
ということで、次の目的はこの情報源の人を探すことにしようと思っていたりもする。
「む〜、またぼ~ってしてる」
「え?ああ、すまんすまん。それで、なんだったけか?」
「う~全然話聞いてない」
「マジですまん・・・」
「もう一回言うから、次はちゃんと聞いて。クーネはね、まだお兄ちゃんを殺したくない。理由は、クーネの目的を達成するまで手助けをしてほしいから」
という事情があり、俺は現在先送りにされている状況だ。
今は調べることも調べ尽くして特に何もない。
近道はクーネの目的を達成させること。
しかし万が一、ということがあるかもしれないので、別の道も模索しようかなと思っている。
その中の一つがさっきの人探しになるのだが。
まあ、そもそもその万が一にしないのが俺の役目なんだけどさ。
というか、絶対にさせないつもりだ。
「でもさ、クーネ。これって何回目だ?」
「う~ん・・・十六回、くらい?」
「なら聞かなくてもいいだろ。だってもう頭に入ってるし」
「それでも、心配。クーネとの約束、忘れそうだから」
俺ってそんなに信用ないかな?
でも十六回も同じことを言われたら・・・流石に、ね?
「なあ、クーネ。そんなに心配だったら、俺と誓約を結ぶか?」
「せいやく?」
誓約。
それは不正の誓い。
誓約を結んだ者は、互いにそれを破ることは許されない。
もしもそれが破られた場合、それは互いに最悪の反動となって帰ってくることとなる。
これは主に、己の望むものから遠ざけるということだ。
簡単に言えば、長生きしたいと思っていたならば、それは長生きの反対、寿命の全てを奪われるという結果になるのだ。
つまり、通常は死というかたちでこれは適応されることとなる。
俺の場合だと、確実に死なないような処置が施されるということになる。
不死からその先があるのかどうか怪しいところだけど、まあ、さらに死なない体になるのは確実だろう。
と、いうことをクーネにも説明した。
「誓約・・・」
やっぱりペナルティのことを気にしているのか?
とは言え、約束を守らせるのなら確実であるのは確かだけど。
「うん。誓約、結ぶ」
「おっ、誓約結ぶのか。ていうか、どんだけ俺は信用ないんだ?」
「お兄ちゃんは、騙されやすい。それは一緒に生活していて、わかる」
うぐっ、た、確かにそうだけど・・・。
「だから誓約、結ぶ。でも、どうしたらいいかわかんない」
「そうか、誓約の結び方までは言ってなかったっけ。でもそんなに難しいことじゃないぞ?えっとな・・・確かお互いの魔力を重ねるだけでいいはずだぞ?」
俺が曖昧な記憶を掘り起こしながらもそう言うと、なぜかクーネは首を傾げる。
「お兄ちゃん、それだと、誓約結べない」
「え?あ・・・」
そうだよ、俺、そもそも魔力ないじゃん。
「そうだった・・・」
「そういうところが、お兄ちゃんを信用できない理由」
「いや、これはノーカンで頼む。しかし困った・・・。これだとクーネとの約束を守るという保障が得られないじゃないか」
誓約以外に何かあったか?う~ん・・・
「お兄ちゃん、ちょっといい考えがある」
「え?それはどんな?」
「こんな感じ」
すると、突如としてクーネを中心にして空間が歪み始めた。
それは俺の足元まで及び、少しずつだけどマイホームではないどこかへと変わっていった。
「こ、ここは?」
俺はどこにあるのかもしれない湖の前に来ていた。
「ここは、神水の湧き場所。前に一度、来たことがあった」
神水って、あの神々が愛用していたという・・・。
「神水は、神々の飲み物。でも、それだけじゃない」
「まさかとは思うけど、これで魔力を?」
「うん」
まさか神水にそんな効能があったとは・・・。
だってさ、神水は神々の飲み物、ということしか書物には残っていなかったんだよ?
「でもこれ、勝手に飲んでいいのか?」
「いい。これ、神々も知らない秘密の場所だから」
神々が知らないのなら飲んでもいいと、そういうことか。
「じゃあ、試しに一口」
俺は膝をついて神水を手ですくい、ゆっくりと口へと運ぶ。
「ゴク、ゴク、ゴク、ぷは~っ、なんだこれっ!、めっちゃ美味しい・・・!」
ただの水じゃないのはわかっていたけど、まさかここまで美味しいとは。
多分、いや、間違いなくこの世で一番美味しい飲み物だよ、これは。
「お、おおっ?」
なんか体がフワフワするな・・・。
「うっ、な、なんかこれ、気持ち悪い・・・」
これが、魔力酔いってやつか。
魔力酔いとは急激な魔力の回復や、消費によって発生する酒の酔いに近い現象のことだ。
「大丈夫?でも、少しだけど魔力は回復した」
「少しって、どれくらい?」
「う~ん・・・残りカス、くらい?」
「全然回復してないじゃない・・・か、う、うぇぇぇ・・・」
これ、マジで気持ち悪い・・・。
でもこれで、誓約は結べるだろう。
「ク、クーネ、手を・・・」
俺が手を差し出すと、すかさず手を握ってくるクーネ。
はあ~やっぱりいいな、クーネの手・・・じゃなくて!!
「な、汝の望みはここに、不正の誓いと共に結ばれん」
長々とした詠唱を省略し、俺が簡単にそう言うと、淡く青い光と共にクーネの魔力と俺の魔力が結合される。
「これで、せいやく、完了?」
「うん、完了。さてと、じゃあ我が家に帰ろうか・・・」
あれっ、そう言えばさっきのクーネの転送術、あれって最上位魔法の一つだよね?
何気にさらっと流したけどさ。
「なあ、クーネ」
「なに?」
「ここに来れたのは、クーネの転送術、で間違いないよね?」
「うん。あれは、クーネの得意魔法、転移門」
やっぱりそうだったのか・・・。
「クーネ、一つ約束をしてほしいんだけど、いいか?」
「うん」
「クーネの転移門は凄い。でも、それは恐ろしいほど貴重な魔法だ。だから、面倒事を避けるためにも、絶対に人前では使わないこと。約束、できるか?」
「約束、する」
うんうん。
クーネはこれでも賢い子だからな、俺の意図はなんとなく理解してくれているだろう。
さてと、帰るか。
「クーネ、転移門を頼む」
「うん。でもその前に、お兄ちゃんとの約束、誓約で結ばなくてもいいの?」
「ん?ああ、別にそこまで大事なことでもないし、大丈夫だ。それにな、多重誓約ってのはできないことになっているんだ。だから、こればっかりはどうしようもない」
「うん・・・わかった」
あれっ、なんでそんなに残念そうなんだ?
ん~わからん。
「まあ、今日は帰るぞ。あ、それと今日の晩飯はシチューだから」
「シチュー⁉やったやった!」
うん、可愛い。
よし、今日はうんと美味しいものを作るか。
※主人公はロリコンではありません。
僕もロリコンじゃないです。子供は好きですが。