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思い通りの人生(1)


「私の人生は今まで散々でした。これからは、何でも思い通りの人生を過ごしたいです」「良かろう」神様にそうお願いしたら、あっさり承諾してくれた。次の日から私の人生はバラ色になった。願えば叶う素敵な人生。あー、楽しい。「ねえ神様、こんな生活嫌だよ。苦しくていいから元に戻して」#140字小説




視点を変えれば(2)


「今日も都心には雪が降り積もり、交通機関に影響が」はあ。私はそう盛大に溜め息を漏らす。雪のせいでいつもより早い出勤をしなければならず、気分は憂鬱だった。「お父さん、休みの日に雪合戦しようよ」息子は目を輝かせて言った。まあ雪も悪くはないかな、なんて私はそんなことを思った。#140字小説




孤独なふたり(3)


にゃおんと鳴き声がした。見ると、仔猫が一匹寒そうにぶるぶる震えていた。俺はこいつを飼うことにした。俺と同じ孤独の身だったから。こいつは危なっかしいやつで、どこへ行くにも俺の過保護が必要だった。だけど天命を迎える頃にわかった。こいつは俺を死の孤独から守ってくれていたんだ。#140字小説




勉強の意義(4)


「何のために勉強するかじゃなくて、誰のために勉強するか。それが一番大切だよ」

僕にそう教えてくれた彼女はもうここにはいない。僕は彼女のために医師免許を取った。だけど遅きに失してしまった。突然に集中治療室の扉が開く。「重篤患者です」だから目の前の命は救おうって決めたんだ。#140字小説




父の日(5)


「ごめんお父さん。本当は優勝をプレゼントするつもりだったんだけど」悔しさで手が震える。父の日に向けて、ぼくは鍛練を積んできたのだ。「泣くんじゃねえ」お父さんはそう言った。「お前が元気で笑ってることが、何よりの父の日のプレゼントじゃねえか」ぼくは涙をふいて笑ってみせた。#140字小説




七夕(6)


「お前なんか嫌いだ」天の川で恋人が出会える日に、私は振られてしまった。短冊に書いた願い事は誰も見てくれなかった。私は笹の木を見つめる。色んな願い事があるから、私のはきっと埋もれてしまったんだ。「カナに想いが伝えられますように」え、これ書いた人って。「ふふ、あまのじゃく」#140字小説




出会い系サイト(7)


「初めまして」僕は恭しく頭を下げる。「こちらこそ」出会い系サイトの女性も同様にした。僕には彼女と付き合う意思はまるでなかった。ただの遊びである。騙される方が悪いのだ。「海外の銀行に口座を移してみませんか?」女性詐欺師はそう言った。こいつ、人の恋心を何だと思っていやがる!#140字小説




おいしく調理(8)


球体の食品は調理が難しい。僕は何度も失敗を重ねた。ある時は凍らせて、またある時は溶かしてみた。今はじっくりと低温で炒めている。何だか生き物の悲鳴が聞こえるが踊り食いとはそういうものだと思う。「そろそろ頃合いかな……」僕はそう地球を太陽であぶりながら呟いた。いただきます。#140字小説




壁ドンとアゴくい(9)


コーラを飲んでいたらいきなり壁ドンされた。私はえっとなる。長身でイケメンの彼は私を真剣に見つめている。やだ、何。そう恥ずかしくて目を伏せてしまう。彼は私のアゴをくいっと持ち上げた。目が、合ってしまう。えっ、何なの。たじろぎつつも私は辛うじて口を開いた。「ゲェーップ」#140字小説




寒い日曜日の朝(10)


私は寒さで目を覚ました。足先をふくらはぎにくっつけるとなんだかちょうどいい温かさになった。そっと布団をまくってみるとまだ寒い。「仕事場が布団の中にあったらいいな」そうやって猫みたいに丸くなる。冬は寒いけど、この時間だけはしあわせだ~って感じる。そんな日曜日の朝の出来事。#140字小説

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