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6.

ありがとうを知らない君へ。(1)


私は彼に対してだけは、レビューを書かないと決めた。作品が傑作であれば別だが、同情では書かないことにした。彼には感謝の気持ちがなかった。他人の優しさは、全て当たり前だと思っているのだ。それ故に、有るのが難しいという状態を知らないのだ。有り難うが言えるまで、私は書かない。#140字小説




100万人の称賛よりも…(2)


私は多くの名声を手に入れた。それは私が喉から手が出るほどに欲していたものだった。それなのに、何故だろう。私はちっとも満たされないのだ。私には100万人の称賛なんかよりも、たった一人の女性に認められる方が嬉しかったのかもしれない。そんな大切な彼女はもうここにはいないけれど。#140字小説




創作ノート(3)


「文句があるなら小説で表現しろよ」とあなたが言ったから、私はあなたを貶めるつもりで小説を書いてきた。だけど間違いだって気付いたよ。思い出させてくれたのは古い日の創作ノート。「私は小説でみんなを笑顔にする」と書いたのだった。そのみんなにはもちろんあなたも含まれているのだ。#140字小説




小説家の資質(4)


「嘘を吐く人は小説家になれない」ってあなたは言うけれど、それって嘘を受容する力がないからじゃないですか? 人は物語を求めているのであって、フィクションでも受け入れられるよ。もしも嘘を吐く人が小説家になれないのだとしたら、嘘を吐けない人はもっと小説家になれないでしょうね。#140字小説




雨宿りをする私(5)


「雨なんか知るか、突っ走れ!」が私の生き方だった。そんな私はいつもずぶ濡れだった。だけど上司に言われて雨宿りをしてみた。時間の無駄に思えたが命令ならば仕方がない。雨がやんだ。「ほら、空を見てみろ」そう上司が指を指す方向には、希望の橋が一筋、確かに架かっていたのである。#140字小説




繰り返さないリフレイン(6)


私はまた同じ絵を描こうとしている。あなたはもういない。でも、幸せだったあの頃の一瞬を切り取りたくて筆を取る。描けない描けない。同じ絵を二度と描くことができないように、あの感情は二度とリフレインしないのだ。それでも私は思い出を忘れられずに筆を取る。叶わぬ夢だと知りながら。#140字小説




新時代の哲学(7)


「自分さえ良ければいい」っていう考え方が、令和の時代では必要になると思う。自分が満たされて、抱えきれなくなったら、他人にその幸福を分け与えればいいし、この国をもっと生きやすくするためには、国民を元気にしてあげればいい。世界を平和にしてしまえば、あなたはもっと満たされる。#140字小説




ヒットを多く打つために…(8)


「ヒットを多く打つためには、それだけ多くの打席に入らなければいけない」という言葉を曲解した私は、質よりも量で小説を書いてきた。しかし、あるとき気が付いたんだ。「一打席一打席を大事にしないやつがヒットを打てるわけがないって」私はそこで、初めて打率という言葉を意識したのだ。#140字小説




バットくらい振れよ!(9)


「三振してもいいから、バットくらい振れよ!」その人は私にそう言ってくれた。彼はチャレンジ精神が旺盛で、どんな球種にでも手を出す人だった。彼は一打席一打席を大切にしろと注意されていたが、どうやら私は真逆らしい。どんな球種にでも喰らいついてやる。その気持ちが不足していた。#140字小説




学習能力の差違(10)


学習能力が高い人は感情にインプットし、学習能力が低い人は記憶にインプットする。感動的な出来事は忘れにくいが、朝飯の献立はすぐに忘れる。この違いは明確に意識した方がいい。怒られたらどう立ち直ればいいかと聞かれることがある。簡単だ。「もっと落ち込め。そうすれば解決する!」#140字小説

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