5.
不可能の証明(1)
「お前には無理だ!」と言うやつがいる。そのとき私は、「じゃあ俺には不可能だという証拠を挙げてみろ」と返す。出来るか出来ないかを立証できるのは当人だけだ。箱を開けなければ中身がわからないのと同様の原理だ。「不可能を立証するのは不可能だが、不可能を可能にするのは案外容易い」#140字小説
未熟な私は言葉を学ぶ。(2)
人の感情は言葉では語り尽くせないっていうことを、小説を書くようになって初めて知った。心理学を学び続けている今でも、上司からは、「お前は感情が欠落してる」って言われることがある。でも、それは仕方のないことだ。人間として未熟な私は言葉を学ぶ。自分の心を表現していくために。 #140字小説
私が小説を書く理由(3)
私が言葉を語らなくなったのは、否定されて育ったからだ。何を言っても認めてもらえず、悔しい思いで言葉と心を封印したのだ。だけど小説は違った。どんな私でも、どんな言葉でも受け入れてくれた。こんな私でも優しく受け止めてくれた。だからこそ小説を書かずにはいられないのだと思う。 #140字小説
理想の恋人像(4)
「どんな人を恋人にしたいかって、それは真面目な努力家で、向上心に溢れる逸材で、ユーモアで知的センスが高くて、かと言って傲慢にもならず、弱い人の気持ちに寄り添ってあげられるような人が好きかな」
そんな友人に対して、僕は言った。
「そのためにはまず、自分がそうならなきゃね!」#140字小説
子は親の背中を見て育つ(5)
「いじめは最低の行為だ。俺は娘にもそう教育してる」彼は私の前でそんなことを言ってから、「テメエ、何をミスしてるんだ」そう新入社員の尻を蹴っ飛ばした。相手が涙を浮かべるにもかかわらず、彼の勢いは止まらない。
「いじめよりも、あなたが最低なんじゃないですか」私はそう呟いた。#140字小説
変遷する思想(6)
「スマホを持つな」という自己啓発が流布している。それを聞いた私は「バカなのか」と思った。人と過ごす時間の方が大事。それは理解できるが、価値観などは時代によって変化するものだ。私達を取り巻く環境が変わっているのに、それに対応しようとしないのはバカのやることだと私は思う。#140字小説
信じる勇気(7)
僕はダメなやつだ。自分の夢を信じる勇気がないだけなのに、誰でもいいからと手当たり次第に傷付けてしまうんだ。こんなことしてたらダメだってわかっているのに、この苦しみを誰かにぶつけたくなってしまうんだ。「ごめん」のひとことが言えなくて、僕はいつしか孤独になってしまったんだ。#140字小説
成長の条件(8)
移民を受け入れることで発展してきた国が、皮肉にも移民との間に壁を作っている。人間は常に新しい文化に触れて、新しい物を受け入れて進化してきた。鎖国状態での成長は余り望めない。もっとたくさんの人に会って、もっとたくさんの物に触れたい。私はまだまだ成長していたいと願っている。#140字小説
多様性の文化(9)
僕は女子高生がスラックスを穿いているのを見て嬉しく思った。一昔前までは見られなかったはずだ。ジェンダーレス社会が認められ、多様化へと向かう時代になった。ならば私達も人を批判するのではなく、お互いを尊重しあえる、そんな多様性に富んだ未来を後世に残していければとそう思った。#140字小説
無尽蔵の創作意欲(10)
「そんなに書いてネタは尽きないんですか」と聞かれることがある。確かにそうだ。私は書くときは異常なくらいに書き続けている。その時に私はこう答える。「書くよりも先にインプットをしているから大丈夫だ」と。世の中には表現したいことがたくさんある。それらを見逃したくはないのだ。#140字小説