イルミネーション 番外編
雪がちらつく師走の時期。とある日の2週間前から噴水のある広場にある大木に大量の魔石がいたるところにつけられている。魔石は大木だけでなく噴水の中や家にもつけられていた
もちろん王公貴族も屋敷を取り囲むように魔石を設置したりしている。しかし1邸だけ適当に置かれているように見える他と異なる屋敷が存在していた
遡ること霜月の後半にさしかかったある日のこと
ミーシェはいつも通りこの日も軽い運動と称して従者のチャーリーと軽く手合わせをしていた
「そう言えば今年もド派手に輝く師走がやって来ますねぇ~」
相変わらすチャーリーは突然意味不明な会話を始めた
「どう言うこと?」
「あれ?お嬢!まさか本当に知らないとか??」
どう言うこと?師走でド派手に輝くって……そんなイベントあったっけ?
「…………」
「あっそっか!?お嬢は、今まであのガキの世話で見たことや行ったことが無いんだ!!」
彼はもったいぶるようにニヤニヤしながら
「どうしよっかな~~教えようかな~教えないかな~」
と言い始めた
「チャーリー、教えなさい」
ミーシェが打ち込むときに身体強化を使い思いっきり打ち込むと
「うおっ!?」
ギリギリこらえ
「お嬢!!いきなり身体強化使うのってひどくねぇですか!?」
ミーシェは涼しい顔で
「あら?もとから魔法もオッケーだったはずよ?それに私が聞いているのにからかって遊ぶものですからつい」
彼女から漏れだす殺気にチャーリーは慌てながら
「え~~と数十年前に同盟を結んだ国の宗教で何だったかの誕生で、それにちなんで手はがきや贈り物をするらしい。あと、王からのお達しで毎年23・24・25日は魔石を家の回りに並べたり木々に着けたりするようにだそうですよ~」
………って言うことは日本にいたときで言うとクリスマスってことで、魔石が輝くって言うのはイルミネーションってことね
「あ~~あと師走に入ってから2週間が設置期間だそうですよ~」
それなら星やツリー・雪の結晶とか作れば可愛く見えるかな?
ミーシェは、早速やることを頭の中に順序だてると木刀を放り投げチャーリー視線がずれた瞬間お腹に一撃を喰らわせ
「ぐっ!」
蠢く彼に
「やることを思い出したから後はよろしく」
と言うと直ぐ様、自分の研究室へ早足でかけて行った
ミーシェは机の引き出しに魔力量事に振り分けしまわれている魔石を魔力量が多い順に数十個ずつ取り出し星の形に並べた
うぅ~ん型どる方がいいかな?それとも中にも魔石を入れて光らす?色はどうやろう?………まぁ悩んでてもしかたない!小型を作って実物を見て考えよ
ミーシェは粘着質のある石を小さな鍋に放り込みその下にある魔石に魔力を流し、高温に熱し溶けるのを待った
石の溶けた液体を魔石に1つ1つ丁寧にサンドするようにくっつけては氷魔法で冷却。この作業を繰り返すこと20分ようやく星の型が完成した
これを何個か作り、立体型の星やロープ状にした電飾を作ったり雪だるまの電飾を作ったりと朝食すら忘れ、昼食まで忘れていたミーシェを兄さんが呼びに来るまでイルミネーション作りに没頭していた
「まったくミーシェは、もの作りを始めたら時間さえも忘れて没頭するからなぁ……」
「ごめんなさい お兄様」
ため息をつく兄さんはお小言はこれで終わりとばかりに笑顔で
「で、何を作ってるんだい?」
ミーシェは悪戯が思い浮かんだように笑顔を見せると
「ふふふ!出来てからのお楽しみです」
と言うなりダイニングルームの扉を従者に開けてもらい兄さんにエスコートしてもらいながら入った
ミーシェは食事前にリリーから聞いていたのか朝食を取ってないことについて小言を貰ったが、その後は和やかな食事が始まった。ミーシェは、食事中は私語をしないと言う貴族ならではの暗黙のルールを有効活用し他に作りたいイルミネーションや色合いを考えながら昼食を黙々と食べた
全員が紅茶かお茶・珈琲を口直しに飲み始めると父さんが
「領地にいるアグネーゼが25日にこちらへ来てくれる事になった」
珍しい事もあるんだね~母さんは基本社交シーズン以外は領地経営で、確か去年もこっちに来てなかったような?
「母上が来られるのですか!?」
兄さんは珍しくカップをカチャンと音をたててしまった
あ~あ 兄さんやっちゃった!父さんから小言をもらうことが決定!!
父さんは兄さんに咎める様に鋭い目線を向けた
ミーシェ何事も無かったかの様に表情を取り繕ったまま、あくまでも公爵令嬢として優雅にティーカップをソーサーに音もなく置き、扇子の変わりに両手を口元に当てると
「まぁ!?お母様が領地から出てこられるのですね」
その判断が正しいと肯定するように父さんは彼女に優しい目を向け
「そうだ。25日はヴライアンとミーシェは二人とも公休だから王都に来るそうだ」
しゅん としていた兄さんは今度は音をたてずに公爵子息として
「ですがその日は、王城を一般公開しているため私かミーシェのどちらかは最低でも出勤しなければならないはずです!」
「…………」
ミーシェは無言で兄さんの言葉に肯定した
去年も一昨年も私はあの王子………いや彼だけではなかったね。王族を守るため側に居ることがばれないようにこっそりと影から護衛し、城内の警備さえもやり通して帰宅は次の日の朝。25日なんて最低でもどちらかが居なければ対処不可能な事が山ほどおこるって言うのに?二人揃って公休???
「今回から騎士団の担当はずされ近衛騎士と近衛魔法・魔術師団 が統轄する事になった」
ってことは騎士団に入っている兄さんは父さんが話し合いと言うなの圧力で近衛に話をつけ本来の仕事をさせる。ってことね。それでもって私も影の護衛をしなくてすむってことね!!
兄さんはげんなりしながらも
「何をなされたのか予想はつきますが、ほどほどにしてください!!」
「いいえ、お兄様。こう言うときにしっかり釘を刺しておかないと後々大変なことになります!!」
兄さんはなにも言うまいとカップの中身を飲み干すと話を変えるように
「そう言えばミーシェ。朝から作ってるもので買い足しするものが有ったら今日中に紙に書いて渡してくれたら明日、買ってくるよ?」
兄さんの言葉に甘えミーシェは、明日にでも買い足そうと思って書いた買い足しリストと薄っぺらい財布を渡し
「買い物リストと革財布です。とても厚みが無いですが、私が作り出した収納財布です。その中にはお金がたくさん入っているのですが、持ち主か持ち主が託した者しか使えません」
ミーシェは軽くこの財布の使い方について説明すると今度は父さんの方を向き
「お父様。今年の魔石での飾りは私に任せてもらえますか?」
まぁもし、万が一ダメだと言われてもこっそりとやるけどね。娘に甘々な父さんの事だから許可してくれるだろうけどね?
「いいが、ミーシェ自信が貯めたお金を使うのかい?」
「はい。そのつもりで…すが……」
……父さんの頭と後ろに耳と尻尾が見える?何だろう?このしゅんとした生物は??
「………………」
上目遣いで見てくる父さんに内心ではため息をついてから
「……そのつもりでしたが、やっぱりお父様に少し出して……」
あっ、尻尾を振ってる………と思ったらまたしゅんってしてる!?えっ?何がいけなかったの??
「……す、少しではなく」
あっ!尻尾を振ってる幻影が!!
「お父様に買って欲しいのです」
「もちろんだ!!」
父さんは兄さんからリストを取り上げると上機嫌で外に出掛けた
残されたミーシェと兄さんは同時にため息をつくと
「財布は返すね。他に欲しいものがあったら僕のだけの時に言ってね?」
ミーシェは自分の財布を受けとり
「あれ以外必要なものはありませ…………」
はぁ~兄さんもかい!!
父さん同様尻尾が垂れ下がりしゅん としている幻影が見える
「また必要なものがあったら必ず言いますね」
ミーシェは、急いで研究室へ戻ると溜まったストレスを吐き出すように次々と前世で見たものを作り始めた
あと1・2話、クリスマスにちなんだ話が続きます




