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第十三夜

これは一つ前の話を元に書きました。

いや、書くのがしんどかったからじゃないですよ?

書く時間がなかっただけなんです、はい。

 

「さてと、じゃあ準備をするか」


 俺はクーネを起こさないように細心の注意を払いながらも、その行動を開始する。

 クーネの寝室はすぐ隣なので、慎重に行かないといけなかったのだが、無事に通過することができた。

 一階へと下りると、まずは顔を洗って眠気をとる。

 そうしてスッキリしたところでリビングへと戻る。


「まずは飯だ。と、言いたいどころだけど」


 そこまで言って辺りを見渡してみる。

 そこには目を逸らしたくなるような、散らかりに散らかった悲惨な光景が広がっていた。

 昨日はパーティーを盛大に行ったとは言え、これは流石に酷い。

 そうしてどこをどう片付けようかと思案していると、どこからか寝息が聞こえた。

 それも二つ。

 誰かいるのかと思い、辺りを捜索してみると、確かに二人いた。

 それも大層な寝相で、どちらも爆睡していた。


「ローザさんに、ギンガさんか・・・」


 まあ、昨日はあれだけ飲んでいたし、仕方ないと言えば仕方ないのだろうが。


「でもなあ、これは・・・」


 と、とりあえず、まずはソファの上に運ぶか。

 ローザさんは日頃お世話になっているし、ソファでいいか。

 ギンガさんは・・・毛布を被せておけば大丈夫か。


「よし、これで酔っ払いはいいとして、次は掃除か」


 ここはテキパキやらないといけないか。

 なんせ、今日はクーネの記念すべき初登校の日だからだ。

 ていうか、俺ってば何を思って昨日あんなパーティを開いたのだろうか?

 今日を考えたら、別の日でも良かったと思うんだが。


「ま、まあ、やるか」


 そして、それから三十分後。


「ふう、やっと片付いた・・・」


 それにしても、まさかこんなにゴミがあるなんて。

 この量は置く場所に困るけど、一先ずはベランダにでも置いておくか。


「さてと、そろそろ起こしに行くか」


 しかし、クーネは一度で起きれるのか?

 俺はいろいろと不安を覚えながらも二階へと上がる。

 クーネの寝室へと入ると、そこにはスヤスヤと寝息を立てる無垢な少女の姿があった。


「う、なんか、起こしたくなくなってくる・・・」


 だって可愛いんだもん。

 マジ天使っていうくらいに可愛い。


「だが、これもクーネのためだ。ここは心を鬼にして・・・」


 俺は意を決して、クーネを起こすことにした。


「クーネ、朝だぞ」


「う、う〜ん」


 やっぱり、一回じゃ起きないか。


「早くしないと学校遅れるぞ!たくっ、仕方ないか・・・」


 非常に、非常に心苦しいのだけど、仕方なく日の光をプレゼントする。


「うわっ・・・」


 まあ、そうなるよね。

 でもこれはクーネのためなんだ。

 というのも、日光は人間の体内時計を進めるのに欠かせないエネルギー源となっているのだ。

 そのため、一度狂ってしまった時計も強制的に直すことができる。

 元はと言えば、日頃昼まで寝ているクーネが悪いんだけどさ。


「いい加減起きろ!お日様はとうの昔におはようをしているんだぞ!それじゃあ、俺は下で待ってるから、早く来るんだぞ」


 そう言い残し、部屋を出ていく。

 起こし方というのは、あれで良かったのだろうか?

 俺には誰かに起こしてもらったことなんてないからよくわからないんだけど。

 逆に誰かを起こすことはあったけど、クーネみたいに朝が弱い人間を起こすわけじゃなかったから、正直戸惑ったところはあった。

 でも案外いろいろやってもいいみたいだったので、明日はどうやって起こすか、少し楽しみになってきていたりする。


「じゃあ、パパッと何か作るか。確か、まだ何かあったと思うんだけど・・・」


 俺は異世界版冷蔵庫を開く。

 ちなみに、この世界の冷蔵庫は元の世界のと見た目はほぼ変わらない。

 変わることと言えば、単純に電気ではなく魔力で冷やしていることくらいだ。

 さらに言うと、魔力は定期的に補充している魔石によって補われている。


「な、何もない、だと・・・」


 昨日の俺よ、なんで食材を全部使い切るなんて暴挙をしでかしたんだ?

 どんだけ計画性ないんだよ・・・。


「仕方ない。幸いにもミルクとパンはあるから、今日のところはそれで我慢してくれ」


 明日の朝は、もっとちゃんとしたものを用意してやるか。


「はい、終わり」


 いや、早すぎるだろ。

 絶対手を抜いたって思われるよね、これ。

 だけどなあ、こればっかりはどうしようもない。

 文句を言われたら甘んじて受け入れる覚悟だ。


「ん?それにしてもクーネは何をやっているんだ?もしかして、二度寝でもしているのか?結構遅い気がするんだけど・・・」


 あんまり気がすすまないけど、もう一度起こしに行くか?

 でもなあ、万が一起きていたことを考えると・・・。

 だってさ、何も知らずに入ると、そこには着替え中のクーネがいて・・・っていう展開になったらゾッとする。

 嫌われるどころか、口も聞いてくれなくなったら、俺多分生きていく自信なくしてしまうかもしれない。

 死ねないから廃人みたいになると思うけど。

 と、いうことをいろいろと考えた結果。


「おーい、そろそろ飯を食べないと遅刻するぞ〜」


 大きな声で起こすことにした。

 これなら、万が一の可能性もなくなるし、何よりこっちの方が楽・・・ではないか。

 だって、大きな声を出すのってなんか面倒くさいんだよ。

 動く方が俺としては楽。

 普通は逆だと俺は思うけど、この体はそれを可能にする性能をしているのだから仕方ない。

 数分後、クーネは真新しい制服の姿で下りてきた。

 俺は天使が降臨したのかと思ったけど。

 まあ、それはさておきだ。

 問題はこの雑な朝食を見てどんな反応をするかだ。


「お、やっと来たか。ほら、早く食べろ」


 さあ、クーネはいったいどんな反応を・・・?


「うん」


「・・・」


 あれ、それだけ?

 今日の朝食を見て何も思わないのか?

 それとも、何か思うことはあるけど言わないだけなのか?


「いただきます」


 普通に食べ始めた・・・だと!?


「うっ・・・ん?」


 ここでローザさんが起きるのか!

 いや、まあいいけどさ。


「あっ、やっと起きましたね。これ、お水です」


 とりあえずの水。

 二日酔いの人にはまず水。


「ありがとう、システリア。ところで、なぜ私はここで寝ていたのだ?」


「あ、そこは覚えていないんですね」


 まあ、あれだけお酒を飲んでいたら、そりゃあ・・・ね?

 しかし、そう考えるとお酒ってホントに恐ろしい。


「なんだか頭が痛いな・・・って、まさかこいつもか?」


「はい・・・そう、ですね」


「ごちそうさまでした」


 やっぱり食べ終わるの早かったか。

 午前中持つかが俺は心配だけど、家には何もないからどうしようもないんだよね・・・。

 おっ、それにしてもちゃんと皿を下げているのか、偉いぞ、クーネ。


「いってきます」


「いってらっしゃ〜い」


 とは返すものの、やっぱり心配だ。

 クーネも身長の割には結構食べるし、万が一授業中にお腹が鳴ったりしたら恥ずかしい思いをするだろう。

 でも、俺が態々追加で食べ物を持っていくというのも変だし・・・。


「おいっ!お前もいい加減起きろ!」


「うるっせえな!なんなんだよ!?」


「はい、お水です」


「水?あ・・・ああ、水か。ありがとな」


 ん?なんかクーネがこっちを見て呆れているようだったけど、あれって俺を見てか?

 それとも、この酔っ払いたちを見てか?


「ん?クーネは今日から学校なのか?」


 はあ、これだから酔っ払いは・・・。


「昨日散々話したと思いますけど?」


「そ、そうか・・・?」


「俺は・・・しっかり覚えていたぜ?」


 しゃしゃり出てくんな。

 どうせギンガさんも変わらず覚えていなかったくせに。

 というかその無駄な間はなんだよ。

 自信ないにも程があるだろ。


「はいはい。一先ず、今日のところは帰ってくれませんか?後片付けもしたいので」


「おおっ、そうか。まだちぃっと頭が痛えが、システリアの邪魔にはなりたくねえからな。んじゃお先に失礼するぜ」


 とか言っているくせに、すでにフラフラじゃないか。

 そんなんでよく言えたもんだ。


「全く、そんな状態では一人で帰れんだろうが。仕方ない、私も一緒に行ってやる。肩を貸すぐらいはできるからな」


 とか言っているくせに、ローザさんも実はフラフラだけど。

 自覚ないのか?


「はあ、まあ気をつけて帰ってください。寄り道とかしないでくださいね?」


「そんなに心配しなくても大丈夫だぞ?この私が一緒にいるのだからな」


 だから心配なんだけど。


「おうよ。俺もすっかり酔いは覚めているから、そう心配すんな!」


 本当か?


「じゃあ、お気をつけて」


「じゃあな、システリア」


「では失礼する」


 玄関の扉が閉まるまで手を振り続けた後に、俺は後片付けを・・・って、するわけないだろ。

 もうすでにきれいなんだから。

 することと言っても、いつも通りに掃除とか洗濯とかすればいいだけだし、特別何か後片付けがあるわけではない。

 強いて言えば、昨日出た大量のゴミを捨てることくらいだろうか。

 まあ、あの二人は冷静に周りを見れなくなっていたようだったし、ちょうどいい言い訳にできたのはありがたかった。


「さてと、これで今日はのんびりできるかな。特に依頼という依頼もなかったはずだし」


 まずは買い物に行くか。

 流石に冷蔵庫が空っていうのはどうかしてると思うから。

 そんなこんなで早速、俺は出かける用の服に着替える。

 いつも寝間着で寝ているので、着替えるのは当然だろう。


魔納袋(ストレージ)も空きはあるし、大丈夫か。よしっ、行くか・・・」


 そうやって、俺がまさに買い物に出かけようとしたその時、不意に送られてくる心伝(テレパシー)

 その内容は、何やらクーネがやらかしたようで、至急学校まで来て欲しいということだった。

 最初、俺はそれを聞いて唖然とした。

 だってそうだろ。

 登校初日、それも十分やそこらで起こったことだぞ?

 驚くに決まっているだろ。


「ま、まあ、事情は向こうで聞くか。うん」






























 心伝(テレパシー)による緊急招集から二十分後、俺は学校のとある一室へと到着していた。


「ええっと〜、これはいったいどういう?」


「こっちもさっぱりなんよ。とりあえず保護者として来てもらったんやけどな?」


「とりあえずって・・・」


「ごめん、なさい・・・」


 いやいや、まだ何もわからないから、俺としてはクーネが悪いのかわからないし、そうやって謝られても困るよ?

 まあ、でもそのおかげ、と言ったら悪いけど、こうして食べ物をいろいろ持ってこれたから、その点に関しては良かったと思っている。


「まあまあ、そんなに落ち込まんでもええよ?それよりも、問題はこっちやからね」


 問題は、こっち?


「あたしから謝ることはないわよ?生意気な態度をとったそっちが悪いんだから」


 なんか態度悪いな、この子。


「と、言っていますけど、これはどうなんですか?」


「そうやね〜?」


「なんですか、その言い方」


「いやな?どうするもこうも、状況が全くわからんのよ。せやから、まずは事情聴取からやと思っているのやけど・・・」


「な、なにかしら?」


 う〜ん、どうやらクーネではなくこの子が主な原因みたいだけど・・・。

 いや、まずはクーネにいろいろと聞いてみるか。


「クーネ、どうしてこんなことになったのか、説明できる?」


「うん」


 ふむふむ、なるほど、ほうほう、そういうことか。


「素直に話してくれれば、この件はなしにしてもええで?」


「ふ、ふんっ!どうせ全部聞き出した後、しっかりと罰を与えるんでしょ?悪いけど、そんな手には乗らないわよ」


 うん、わかった。

 大体で良かったけど、詳しく説明してくれて助かった。

 心伝(テレパシー)によって実際にどんなことがあったのか、クーネの記憶を元に映像として再現してもらったこともあり、思いのほかスムーズに話を理解することができた。


「まあ、こうなるんよ」


 ん?何が?


「ああ、そういうことですか。あ、クーネはもう大丈夫だから、早く行っておいで」


「うん、ありがとう、お姉ちゃん」


 事の全てを把握した俺は、クーネに空腹しのぎのための食べ物一式を持たせると、すぐに教室へと向かわせる。

 初日から問題を起こし、尚且つ入学式にも遅れるなんてことがあっては目も当てられないからだ。

 とは言えだ。

 結局のところクーネが本当に悪いのか、それはこれから決めることになるのだが。

 とまあ、そういうことで、学長先生が何を話していたのか知らないけど、とりあえずクーネは解放します。


「あっ!あなた!ちょっと待ちな」


 バタン。


「ええっと、それじゃあ何から話しますか?」


「何から話すもクソもないでしょ!?何やってるのよあなた!?」


 何をやっていると言われても、クーネはやることやってくれたから解放しただけだけど?


「まあ、うちはええよ?システリアちゃんがそう判断したなら、それで」


「は、はあ!?」


「はい、というわけですので、ええっと・・・」


「あなたも知らないって言うの?はあ、まさか今日だけであたしの名前を知らないのが二人もいるなんてね・・・」


 今、かなりイラッとしたんだけど?

 名前を知らないのなんて割と当たり前だよね?

 それを知っているのを前提に話を進めるとか、お前いったい何様なんだって話なんだが。


「いいかしら。あたしの名前は()()()()()()()()()()。この世界の頂点に君臨する兄様の妹なのよ?これだけであなたがどれくらい無礼を働いたのか、理解できるわよね?」


 ルシファー?

 いやいや、それはクーネにこそ与えられるべき名前だろ。

 クーネ・ルシファー、うん、なかなかにいい響きだ。


「私はシステリアと言います。よろしくね、ヴィエラちゃん」


「ヴィエラ、ちゃん、ですって・・・?」


「気持ちはわかるで?でもこれがシステリアちゃんなんよ。そんなことよりも、まずは話をしてもらいたんやけど、ええな?」


「ええ、いいわよ。でも話す前に、こっちから聞きたいことがあるのだけど、いいかしら?」


「どうぞ?」


「あのクーネっていう子もそうだったけど、あなたたちはいったい何者なのかしら?あなたはあの子と違って、魔力は欠片も感じられない。何か、膨大なまでの権力でも持っているのかしら?」


 権力?いやいや、そんなものは持っていませんよ?

 というか、ヴィエラちゃんって学長先生と俺が普通に会話しているから、そんなことを言うのだろうか?


「いや、私は権力者でも、ましてや大金持ちでもないですよ?強いて言うなら、私とクーネは学長先生と友達、ということですかね?」


「・・・」


 あ〜わかるよ、その顔。

 でもさ、校長とちょっと仲が良いくらいでそんなに大袈裟に反応しなくてもよくない?

 俺が普通じゃないみたいで傷つくんだけど。


「そんなに私とクーネのことが気になるなら、別に話してもいいよ?」


「ど、どういうつもり?」


「どうもこうも、ちゃんとここで知っておいて欲しいってこと。じゃあ、まずは私のことから」


「・・・」


 お、ちゃんと聞いてくれるのか?

 黙って聞いてくれるのなら、それに越したことはないけど。


「と言っても、そこまで話すことがあるわけじゃないから、簡単に言わせてもらうけど。まず、私はクーネのお姉ちゃんで、魔法は一切使えないけど、体を動かすのは得意」


「ふ〜ん」


「そしてクーネは私の妹で、魔法が得意。ちなみに、ヴィエラちゃんの魔法を跳ね返したのはこれ。普段は護身用として持たせているものだけど、特徴としては魔法を反射するっていうことかな。それに、剣としての切れ味も一級品。これでさっきの謎は解けたと思うけど、どう?」


 そんなざっくり過ぎる説明の後、そうやって問いかけると、ヴィエラちゃんはウンウンと唸りながら頭を抱えてしまう。


「ますますわからなくなってきたわ・・・。結局、あなたたちのことは何もわからないままじゃない。それに、その剣についても説明不足。でも、もういいわ。無闇に相手の手の内を詮索するのはマナー違反だもの」


 ほう、意外と良識あるんだ、ヴィエラちゃん。


「それで話は戻るんやけど、結果的に校舎の破壊はクーネちゃんの剣による魔法の反射、でええんやろ?」


「概ねはその通りね。追加で言うなら、私があの子に敵意を持って攻撃を仕掛けたということね」


「よしっ、殺す」


「ちょっと、何いきなり殺人宣言しちゃってるのよ!」


「システリアちゃん、話が進まないのやけど?」


「はっ、す、すみません・・・」


「ほんで、話はヴィエラとクーネちゃんの処罰になるんやけど・・・」


 学長先生がそう言った時、ヴィエラちゃんは体をピンッと硬直させ、ゴクリと喉を鳴らす。


「二人で後日、模擬試合を行なってもらおうかな?」


「「は?」」


「試合はこっちで勝手に決めさせてもらうから、そのつもりで。はい、解散っ!」


 そう言うや否や、部屋を出て行く学長先生。


「はあ〜、まさか罰が模擬試合になるなんて・・・。まあ、罰としては妥当かな?あ、ヴィエラちゃんももう戻っていいと思いますよ?私はいろいろとやることがあるので、お先に失礼しますけどね」


 そして、俺も学長先生に続いて部屋を出て行く。


「何がいったいどうなっているのよ・・・」


 そうしてシステリアと学長先生がいなくなった一室で、ヴィエラは一人そう呟いた。

 総じて三十分弱の短い時間だったが、ヴィエラの頭の中はすでに疑問という謎で埋め尽くされていた。

 クーネという名の少女と、その姉を名乗るシステリアという女。

 あの学長先生からも一目置かれているようなその実力もさることながら、あの魔法を反射するという出鱈目な剣もあり、その全てが謎に包まれている。

 それら全てを加味して、一つ思ったことがある。

 しかし、これはあくまでもヴィエラの勘でしかない。

 が、あの二人には恐らく知られてはいけない何かがあるのだと直感した。

 だが、それと同時になぜあの二人のことを、これまで一度たりとも調べようとした人物がいなかったのかと不思議に思う。

 しかし今、この時だけはどうでもいいと思ってしまった。

 なぜならヴィエラは、あの二人に興味を持てたのだから。

 今はその事実だけで、ヴィエラは満たされていた。

 システリアにないものが生存欲だとしたら、ヴィエラになかったものは知識欲だった。

 それは、一を持たず全を持つ彼女だからこその欠落だった。

 だがしかし、今日という日を持ってヴィエラは完成する。

 そしてヴィエラは思う。

 一刻も早く、その刃を交えたいと。






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