表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

7.

表現の自由って何だろう(1)


表現の自由って何だろう。

私が書きたかった物語はもっと過激な内容だったのに「それはコンプライアンス的にアウトです。書き直してください」って運営から連絡が来て、書き直したら、類似した内容が大量に生産されている作品が出来上がった。そこで私は思うのだ。表現の自由って何だろう。#140字小説




幸福を追求しすぎない(2)


幸福と猫は似ている。一緒に居たいと願ってもそっぽを向いてどこかへ行ってしまうし、離れないでと抱き締めても、するりと腕の隙間からいなくなる。かと思えば、嬉しそうにすり寄ってくることだってあるのだ。幸福とは案外気分屋なのかもしれない。だから私も自然のままに生きようと思う。#140字小説




賞を獲るために…(3)


「お前は()が欲しくて、芸人を始めたのか。それとも爆笑と言う名の()が欲しくて、芸人を続けているのか。どっちやねん!」

結果が出せずにいる私に、先輩はそう教えてくれた。「まずは目の前のお客さんを笑わせたったらええねん。そうやろ?」私は大事なことを見失っていた。もう迷わない。#140字小説




生活の水準と幸福の水準(4)


「お腹いっぱいご飯が食べたい」

「好きな人と一緒に過ごしたい」

太平洋戦争に旅立った勇敢なる若者の遺書にはそうあった。日本にはそんな時代もあったのだ。翻って、今の僕はどうだろう。それが当たり前になっていないだろうか。生活の水準が上がっているのに満足できないのは何故だろう。#140字小説




実物投資と貨幣価値(5)


アートに興味のない友人が絵画を買っていた。私はそれが不思議で、購買理由を聞いたことがある。それは実物投資の為であると説明された。米中貿易摩擦によって貨幣価値が変動している現代社会では、株よりも実物が信用できると言う。私は時代の移り変わりを皮肉にも見せつけられたのだった。#140字小説




最強の恋愛テクニック(6)


恋愛心理学を極めた私は、そのマニュアルを駆使して、人々が羨む美人を手に入れた。私は彼女の心を支配していたが、ひとつだけ失敗したことがある。それは自分の心を偽っていたことだ。そのせいで私の恋は瓦解した。千を超える恋愛テクニックは、たった一つの一途の愛情に及ばないのだった。#140字小説




タバコの煙(7)


タバコの灰が床に落ちる。君に会ってからは吸わないようにしてたけど、もういいよな。そう思って吸ったけど、もうこの家には灰皿がなかった。煙が染みて涙が出る。君は我が儘で、手の焼ける女の子だったよ。感情とともに吐き出した煙は白く濁って天井に長く留まる。白い視界はにぶく霞んだ。#140字小説




失恋の代償(8)


彼女に別れを告げた僕の頭の中は、陽の光を遮る曇り空のようだった。何も考えたくないのに、暗く憂鬱な気分になる。セーターで目元を拭うと、彼女の温もりがよみがえってきた。店の中に逃げ込んでも、君と観た映画の主題歌が流れていて苦しくなる。この世界は、僕を許してはくれないらしい。#140字小説




晴れ渡る曇り空(9)


今日の天気は皮肉にも晴れ渡っていた。僕と彼女が会うときは、いつも大雨だったというのに。人に会いたくないのに、どこを見渡しても恋人が手を繋いでいる光景ばかりが目につく。僕の隣にもう君はいない。それなのに君のことばかり頭に浮かんでくるんだ。僕はおかしくなってしまったのかな。#140字小説




恋する資格(10)


失恋の話をすると、「それだけ彼女のことが大切だったんだね」って謎の共感をされるけど、僕が欲しいのは安易な慰めじゃなくて、激しいののしりだった。僕は大事な人を泣かせてしまうような、最低な人間なのだ。そんな僕に恋をする資格はあるのだろうか。もう誰のことも傷つけたくないのに。#140字小説

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ